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カテゴリ:社会問題
日本左翼の致命的弱点
朝日新聞の従軍慰安婦誤報問題で、少しずつ世論が騒がしくなっているようだ(産経、読売)。 この問題に長い間コミットしてきた日本のいわゆる左翼陣営、共産党、社民党、多くの市民運動団体は、責任ある説明をするべきだ。 日本左翼の決定的に駄目な点は、今や虚偽とデマと誤魔化しと開き直りによってしか運動を支えられなくなってしまっていると思われる点だろう。 これは、殆ど反社会的でさえあると言われるほどの問題だと当事者達は気付くべきだ。 そんな犯罪にも似た行為までして、専従運動員達の給与を確保しなければならないのか? 一般国民は、左翼陣営の言説など、もはや誰も聞かないのではないか? 自分たちの「商品価値」が、とっくに無くなっていることに気付いてない(ふりをしている?)のは痛々しい。 もう少し、市場原理を素直に認めたほうがいい。 (何度もここに書いてきたように、マイノリティや弱者の存在を本当に守るのは、左翼政党や政権などではなく、おそらく市場原理のほうなのだ。) 従軍慰安婦に関する左翼政党の問題を少し具体的に見てみると、共産党の紙智子氏と社民党の辻元清美氏が一昨年、昨年と国会で具体的に質問をしている。 また、共産党は志位委員長による長ーい報告まで行っている。 共産党によれば、各国の元「慰安婦」は、日本政府に謝罪と賠償を求めてこれまで10件の裁判を過去に行なっており、この全てで敗訴している(損害賠償請求は認られなかった)とのこと。 ただ、10件の裁判のうち8件の裁判で、元「慰安婦」たちの被害の実態を詳しく事実認定したそうだ。 だが、この志位報告では、それがどのような被害の実態であったのかは具体的に述べられていない。 結局、具体的に指摘しているように思われる「強制連行」の証拠というのは、事実上次の2点しかない。 (1)インドネシアでのオランダ人監禁事件(スマラン事件) (2)中国桂林での兵士による売淫行為の強要 このどちらもが、東京裁判で裁かれた事件だが、(1)のスマラン事件は、白馬事件としても知られた事件で、当事者の兵士達が軍規違反、有罪として東京裁判で裁かれている。 歴史家の秦郁彦氏によれば、この事件の概略はこうだ。 1944年当時、戦時下のインドネシアでは、戦況の悪化から日本の陸軍省が「軍抑留者取扱規定」(1943)に基づき捕虜収容所に併設された軍抑留所に敵国人全員を移すよう指示した。 抑留所を管理していた第16軍軍政監部は、強制しないこと、自由意思で応募したことを示す本人のサイン付き同意書を取るよう指示していたが、それに違反した出先部隊がスマラン慰安所事件(白馬事件)という強制売春事件を起こした。第16軍司令部からは、当時すぐにスマラン慰安所の閉鎖命令が出されており、2か月程度の営業であったらしい。 この事件は、女性達の告発により東京裁判の戦後BC級法廷で1948年に裁かれ(65人を強制売春の犠牲者と判定)、死刑を含む10数人の有罪者を出した。 要するに、この事件は、軍規違反をした兵士を含む10数人が起こした事件であり、実際裁判でも有罪とされた事件だったのだ(但し、死刑となった岡田慶治少佐の獄中手記には、告訴した慰安婦達の嘘による冤罪だという趣旨の記録がある)。 この事件をもって、日本軍の組織ぐるみの慰安婦強制連行だという主張にはやはり無理があるのではないだろうか。 なぜなら、当時の軍はむしろ強制しないことを指示しており、裁かれた兵達は軍規違反の可能性が高かったからだ。 次の(2)の中国桂林の事例については、共産党は次のように言う。 「東京裁判の裁判文書の中には、中国、インドネシア、ベトナムという3カ国での強制連行を示す証拠文書が含まれています。とりわけ桂林については、判決そのものにつぎのような記述があります。 『桂林を占領している間、日本軍はゴーカンと掠奪のようなあらゆる種類の残虐行為を犯した。工場を設立するという口実で、彼らは女工を募集した。こうして募集された婦女子に、日本軍隊のために醜業を強制した』。」 だが、具体的にどのように軍隊が彼女達を強制したのかの記述は無い。 誰が募集し、どのように強制したのかも不明のままだ。 日本軍なのかも知れないが、軍規違反の個別の兵士なのかも知れない。あるいは、仲介業者や慰安所の経営者なのかも知れない。 共産党が言うこの記述だけをもって、日本軍が強制したと断定するのはやはり難しいと考えるのが自然だろう。 また、ベトナムについては具体的な指摘はなされていないし、インドネシアというのは、上記(1)のスマラン事件を指すと思われる。 この中国の桂林の事件というのは、どんな事件なのかよく分からないが、強制連行の資料として主張している関東学院大学の林博史氏がアップしたものにはこうある。 「【資料7】(PD2220/EX353) 中国桂林 軍事委員会行政院戦犯罪証拠調査小隊「桂林市民控訴 其の一」 一九四六年五月二七日 敵軍の我が桂林を侵略せしは一年間にして其の間姦淫、捕虜、略奪等為ささる処無く長縄大尉なる日本福岡県人は敵復興支部長の職を担当し、人と為り陰険悪毒にして桂林市に有る偽新聞社並びに文化機関をして自己の支配下に置き其等を我が民衆の懐柔並びに奴隷化の中心機関とし且又偽組織人員を利用し工場の設立を宣伝し四方より女工を招致し、麗澤門外に連れ行き強迫して妓女として獣の如き軍隊の淫楽に供した。長縄の秘書即ち鈴木華□(日本女性)は彼の行為を幇助し、更に甚しきは此の敵が楽群路に在った李子園に憲兵隊を設立し、(以下略)」 これが共産党の主張する事例なのだとしたら、この事件は、ここで指摘されている長縄大尉とその秘書鈴木らによる個別犯罪としてしか読めないだろう。 これも軍の組織的な強制連行の証拠とはとても主張できないのではないだろうか? 以上のように、共産党や社民党が主張する「軍の慰安婦強制連行」の主張というのは、随分と無理のある(ほとんど無茶苦茶な)主張だと思われれる。 彼等が出してくる論点が噛み合っていない原因は、 ・軍ないし国の組織的な連行や拉致・監禁があったかどうか が争点なのに、 ・個別の兵士達による連行や拉致・監禁があったかどうか に論点がすり替えられているからなのだ。 しかも、実際には上記の通り軍規違反で慰安所の閉鎖命令が出されていたり、既に裁判で罰せられている。 また、事実の問題として、 ・当時から拉致、ゴーカンは犯罪として認識されており、日本軍もそれが戦地で起きることを問題にしていたこと、 ・管理の行き届かない慰安所やゴーカン等による性病の蔓延も、同様に軍が問題にしていたこと である。 もともと、軍の管理で戦地に慰安所を開設しようとしていたのは、このような背景があったからなのだ。 従って、そこでは拉致や強制連行のようなことをして、問題を起こす原理的な誘因が存在しない。 にもかかわらず、左翼陣営がいまだに強制連行の証拠はあったと主張したり、「強制性が存在した」などという一部学者(中央大学吉見義明氏や関東学院大学林博史氏など)のレトリックによる論点逸らしなどは、悪質な嘘、デマ、誤魔化し、開き直りの類にしか映らない。 もっとも最近では、お騒がせの嘘は、朝日新聞や政治家・運動家達に限った話ではなく、どこかの自称作曲家や、学位の疑わしい女性研究者など、一般国民?のレベルまで浸透してきているようだから困ったものだ。 こうして、確実に日本社会の劣化が進行しているということに我々は危機意識を持つ必要があると(周回遅れの元マルクスボーイだった俺は^^;)思う。 ※上記「ゴーカン」という言葉は、漢字にすると、このサイトでは公序良俗に反する言葉としてアップ禁止となっているようなのでカタカナにしました。 ご賛同頂けるならクリックをお願いします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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