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「テレビの大罪」 和田秀樹・著 テレビの大罪 ダイエット礼賛を初めとする健康問題、犯罪・訴訟、医療問題、教育問題、地方と問題、自殺問題、高齢者問題に関するテレビ報道の大罪をばっさりと論じておられる作品。 和田氏がブログでこれまで書かれていたことを一気にまとめあげられた非常に濃い作品だと思われます。 この作品を読めば誰でも明日からテレビを観る姿勢が大きく変わるでしょう。 医療ミスと呼ばれるものの一部は、実は医療技術の進歩のためには避けられないものなのです。手術ではなく、薬の治験においてもある程度の危険性はあります。新たな技術の挑戦がもし失敗したら、徹底的に糾弾されお縄になってしまうということであれば、医療の進歩というものはありえません。 医療というものは、一定の確率で失敗が起きうるものです。そして、医療過誤は刑事罰の対象にならないことが世界の常識です。そういう大前提を、テレビは決して報じてくれません。完全な成功でないと許さない上に、自信がないからと患者を断れば、今度はたらいまわしだと非難する。 いったい医者に、どうしろと言うのでしょうか。 テレビが後先考えず、正義漢ぶって医者たたきに終始したことの結果が、昨今の医療崩壊につながっているのです。 よくぞ書いてくださった、という思いです。 心では常々思っていてもなかなか口から出せないですよね、この文言。 これ以外にも、興味深い記載は多々あるのですが、最後の章で著者は、 白と黒しかないという考え方を「二分割思考」と言うが、この世には白か黒しかなくグレーは存在しないという伝え方はテレビの特徴的な手法です。 と述べておられます。 昨今のアシネトバクターの件についての報道を見ていても、この二分割思考は端的に現れていると思いますし、それ以前に、もう少しは勉強してから報道したら、なんて思うことも最近のテレビ報道を見ていると結構あります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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