4連休のど真ん中の今日は、アフリカ・ビジネス・カンファレンスに出席してきました。
去年に引き続き、内容は、ものすごくINSPIRATIONALかつPOWERFULでした!
基調講演や色々なパネル・セッションで、共通して話されていた課題のうち、
僕の心に響いた論点は、以下の二点:
人材の育成
「アフリカの発展のためには、やはり教育が大事。
特に、重要なのは、アフリカの歴史を教えること。
現状のアフリカの学校教育では、西洋の歴史ばかり学び、
アフリカの歴史や文化をほとんど学ばないから、
多くの優秀なアフリカ人が、祖国を大事に思わず、海外に流出してしまう。
でも、もっと大切なのは、
国外で勉強したり働いているアフリカ人が、アフリカに戻ってくること!
アフリカの産業が強くなるには、ヒト・モノ・カネのうち、
圧倒的に、ヒトが足りない。
優秀な人たちが戻ってきて、いいビジネスを作っていけば、
もっともっとアフリカは豊かになれる。
外国からの資金支援などを求める前に、
アフリカ人自身が、アフリカの将来に自信を持つべきだ!
そうしないと、誰もアフリカの未来を信じないだろう。」
アフリカのイメージをよくしなきゃ
「BBCやCNNなどのメディアを見ていると、アフリカがろくな取り上げられ方をしていない。
古くは、アフリカは、絶対に成長しない、という「ネガティブ神話」があった。
最近、アフリカの成長が目覚しくなってくると、
『石油などの天然資源の価格が高騰しているから、棚ボタでGDPも上がっているだけだ』
といわれる。
更に最近よく聞かれるのは、
『アフリカの成長は、中国との貿易や、中国からの投資によるもの。中国の成長が止まればアフリカの成長も止まる』
という論調。
でも、実際、石油価格の上昇がサブサハラアフリカの経済成長に占める割合は15%程度だし(つまり、成長の85%は石油以外から来ているのだ。マッキンゼー調べ)、
中国が、アフリカの貿易に占める割合は、イメージほど強くない。
(例えば、ガーナの輸出相手は、オランダ、イギリス、アメリカの順。Economist Intelligence Unitより)。
国内の中産階級も育ってきて、消費や貯蓄だって増えてきているし、
国内の金融制度も整って、お金が、成長可能性のあるビジネスや、インフラへの投資に流れ始めている。
アフリカの成長は、単なるバブルではなく、こうやってファンダメンタルズを伴った経済成長が起こっている、ということを、
もっとうまく世界に伝えていかないといけない。
(例えば、各国の投資誘致機関が、もっとマーケティングするとか)」
たしかに、アフリカというと、ネガティブイメージがつきまとうのは、かわいそうだと思います。
例えば、「ナイジェリア」とグーグルにいれると、返ってくるのは、
外務省の海外危険情報や、ナイジェリアの金融詐欺の情報だったりします。。。
そりゃケニアみたいな混乱がいつ起こるかわからないし、いろいろ危ないことがあるのも事実だけど、
ビジネスが起こって経済が成長しているのも、また事実。
なので、このブログでは、地道ながら、アフリカのいい面をアピールしていきたいと思っています。。。
* * *
パネルは、面白そうなものがありすぎて、どこに出ようか迷いましたが、
結局、「マッキンゼー南アフリカオフィスによるアフリカの経済分析」、「アフリカの資本市場動向」、「ガバナンスと汚職撲滅」という三つのパネルに出席しました。
「アフリカのベンチャー・キャピタル」だとか、「アフリカで注目の起業家たちによるトーク」などという激熱なパネルも、同じ時間帯にあったのですが、
いかんせん、体はひとつしかないので、泣く泣くあきらめました。
出席したもののなかでは、「ガバナンスと汚職撲滅」のパネルが、特に興味深かったので、内容をレポートします。
言うまでもありませんが、国の経済成長の天敵のひとつが、政府役人の腐敗や汚職。
会社を設立するときに、賄賂を要求され、
商売が軌道に乗って、利益を上げて、税金を納めにいったら、ついでにまた賄賂を要求される、
万が一、他のビジネスとの間で争いになって裁判になったら、裁判官に賄賂を渡したほうが裁判に勝つ、
などということが起こるのなら、
ビジネスパーソンたちは、その国で商売をする気をなくしちゃうでしょう。
そうなると、国の経済活動は衰えます。
また、「所得の再分配」は政府の大きな役割のひとつですが、
折角納めた税金が、貧しい人たちのために使われずに、
政府の役人の高級車や豪邸に化けてしまうとしたら、
貧しい人たちは一生貧しさから抜けだせません。
なので、「汚職撲滅!」は、開発業界ではとても熱いテーマなのです。
スピーカーとして来ていたのは、
オマリ・イサ氏という、Celtelというアフリカ最大の携帯電話会社の元COOで、現在はInvestment Climate Facilityというアフリカのビジネス環境を向上させるためのNPOのCEOを務めている方と、
ナイジェリアのEconomic and Financial Crimes Commissionという汚職撲滅のための特別警察みたいな組織のヘッドと、
ナイジェリアの麻薬撲滅のための組織のヘッドの女性。
(みなさん、こわそうでした。。。)
まず、元Celtelのオマリ氏が、汚職が起こる要因について話し始めます。
彼が言うには、汚職の要因は以下の二つ。
(1) 脇の甘いシステム
例えば、アフリカの多くの政府で、いまだに文書は手書きのものが使われているそうです。
裁判所の判決文なども手書きだったりするとのこと。
手書きの文書だと、ちょっとペンで書き足したりすると、内容が変えられるので、
役人たちは、ビジネスパーソンに対し、「お金をくれたら、この文書の中身をお前の都合のいいように書き直してやるよ」みたいな感じで賄賂を要求するインセンティブができてしまいます。
なので、政府のシステムのIT化はとても大事。
また、アフリカの中で、ビジネスを新しく設立したときに、普通にやると、会社の登記に500日(!)もかかる国があるそうです。
当然、ビジネスパーソンは、一日も速くビジネスを始めたいので、登記をはやめてもらうように、役人に賄賂を渡すことになってしまいます。
なので、こういう手続き回りを迅速に進める仕組みづくりは大事。
世銀が「途上国のeガバメント導入プロジェクト」を進めているのをみたりすると、
「日本でもそんなに進んでいないのに、なぜ途上国?」と思ったりしますが、
IT化によりプロセスが自動化・迅速化すれば、腐敗の余地が少なくなるわけですね。
(2) 貧困が汚職を生む
ある国では、裁判官の月給は、たった100ドルなんだそうです。
これじゃあ、まともに家族を養えないので、裁判官は、生きていくために、賄賂を要求するしかありません。
公務員の給料が低いそもそもの原因は、国の経済成長が弱く徴税基盤が小さいことや、政府の徴税能力が弱い(税金を集めるスタッフが足りないとか、税率が高すぎて脱税が多い、とか)ことに起因します。
鶏と卵みたいですが、結局は貧困が汚職を生んでしまう、とのこと。
ここまで来たところで、こわもてのナイジェリアの特別警察の長が、「汚職が発生するのは、そんな生ぬるい理由だけじゃない!」と声高に三つ目の要因を主張します。
(3) カネの亡者的役人の存在
システムや貧困の問題もあるけど、中には、お金持ちの政府高官が、更に巨額の汚職をする、みたいなことも多いそうです。
特別警察長いわく、
「The more they get, the more they steal!」
こういう悪い奴らは、徹底的に調査をして、厳しく罰しなければいけない!と気合の入ったコメントをされていました。
(次のエントリーに続く)