今日は、ポタの授業のプロジェクトのプレゼンテーションがありました。
僕たちのチームは、ナイジェリアの金融クラスターの現状とクラスターの振興政策についてプレゼンテーション。
(写真は僕たちのチームです)
なんと、ナイジェリアの元大臣(何の大臣だったか忘れた。。。たしか経済系)がプレゼンテーションを聞きにきてくれました!
元大臣は、現在はケネディー・スクールのミッド・キャリア・プログラムの学生をされていて、近々ナイジェリアの政界に戻られるそうです。
僕たちが立てた政策提言をナイジェリアの政治家に聞いていただけるのだから、これ以上ないチャンスです!
プレゼンは、ガーナ人ナナ(HBS)による、イントロダクションからスタート。
なぜ、今ナイジェリアの金融セクターが熱いか、そしてナイジェリアの経済発展と貧困削減のためにいかに金融が重要か、という気合のこもったトークで一気に聴衆を引き込みます。
続いてナイジェリアの民族衣装に身をつつんだゼイナブ(ケニア人、ケネディー・スクール)が政治状況と貧困問題についてトーク。
ゼイナブはナイジェリアのシェル社(石油会社)での勤務が長く、現場を熟知しているだけあって、トークに迫力があります。
その後、ドイツ人ラーズ(ケネディー・スクール)がナイジェリアのマクロ経済環境について切れ味鋭い説明を展開。
そして、プレゼンテーションは、佳境の金融クラスターの話へ。
まずは、僕がクラスターの歴史と2002年の制度改革(ナイジェリア版金融ビッグバン)、クラスターの各プレーヤーの状況について説明します。残念だったのは、いくつか狙い済ましたギャグを放ってみたけど、ことごとくはずしたこと。。。僕はプレゼンや授業中の発言でウケを取るのは比較的うまい方だと思っているのですが、ケネディーの方々の笑いのツボは少し違っていらっしゃるのでしょうか。。。
締めに、フランス人マティアス(ケネディー・スクール)が、2002年の制度改革以降のクラスターの急成長と、今後の課題及び政策提言(詳細は書きませんが、石油やインフラ以外の産業振興、現地金融機関が長期の投融資を行うためのキャパシティー・ビルディング、一般消費者向けの金融サービス強化などが骨子)を説明。
聴衆の反応は上々。
持ち時間の20分を使い切って時間オーバーになるチームが多い中、うちのチームはプレゼンの各スライドのメッセージをハッキリさせ、時間を短く抑えた上に、みんな話すのがうまかったと思います。
切れ味の鋭いプレゼンテーションに、ポーターも大喜び。
授業終了後、チームメンバー一人一人と堅い握手を交わします。
「いやー、こんなにナイジェリアの金融が盛り上がってるなんて全く知らなかったよ!よくやってくれた!」
金融クラスター嫌いのポーターのはずだが、アフリカという難しい環境の中で、ここまでドラマティックな成長を遂げているクラスターを見ると盛り上がるんですねえ。。。
ナイジェリアの映画業界「Nollywood」を取り上げたチーム(ケネディー・スクール学生のインド人の元映画監督がチームリーダー!)もうまくプレゼンしたし、ポーターの中で、ナイジェリア・ブームに火がついたかもしれません!
もしかしたら、ナイジェリアがこの授業のケースとして登場する日も近いか?と期待が高まります。
(HBSのナイジェリアのケースというと、石油業界と民族紛争に関するケースしかありません。これもひどい話ですが)
それにしても、感じたのは、アフリカは、まだまだマーケティングをしなきゃいけないな、ってこと。
みんなアフリカなんていうと、そこは未開発の暗黒の大陸で、コーヒークラスターやバナナクラスターはあっても、世界レベルで戦える可能性を持つ金融クラスターなんてないと思ってるから、僕たちのプレゼンを聞いてショックを受けたんだろうと思います。
アフリカの強い面を、もっとアピールするべく努力しないと!という思いが強まりました。
ポーターのフィードバックのあと、ナイジェリアの大臣からコメントを頂きました。
大臣も、「とても質の高いプレゼンだった」と満足そう。
僕たちの政策提言については、基本的に一点を除いて全て賛成とのことです。
その一点というのが、「融資担当者がもっとキャッシュフローベースの長期貸し出しができるスキルを身につけられるように、業界団体がイニシアチブを取ってトレーニングを行ったり、資格試験をつくること」という提言。
でも、大臣いわく、ナイジェリアの融資担当者は海外でMBAをとっていたりして、かなり技術レベルは高いそうです。そして、彼らに必要なのは、技術的トレーニングではなくて、腐敗の防止だ!と断言していました。
ナイジェリアは、1990年代から2000年代前半にかけて何度も金融危機を経験し、銀行のバランスシートには不良債権が山積みになっていたのですが、その真因は、融資担当者がリスクを見抜けなかったのではなく、賄賂を出した企業に無茶なローンをつけるなど、コンプライアンスがしっかりしていなかった、ということが原因だそうです。
自分の国の腐敗をここまではっきり認めて、謙虚に改善を目指していこうと決意いる大臣はすごくビジョナリーな方だと思いました。
しかし、腐敗が金融セクターの発展を妨げているとなると、問題の根本は、「技術的な課題」(キャッシュフローベースの貸し出し手法を学ぼう!みたいなもの)から、「適応を必要とする課題」(世界観を変えるだとか、倫理観を強めるだとか)へ。
うーーん、再びハイフェッツ教の深い世界に入っていきそうです。
ここは、ケネディースクールの面子にがんばっていただかねば。。。
ところで、政治家といえば、チームメンバーのゼイナブは、将来ケニアの大統領を目指しているそうです。熱すぎます!!
今アフリカで女性大統領といえば、リベリアの「鉄の女」サーリーフ大統領(ちなみにこの方が今年のケネディー・スクールの卒業式のスピーカーらしいです)くらいだと思いますが、ケニア初の女性大統領に向けてがんばってほしいです!
残り2週間半で、今日のプレゼンテーションと、明日あたりに届くであろうポーターや聴衆のクラスメートたちからの膨大なコメントを基に、30ページの最終レポートに落とします。
最近マートン教授の「神の声」で、途上国の金融危機発生のメカニズム及びリスク回避手段について触れられたので、その辺のインサイトも文脈にあえば織り込みたいと思っています。
いよいよ追い込みです!