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韓国の龍の日記

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2007年07月18日
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カテゴリ:読書
僕は大学時代E.S.S.(English Speaking Society)に属していた。単に英語を喋れるようになりたいという動機からだったが、私のいたE.S.S.は「文化系の体育会サークル」と一部で言われていたように、練習だのミーティングだのを連日やる至極真面目なサークルだった。

そこでは、ディベート、ディスカッション、スピーチ、ドラマの4つのセクションがあって、皆どれか一つのセクションに所属していた。僕は何の因果かドラマセクション。秋に他の大学と合同で英語劇コンテストをやるので、それに向けてスクリプト(脚本)を選んだり、役者をオーディション(もちろん部内で)したりした後、役に漏れた人達は裏方にまわる。僕は英語力も演技力もなかったから3年間ずっと照明。E.S.S.で照明・・・。

でも、照明にはちょっと職人的なところがあって、僕が4年になってサークルの現役を引退してからは、同じ学校の合唱団のコンサートの照明や、女子大の合唱の照明、あとどこかの市民公会堂に「お母さんといっしょ」の照明の手伝いに呼ばれたりしたこともあったから、英語的には役には立たなかったけれど職人的自尊心をもつことはできた。

2年生の時に選ばれたスクリプトが、ニール・サイモンのコメディ「God's Favorite」。細かいストーリーはすっかり忘れてしまった。ベンという厳格な親父のもとを離れたデイビットという放蕩息子がいて、デイビットがいない間に道化回し的な神様の遣いが登場して、ベンとの間でいろいろなドタバタが起こるのだけど、その神様の遣いが大の映画好きで、とりわけロバートレッドフォードが好きで、「ギャッツビー!!」と感に堪えないように言う台詞だけが今も僕の頭に残っている。

この映画「華麗なるギャッツビー」は今に至るも見たことがないが、原作の小説の方は、大学時代に好きになった村上春樹の愛読本であることをずっと知っていて、好きな村上春樹の好きな本だからしていつか読もうと思っていたら、昨年当の村上春樹訳でこの本が出ているのを、ソウルの教保文庫でクリスマスのときに見つけてとにかく買った。でも読む迄に半年以上も熟成させてしまった。何事にも時間軸がゆったりし過ぎているのが僕の自覚している短所なのだけど。

貧乏からのしあがって、今は洗練された物腰と「オックスフォード」に行ったという経歴を得て、(少しヤバイ仕事をしているせいか)巨万の財産をもっているギャッツビー。軍人として戦地に赴く前、従って、釣り合いのとれる階級になる前に知り合い愛した上流階級の娘デイジー。デイジーは自分のことを待っていてくれるはずだったのに、ギャッツビーが戦地にいる間に社交界にデビューし、極めて順当に、毎晩あまたの男から花束を捧げられる女性にデイジーはなり、ギャッツビーがデイジーに求婚するにふさわしい全てを得るのに必要だった5年を待ちきれずにトム・ブキャナンと結婚してしまった。 全てを得たギャッツビーはデイジーと再び出会う為にデイジーの邸宅の対岸に豪邸を構え、そこにデイジーが来てくれるように、毎晩沢山の客を迎え入れた大宴会をする。そして二人はついに出会うが・・・

読んでいて、身分の相違を超越しようとする恋という部分では中学の時に一度見たきりの「風と共に去りぬ」が重なり、ギャッツビーの浪漫性には”疾風怒濤”という言葉やロマンロラン「ベートーベンの生涯」的なイメージが重なる。

村上春樹が60才になったら手掛けようと考えていた仕事を前倒しでやったこの翻訳。それだけの思い入れも熱情も愛情も注ぎ込まれて、生きた翻訳になっているんじゃないかと想像する。

この作品の存在を知って25年。やっと出会えた。





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最終更新日  2007年07月18日 19時00分29秒
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