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この本を手に取る人は、漱石ファンか、鴎外ファンか、両方のファンか、の何れかだろう。 私は中途半端な漱石ファンで、読んだのは「こころ」「門」「明暗」「夢十夜」「文鳥」しかない。「こころ」は高校の教科書に出ていて、文庫を買って何度か読んだ。 鴎外に至っては、「雁」を読んだような気がするという程度。
この本では、二大文豪に関して、さまざまなテーマで対比がしてある。私は全然知らなかったが、二人の間には交流があったし、本を献呈し合ったりしているし、お互いがお互いを認めていたことが書いてある。 更に、漱石が「吾輩は猫である」を執筆したときの家に、以前鴎外が住んでいたという共通点もある。 この本で扱うテーマは広く、 ・散歩ルート、悪妻と言われた奥さん、お墓、正月の過ごし方、子供との関係、お風呂、ヨーロッパへの船旅、留学地までの鉄道の旅、博士号を受けるか受けぬか、師は誰か、才能を認めた女性作家は各々誰か、等々微に入っていて興味深い。 専門研究家ではないサラリーマンだった作者がよくこれだけ調べ上げたものだと感心する。よっぽど好きなんだろうな、と思う。そして作者は仕事で長いことヨーロッパ駐在していただけだって、テーマが西洋に及ぶと断然他の追随を許さない記述が目白押しで舌を巻く。
私はこの本を読んで漱石の、読んでない本もいちいちこの本にあるテーマを思い浮かべながら読んでみたいと思ったし、読んだことがある本も読み返してみたいと思った。1冊も読んでいないかもしれない鴎外についても然り。
ファンにはお勧め。それほどファンでない人にも、漱石や鴎外の本を手に取ってみようかと思わせる楽しさがこの本にはある。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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