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カテゴリ:旅行けば
昨日の日記でウルムチ-カシュガル3泊4日バスの話を書いていた時、最近の放浪の達人さんの日記に水の話があったので、途中宿泊した旅社の水のことが思い出されたことだよ。
バスの道中泊まるのは「旅社」という名の簡易宿泊施設。 1泊目の大きな町では4階建ての結構立派なビル(ただしどの旅社にも風呂やシャワーの設備は無かった)だったのだが、2泊目と3泊目は街道沿いの小さな集落にある、おそらくバスの運転手がマージンをもらえるであろう良く言えば簡素、悪く言えば粗末な旅社だった。 平屋の8畳ほどの部屋がずらりと中庭を四方から囲むように連なり、旅社の外への出口は門のある一箇所のみ。防犯や料金踏み倒し防止のためだろう。バスやトラックは中庭の一角に停められている。 トイレや水場は共同。明け方バスが出発する前にまだ真っ暗な中をとんでもなく汚いトイレに行かねばならないため懐中電灯は必携で、さもないとブツを踏んだりぽっとん便所にハマったりと大惨事になりかねない。 コンクリート打ちっ放しの部屋は汚い。裸電球がぶら下がる部屋には、粗末なパイプベッドが4つ。人の形にくぼんだマットにはいつ洗ったか知れない、というか開闢以来洗ってないかもしれない以前ピンクだったであろう柄物のシーツと、煮染めたような灰色のカバーがかかった布団と、心なしかテカリのあるカバーのついた歪んだ枕が置いてある。うっかり好奇心で敷きマットをめくったりすると怪しい虫がわっせわっせと逃げていくので見なかったことにしてマットを戻す。 ベッドの下にはサンダルと洗面器、というのは当時の中国の安宿のお約束。 部屋の開口部は街道に面した側のかなり高い場所に頭がかろうじて入るかどうか、というはめ殺しの窓と、中庭に面したドアと窓。窓のそばには机があり、部屋に入ると服務員がやって来て、ドアを開けて机の上にどん、とお湯を入れた魔法瓶を置いていく。 さて、今夜の宿も決まったし、一息入れてお茶でも飲むか、と持ち歩いている湯飲みに魔法瓶の湯を入れると、茶葉も入れていないのに薄茶色に濁っている。 さすがに飲むのが躊躇われたので、旅社を出て街道を渡った向かい側の食堂にとりあえず夕食を食べに行く。新疆だと、北京時間では夜の7時でもまだ日の高さは午後3時か4時ぐらいの感じなので妙な気分になるものの、こんなど田舎で食いっぱぐれると明日まで何も食べられないため、食べられる時に食べておかねばならないのだった。 その食堂では白湯をもらったのだが、やっぱり薄茶色に濁っていた。つまり、この村で出る水は濁っているのがデフォということだ。もちろん四半世紀近く前の中国にはミネラルウォータなどというしゃれたものはまだ存在していない。諦めて濁ったお湯をすする。 沸かした水ならまだしも、歯を磨く時水場の水を口に入れるのにかなり逡巡した。少量でも口に入れるというのはヤバいんじゃないか、とか。だが、結局はその水で口をゆすぎ顔を洗い手も洗ったが特にどうということは無かった。 後日、カシュガルで同じようにバスで来た旅行者たちと話をしていると、道中のどこかでおそらく水に当たって腹を下して大変だった、という話を何度か聞いた。やっぱり水だったのかなあ、でもこんなことも普通だったし、何が原因かなんて全然分からないな、やっぱり。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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