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カテゴリ:旅行けば
昨日の日記に登場した旅社があるような集落はシルクロードの街道沿いのオアシスに点在しているのだが、大きな町を除けばいつタクラマカンの砂に飲み込まれるか心配になるような小さな村ばかり。
3泊4日のバスは(そういえば1990年代前半に同じルートのバスに乗った時には2泊3日と日程が短縮されていたっけ)、宿泊以外にも食事休憩などでやはりそうしたオアシスの村に立ち寄る。 どこだか今となっては見当もつかないどこかの村で昼食を食べてトイレを済ませ、出発までまだ時間があるので近くをぶらぶらしていると、アイスキャンデー売りの14歳ぐらいの少年がいた。 彼は祖父と思しき老人と話し込んでいた。老人の目は青く、キャンデー売りの少年の目は灰色だった。ウイグルをはじめ、ソグドやペルシアやトルコやモンゴルの人々が行き交っていた場所にいることを実感する一瞬。 少年は「アイスキャンデー」という単語と数字だけは漢語が分かる。彼からアイスキャンデーを買った。1本5分(当時のレートで2円。今の中国ではおそらく貨幣単位の「分」は事実上消滅しているだろう)。 アイスキャンデーは、おそらく薄茶色に濁った土地の水にサッカリンを溶かし、食紅で薄くピンクに色付けして凍らせただけのシンプルこの上ないものだった。 しかし砂漠の乾いた暑さの中にいると、こんなキャンデーでもこの上なくおいしく感じられる。 他の乗客もやってきてアイスキャンデーは次々に売れていた。 食べ終わると、細い割り箸のようなスティックは地面に打ち捨てられ乾いた土にまみれていく。 しばらくすると、5歳ぐらいの幼い子どもがやってきて地面に落ちているスティックを拾い集め始めた。 もちろんゴミを片付けるのではなく、スティックを再利用するためだろう。 これぐらいのことでいちいち驚きはしなかったが、水の貴重なこの土地で土や砂まみれのスティックは果たして洗ってから再利用されているのだろうか。多分怪しいものだろうなあ、とちょっとばかり心許なく思ったが食ってしまったものは致し方ない。 シルクロードを旅した無数の先人たちに敬意を払い、気にしないことにした(何のこっちゃ) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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