オーストリア共和国(Republic of Austria)ウィーン(Wien)
シェーンブルン宮殿・庭園 3 (ネプチューンの泉とフランス式庭園)
シェーンブルン宮殿(Schloss Schonbrunn)の庭園
ネプチューンの泉とフランス式庭園
図らずも、ギリシャ神話にふれてしまいました
ネプチューンの泉
フランツ・アントン・ザウナーの彫刻作品噴水のテーマは、息子アキレウスの航海の無事を海神ポセイドン(ネプチューン)に祈る母ティティスの姿とされています。
ネプチューン(Neptune)・・ポセイドン
ネプチューンは、英名で、ローマ神話の神、ネプトゥーヌスであり、ギリシャ神話ではポセイドン(Poseid?n)と同一神です。
オリュンポス十二神の1柱で、全知全能の神と言われるゼウス(英名はジュピター)や冥界の神ハデス(英名はプルートー)と兄弟で天空、水域、冥界を分つ海神です。
地下水の支配者でもあり、泉の守護神ともされているようで、イタリアなどでは良く泉のモチーフにされています。
どうもかなり堅物の男・・と言う設定のようです。
三叉の矛(さんさのほこ)
ポセイドン(ネプチューン)は、三叉の矛(さんさのほこ)・・・「トライデント」と言われる先端が三つに分かれた漁具を武器に持ち、それが象徴となって表現されています。
この三叉の矛(さんさのほこ)を振る事で波をコントロールしたり、地震を起こす事が可能で、その為に地震の神ともされ、人間にとっては直接関わる神様とされ恐れられたようです。
アキレウスとティティス
ティティス自身が海の精霊です。彼女は息子アキレウスがトロイア戦争に加わると命を落とすことを予言していて、アキレウスが生まれるとすぐに冥府を流れる川ステュクスの水に息子を浸して不死の体を与えようとしたり、女装させて身を隠すよう努力していました。
しかしアキレウスは、結局トロイア戦争に行く事になり、そこで足首(アキレス腱)を打たれて死んでしまいます。
不死にする冥府の川では、彼女が掴んでいた息子の足首の部分が水に浸からなかった為、それが致命傷になったのだそうです。
因みに、2004年のアメリカ映画「トロイ」ではブラッド・ピットがアキレウスの役を演じましたね。
ネプチューンは、馬あるいは半馬半魚の海馬ヒッポカムポスの引く戦車に乗る事からか、競馬の守護神ともされているようです。
どうも下の馬は海馬ヒッポカムポスで、戯れているのは半身半漁のトリトンのようです。
トリトンはポセイドンと潮流の女神アムピトリーテーとの子供で、海の神です。トリトンはホラ貝のラッパで海の波をコントロールすると言われています。
シェーナー・ブルンネン(美しい泉)
前回紹介した皇帝マティアスが見つけた「美しい(schon)、泉(Brunn)」シェーナー・ブルンネンは、この泉の左手の木立の中にまだ存在するようです。
今はそこに、ニルヘルム・バイヤー作の「水の妖精エゲリアの像」が建てられ、妖精の持つ水瓶から湧き出すようになっているようです。(写真はありません。)
ネプチューンの泉から宮殿の庭園を撮影
最初の建築家、フィッシャー・フォン・エルラッハの構想を縮小して現在のシェーンブルン宮殿を完成させたのは、園芸師のパッカシィと建築技師のヴァルマギーニです。
特にフランツ1世は庭園の造園に力を注ぎ、園芸師のパッカシィは、自分の故郷、ロートリンゲンから連れてきたと言います。
刺繍のように花を配置した庭園
フランス式庭園
17世紀末フランスの宮廷造園家アンドレ・ル・ノートル(Andre Le Notre)(1613年~1700年)によって確立された平面幾何学庭園は、平地の庭園を大きな迫力を持つ景観に魅せる為に考案された庭園様式です
この新しい庭園は、従来のテラス式のイタリア式庭園とは全く異なるタイプの広大な規模の庭園で、ベルサイユで披露されて以来、ヨーロッパ中の宮廷庭園で模倣され流行しています。
軸線を用いるこの方式は18世紀の都市計画に影響を与えた革命的な庭園技術と言われています。
フランス式庭園については、昨年6月に「 ベルサイユ宮殿 10 (フランス式庭園 )」でより詳しく説明していますから見てね。
リンク ベルサイユ宮殿 10 (フランス式庭園 )
宮殿の屋根ばかりか、庭園のあちこちにギリシャ神話をモチーフにした大理石の彫刻が44体、設置されています。
並木の配列もデザインの一部
因みにベルサイユなどと比べると、水利の良いこちらの宮殿はヴェルサイユ程にお金はかかっていないシンプルな庭園です。
造園家アンドレ・ル・ノートルの手がけたヴェルサイユはもっと巨大な庭園です。それら全てを平面幾何学庭園として構成しているので規模だけでも驚く。
また水の無い庭園に多数の噴水や池を設置。水を引くのに大変な苦労をしているなど技術的にも凄いのです。
ただ、シェーンブルン宮殿の庭園は植物園や動物園など庭以外の所にも情熱が注がれ、むしろそちらにお金が使われている。
動物園は1752年に帝国メナジェリー(小動物園)として創設された世界最古の動物園となっています。
君主は世界から動物集めをしている。
Back number
リンク シェーンブルン宮殿・庭園 1 (宮殿中庭)
リンク シェーンブルン宮殿・庭園 2 (シェーンブルンの庭園)
シェーンブルン宮殿・庭園 3 (ネプチューンの泉とフランス式庭園)
※ シェーンブルン宮殿については、マリーアントワネットの生涯の住まいを紹介した「マリー・アントワネットの居城」シリーズの中でも2020年09月詳しく紹介しています
リンク マリー・アントワネットの居城 2 シェーンブルン宮殿と旅の宿
ベルベデーレ宮殿
リンク ベルヴェデーレ宮殿 1 (プリンツ・オイゲン)
リンク ベルヴェデーレ宮殿 2 (美しい眺め)
リンク ベルヴェデーレ宮殿 3 (オーストリア・ギャラリーと分離派とクリムト)
シェーンブルン宮殿の庭園は今回で終わりです。次にベルベデーレ宮殿の前に「お札シリーズ」はさみます。
お札関係 back number
リンク お札シリーズ 1 (アメリカ合衆国ドル・・ドルの札束)
リンク お札シリーズ 2 (ユーロ札と見本とコイン)
リンク ドル・トラベラーズ・チェック(T/C) の高額券
リンク 神眼・・・プロビデンスの眼