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2014.06.24
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カテゴリ:環境

kawanobu日記/日本の誇る世界最高技術「石炭ガス化複合発電」火力発電所は、環境ただ乗りの中国を増長させる? 画像1

 

kawanobu日記/日本の誇る世界最高技術「石炭ガス化複合発電」火力発電所は、環境ただ乗りの中国を増長させる? 画像2

 

kawanobu日記/日本の誇る世界最高技術「石炭ガス化複合発電」火力発電所は、環境ただ乗りの中国を増長させる? 画像3

 

 政府が最新石炭火力発電所をチリに提供するという。これは、石炭ガス化複合発電の技術を用いた火発だ。20日付日経新聞朝刊で報じられた。

◎アメリカ、二酸化炭素排出減に旧型火発削減へ
 一方で、アメリカのオバマ大統領が、去る2日、温暖化効果ガスの排出抑制のために石炭火力発電所を大幅に減らす規制案を打ち出した。
 同規制案は、2030年までに発電所から排出される二酸化炭素ガスを05年比で3割削減しようというものだ。その標的となっているのが、安いシェールガスの増産で天然ガス火力発電が増えつつあるとはいえ、なお火発の4割弱を占める旧式の石炭火発だ。
 石炭火発は、単位発電量あたり天然ガス火発の倍近い二酸化炭素を排出する。これを廃止して天然ガス火発に置き換えるか、最新式の超超臨界圧火発に替えさせていけば、二酸化炭素排出量を抑えられる。

◎最新式の石炭ガス化複合発電を展開へ
 しかし世界一の環境大国日本は、さらに先を行く。それが冒頭で触れた石炭ガス化複合発電だ。この好環境性については後述する。
 1980年代に開発が始まったこの火力発電所は、わが国では東京電力などが出資する常磐共同火力の勿来発電所10号機(出力25万キロワット)で、昨年、世界で初めて商用発電を始めている。さらに各地で、出力50万キロワット級の石炭ガス化複合発電所の建設が計画されている。
 日本がチリに技術提供・輸出する石炭ガス化複合発電所も50万キロワット規模となる見込みだ。この見返りに、日本は削減できた二酸化炭素排出枠を自国削減分として認めてもらう。

◎石炭火発比率の低い日本は世界に冠たる環境重視国
 海外のエコロジストから二酸化炭素排出増を続けている、とよく批判される日本だが、その批判は的外れ、皮相的である。
 例えば原発がほとんど停止していた2012年度でさえ、年度全体の発電電力量で環境負荷の高い石炭火発はわずか27.6%しか占めていない。代わって燃料費が石炭の3倍もするLNG(液化天然ガス)は42.5%も占めていた。この健気さよ!
 ちなみにアメリカもドイツも、石炭火発は4割以上も占めていて、この比率は逆転している。ドイツこそ、エセ環境派の最たる国家だ。
 それでも日本は、二酸化炭素排出減の努力にさらに拍車がかかる。

◎石炭ガス化複合発電の発電効率は通常火発の20ポイント増しの高効率
 Jパワーと中国電力が共同で、瀬戸内海に浮かぶ大崎上島(広島県)で発電効率55%超・二酸化炭素排出量3割減という次世代型の石炭ガス化複合発電の火発実証炉を建設している。
 石炭ガス化複合発電炉の効率は、通常の石炭火発の35%前後を20ポイントも上回る55%超にもなる。したがってその分、排出される二酸化炭素は少なくなるわけだ。
 発電効率とは、投入したエネルギーを電気に変換できる効率のことだ。
 通常型は、石炭をただ燃やして水蒸気を作り、それで蒸気タービンを回転させて発電する。ところが石炭ガス化複合発電では、石炭をまず蒸し焼きにして石炭ガスを発生させ、それを燃やしてガスタービンを回し、発電する。石炭ガス化複合発電では、ガスタービンの排熱を再利用してさらに蒸気を作り、もう1度、蒸気タービンを回して発電する。

◎次世代「石炭ガス化燃料電池複合発電」の効率は60%超
 1粒で2度おいしい、ではないが、これで効率は最高で55%超に達する。ちなみに日本が得意とする高効率の超超臨界圧石炭火発の効率でも、41%程度だ。いかに革新的技術であるか分かるだろう。アメリカのオバマ政権がぶち上げた規制案は、石炭火発もこのタイプにしようというものだ。いかにも遅れている、と言わざるを得ない。
 ただ石炭ガス化複合発電技術は日本発であり、他の国は簡単にこの技術の火発を造れない。高温にも耐えられるガスタービン製造などの技術が必要だからだ。
 さらに「3度おいしい」未来型石炭火発も、研究開発の途上にある。石炭を蒸し焼きにした時に発生する水素を使って燃料電池でも発電するというトリプル発電技術だ。こちらは、大規模燃料電池を開発できれば、そう遠くない時に実用化できる。この「石炭ガス化燃料電池複合発電」では、発電効率は60%超を狙える。

◎石炭価格安の逆風が吹くが
 コストはかかる。しかも燃料に、シェールガスの増産でだぶついて価格が低下傾向の石炭を使う。価格メリットが乏しい。ちなみに直近の発電用石炭の価格は、オーストラリア産で1トン=72ドル程度で、年初から2割近く下落し、11年初頭のピーク時に比べればほぼ半値になっている。
 これだけ安くなると、高効率の発電所に替えようというインセンティブが弱まる。少々効率が悪くても、建設費の安い旧来型の「汚い」石炭火発で十分、ということになりかねない。
 それでも原発を簡単に新設できそうもない日本が、地球温暖化抑制の責任を果たすためには、燃料費の安い石炭火発でも、石炭ガス化複合発電や石炭ガス化燃料電池複合発電で、二酸化炭素排出量の多い石炭の総投入量を減らすしかない。

◎新興国は相次いで在来型火発を増設
 ただ日本の技術者たちは、時には無力ささえ覚えるだろう。こうやって乾いた雑巾をなお絞るほどの温暖化効果ガスを減らす努力に傾注しても、新興国、とりわけスターリニスト中国ではそんな努力にお構いなしの在来型石炭火発を増設しているからだ
 つい先日のNHKスペシャルでも、人口が世界第4位の2.5億人でエネルギー需要が急増中のインドネシアで、今後、新増設する電源はすべて石炭火発に決めたという番組が流れていた。首都ジャカルタでは、温暖化でここ数年、沿岸部の満潮時に水浸しになる地域が広がっているのに、である。
 スターリニスト中国は、さらに野放図に非効率な石炭火発を造り、二酸化炭素を盛大に排出している。

◎これも「グリーン・パラドックス」か
 こうした現状では、日本などの先進国の努力は、激増する新興国の二酸化炭素排出量増加に打ち消されて、ほとんど無意味となっている。
 彼らは先進国の排出減にただ乗りする形で二酸化炭素を増やしているフリーライダーだ、と言っても過言でない。日本が努力すればするほど、彼らフリーライダーを増長させる。
 これも、グリーン・パラドックスの1つである(グリーン・パラドックスについては、14年6月10日付日記:「モロッコ紀行:眠ったようなエッサウィラの漁港の午後;追記 『グリーン・パラドックス』!?」を参照)。
 写真は「ところざわのゆり園」の補遺として。

昨年の今日の日記:「磐梯山登頂記:弘法清水から山頂へ;追記:東京都議選結果」






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Last updated  2014.06.24 05:04:50



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