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政治、現代史、進化生物学、人類学・考古学、旅行、映画、メディアなどのブログ

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環境

2021.12.04
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カテゴリ:環境
 かつて「悪夢のような民主党政権」の時、ダムが目の敵にされ、脱ダム、廃ダムが叫ばれ、実際に廃止されたダムもあった。

​◎再生エネルギーであるダムの発電も敵視されて​
 あの政権は、原発廃止さえ言い、首相が菅直人の時、原発を実際に半永久的に停止させる法令や措置をとった。何のトラブルもなく順調に運転していた浜岡原発さえ、名指しの上、運転中を停止させ、同原発は今も運転できていない。
 エネルギー安保に全く無頓着だった空想を、政策として推し進めた罪は深く、今も日本のエネルギー政策を束縛している。
​ 例えば、再生エネルギーが世界の目指すべき道になったのに、水力発電の基盤であるダム(写真)は、全く新増設もされておらず、等閑視されている。脱ダムのかけ声の後遺症だろうか。



​◎太陽エネルギーを電力に変換​
 確かにダムは自然破壊の側面を持つ。
 しかし、自然破壊の側面は、太陽光発電にしろ風力発電にしろ、存在する。最近は、野放図に増えたメガソーラーが、景観破壊、自然破壊をしている、と各地で批判のやり玉になっている。
 それなら水力発電を、もう1度、見直すべきではないか。
 水力発電は、太陽光で蒸気となって高空に上がり、雨滴となって地上に落ちてきた落差を、すなわち太陽エネルギーを電気に変換している。
 地上に降った雨滴は、せせらぎから沢に、そして渓谷から川になってまた海に下る。途中の渓谷などでダムを造って堰き止め、落差を利用してタービンを回し、発電する。メガソーラーや風力発電よりも、ずっと効率がいい。

◎川と降水量に恵まれた日本がなぜ活用しないのか
​ 日本の47都道府県で、川の無い所は無い。僕は、以前にメキシコのユカタン半島を旅し、熱帯雨林帯にあるのにここに川が無いことに驚いたことがある(写真=ユカタン半島のマヤ遺跡のある熱帯雨林。森の地下は石灰岩帯なので、どこまで行っても川は無い)。​



 ユカタン半島の地下は、ほぼ石灰岩で出来ているので、降った雨は石灰岩帯に浸透し、地上に川ができないのだ。川が無いから農業にも向かない。ダムなど、夢物語である。
 川と降水量に恵まれた日本で、どうして水力発電の見直しを進め、さらに開発をしていかないのか。僕には、得心がいかない。
​ 例えば既存のダムでも、農業用貯水目的のダムには発電機がとりつけられていない(写真)。水利権という厄介で不合理な問題がからむが、ここに低落差発電機をつければ、かなりの発電量になる。新増設だけでなく、こうした新開発も、放置されている。​



 利権がからむと、なかなか物事は進まないし、昔の政権の誤った政策がドグマとなって今を縛る。
 愚か、である。

昨年の今日の日記:「中東イランの首都で枢要な核科学者を暗殺:実行はイスラエルだろうが、イランは報復できない!?」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202012040000/​






Last updated  2021.12.04 04:22:50


2021.11.06
カテゴリ:環境
​ イギリス、グラスゴーで開催中の第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)で、石炭火力発電所の黄昏が大きく迫ってきた(写真=COP26)。



​◎日本はなお30%稼働中​
 温暖化効果ガスである二酸化炭素排出量の多い石炭を燃やして発電する火力発電所(火発)は、もはや先進国では存立する余地はないようだ。
 最も熱心なEU諸国はもちろん日本も、火発の途上国への輸出は停止されている。EU諸国の場合は、例えば原発大国のフランスは2022年、つまり来年中に既存の石炭火発を全廃する。ただフランスの場合、国内発電量に占める石炭火発のシェアはたった1%だ。同じようにたった2%しかない地元のイギリスも、2024年までに全廃を決めている。
​ NGOから「化石賞」押しつけられた日本の場合は、いきなり全廃とはいかない。全発電量に対する石炭火発のシェアは、20年で30.4%もある(写真=日本の石炭火発)。​



​◎大半の原発が不稼働なので止められない​
 それもこれも、国内原発の多くが不稼働のままとなっていることが大きい。石炭火発をやめてLNG火発に移行を急ぐが、LNG価格は石炭よりはるかに高価格だ。山地が多く平地の少ない日本では、EU諸国のように、太陽光発電も風力発電も伸ばせない。
 だからEU諸国のように、どうしても歯切れが悪くなる。
 石炭火発が20.1%を占めるアメリカも、EU諸国のようには行かず、2035年までに火発を止めると言う程度だ。しかしアメリカは、未利用の砂漠を含め、国土が広大だ。太陽光発電はいくらでも伸ばせる。

​◎ワースト2のアメリカの2倍も多い中国の二酸化炭素排出量は約1兆トン​
 しかし僕には、世界最大の二酸化炭素排出国のスターリニスト中国の態度が許せない。
 直近2018年の二酸化炭素排出量は、9528億トン、世界全体の28.4%も排出し、ワースト2のアメリカの4921億トン、14.7%の倍近い。18年の数字だから、今年の21年には1兆トンに近づくか越えているかもしれない。
​ 実際、世界全体の石炭火発の容量は20.6億キロワットだが、スターリニスト中国は10.4億キロワットと過半を占めている(写真=スターリニスト中国の石炭火発)。


 つまりスターリニスト中国を何とかしないと、欧米先進国がいくら脱炭素に努力してもほとんど意味は無い。

​◎国内の3分の2兆が石炭火発のうえにさらに新設計画目白押し​
 それが、この9月に石炭火発の海外輸出を止めるという程度で、国内の二酸化炭素排出量のはっきりした削減目標は示さない。現在、国内総発電量の67.2%も石炭火発が占めているのに、さらに新設計画も目白押しだ。
 それでも国内の旧式火発をちょこっと止めたりして、今夏はあちこちで停電を招いているが、新設計画の撤回すらしようとしない。
 このエゴイスト国家をそのままにしていたら、いくら温暖化阻止と言っても絵空事に過ぎない。
 スターリニスト中国が国連安保理理事国でなれば、制裁発動しても止めさせたいところだ。

昨年の今日の日記:「アメリカ大統領選挙、予想外の大接戦を演じさせた『隠れトランプ派』」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202011060000/​






Last updated  2021.11.06 05:39:17
2021.09.28
カテゴリ:環境
 脱炭素が叫ばれ、再生エネルギーへの志向が強まる。
 一方で、その傾向に反比例するように旧来の化石エネルギーへの投資・開発が衰えている。
 この冬、僕らはガス料金の高騰に悩まされるかもしれない。

​◎ヨーロッパの天然ガス価格が年初から4倍高​
​​ ヨーロッパで天然ガス価格が急騰し、目下、年初の4倍に達している(グラフ)。化石燃料の中で二酸化炭素排出の少ない天然ガスが、先進国で奪い合いになっているからだ(写真=ヨーロッパのガスパイプライン)。




 これが、電力料金にも反映し、ヨーロッパ各国は家庭用の電気料金も高騰している。このため、消費者物価は前年比3%以上の値上がりとなっている。
 天然ガス価格が騰がったから、と言って、石炭に回帰することは、もう現実的ではない。
 最も環境を汚す「ダート」な石炭ではあるが、その石炭もアジアなどで価格が高騰している。新規炭鉱開発がパッタリとやみ、欧米系の資源会社が閉山を進めている。先進国の需要は確かに減っているが、一方で価格の安さから開発途上国の需要は盛り上がる。差し引きは途上国需要が凌駕するから、石炭価格も騰がっているのだ。

​◎将来とも化石燃料の需要は伸びる​
 脱石炭ブームの矛盾だが、この矛盾は近い将来、ますます大きくなっていく可能性が大きい。
 先進国では化石燃料の需要は確かに減るが、ボリュームとして先進国以上の需要が膨らむ途上国の需要は伸びるからだ。だから地球全体では、化石燃料需要は、2050年まで伸び続ける。
 日本エネルギー経済研究所の予測の従来の趨勢が続くという基準シナリオでは、50年の石油需要は2020年比で36%増え、天然ガスは57%も増える。
 脱石炭の技術開発の進むもう1つのシナリオでも、石油は8%増、天然ガスは16%増、と現在を上回る。

​◎資源開発投資は落ちるので新規供給は減る​
 ところが世界の潮流となっているESG投資の圧力のために、欧米メジャーは石油、天然ガスなどの資源開発への投資を絞り始めている。メジャー6社の投資額は2015年に1200億ドル以上あったのが、21年には568億ドルと半分以下になる見通しだ。今後も、伸びることはないと見られる。
 足下で需給逼迫しているからと言って、株主圧力にさらされるメジャーはもう新規開発投資に動けない。それどころかどんどん開発投資を絞っているのだ。
 つまり新規供給は、減りこそすれ増えないことになる。
 すると、どうなるか。
 需要が伸びる一方、生産、すなわち供給が減るので、価格は上昇することになる。
 そうなると再生エネルギーの経済性の悪さも目立たなくなり、こちらの開発が大きく伸びるとも予測されるが、同時に石油、天然ガス、石炭、さらにはウランといった資源価格も大きく伸びることになる。
 足下のヨーロッパの天然ガス価格の急騰は、それを見越した動きとも思える。
 石油ショック時のような高いエネルギーの時代に、これから僕らは入ることになる。

昨年の今日の日記:「旧作映画『12人の優しい日本人』を観てアメリカ的な陪審員裁判と裁判員裁判に異議」​






Last updated  2021.09.28 05:24:21
2021.06.13
カテゴリ:環境

 一頃のブームは峠を越した感があるが、電気自動車(EV)は、本当にエコなのだろうか。
 温暖化効果ガスである二酸化炭素を出さないとして、世界の自動車メーカーは、雪崩を打ってEV化を進めている。すでにヨーロッパやアメリカの主要自動車メーカーのほとんどは、ガソリンエンジン車を2035年~40年までに全廃すると決めている。その切り札が、EVだという。

​◎まるで安物天ぷらのよう​
 確かに走行過程では、EVは二酸化炭素を全く出さない。それだけを取れば、まさに究極の環境車と言えるかもしれない。
 しかし我が日本のトップ企業のトヨタ自動車は、EVの商品化には注力するが、なお当面はハイブリッド車(HV)を環境車の本命にしている。
 EVには航続距離の短さや充電インフラの未整備、急速充電にしてもなおガソリン給油よりかなりの時間がかかる欠点があり、それを克服できていないからだが、実はEVには、「安物天ぷら」のような所が隠せないからだ。
 そのココロは、「衣だけが大きく、中身が小さい」。

​◎リチウムイオン電池製造に大量の電力消費​
 製造過程で、EVはガソリン社以上の二酸化炭素を排出するのだ。EVにも力を入れるマツダが2019年に大学教授らと共同研究して試算したところ、製造過程全体でEVはガソリン車の2倍を超える二酸化炭素を排出するという計算になった(写真=テスラのEVモデルSとバッテリー)。





 EVは電池を作るだけで、エンジン製作の4~5倍の約6トンの二酸化炭素を排出するという。リチウムイオン電池の製造では、リチウムやマンガンなどで出来た正極材料の製作に最も多くのエネルギーを費やし、全体の4割を占める。リチウムイオン電池製造に使うアルミニウムは、電気の塊と言われるくらいに大量の電気を食う。それだけ二酸化炭素排出量は多くなるのだ。​


​◎長く乗らないとガソリン車より優位でない​
 EV製造に大量に二酸化炭素を排出しても、走行距離が長くなれば、相対的に負担は軽くなる。だから長く乗れば、総合的にエコにはなるが、アメリカでは6万キロ、ヨーロッパでは7.6万キロ走って、やっと製造過程と走行過程のトータルの二酸化炭素排出量がEVはガソリン車より優位になった。電気代が高く、火力発電の比重の大きい日本ではEVを11万キロ走らせないと、ガソリン車より優位とは言えない。
 むろん電気をすべて再生可能エネルギーに替えれば、この前提はもっとEV優位に傾く。しかし、日本ではいまだに原発を軽んじる一方、風力などの再生可能エネルギーが小勢力に留まるので、現状のままEV化を推し進めると、かえって二酸化炭素排出量が増えるという試算もある。
 理想化されたEVは、やはり「安物天ぷら」の印象が拭えない。

​◎株価はテスラ軟調、トヨタ自動車は快調​
 そのせいなのか、昨年1年間で株価が10倍にもなり、トヨタ自動車の株価時価総額を一気に大逆転したEVメーカーのテスラの株価が、今年1月以降、冴えない。年初来高値である1月26日の高値883.09ドルから3割以上も下げていて、先週末終値は609.89ドルだった。
 対してトヨタ自動車は、年初から2000円近くも騰げ、先週末の終値は9861円だった。時価総額の差は、徐々に縮まっている。
 そもそも欧米メガメーカーも、一斉にEV化に舵を切っているので、テスラの優位性が危ぶまれていることもあるが、投資家も少しはEVについて慎重姿勢を取りだしたのかもしれない。

昨年の今日の日記:「毒ガスを水道水殺菌に転用した1世紀前の後藤新平の偉業が平均寿命を上昇させた」







Last updated  2021.06.13 06:06:12
2021.03.28
カテゴリ:環境

​ 何1つ経済的裏付けのないのにバブル人気に湧くビットコインは、最近ではすっかり500万~600万円台が定着した(写真)。他人が買うから買う、その買い手に転売して儲けるというマネーゲーム展開で、当初の安価で便利な決済手段という性格ははるか後景に退いた。



 そのビットコインを、北朝鮮ならず者集団が外貨稼ぎの手段にしている。

​◎北朝鮮ならず者集団2年間で330億円も窃取​
 先頃国連安保理の北朝鮮制裁委員会に出された報告書案によると、「北朝鮮はサイバー攻撃で2019年~2020年の2年間に推計3億1640万ドル(約330億円)」のビットコインを奪ったという。
 北朝鮮ならず者集団は、武漢肺炎パンデミックのおかげで盟友スターリニスト中国との貿易ができず、厳しい食糧難、燃料難などに襲われている。金正恩(写真)らノーメンクラツーラ用の贅沢品購入にも支障が出ていると見られる。



 その意味で、ビットコイン盗みは最も手っ取り早く、割りのいい現金稼ぎだ。盗んだビットコインは、闇サイトで現金化される。
 こうしたならず者集団=国家マフィアの不法な資金稼ぎの道具になっているビットコインは、何らかの国際的規制が必要なのではないか。

​◎マイニングにヨーロッパ1国分の電力を浪費​
 ビットコインを生み出すマイニング(採掘)の環境に与える負荷も大きい(写真=マイニングに使うサーバー。膨大な電力を消費する)。



 イーロン・マスクCEO率いるテスラが、ビットコイン投機を始めたと分かってから、ビットコインの値上がりが激しいが、そのためにマイニングにも拍車がかかり、環境負荷が大きくなっている(21年2月24日付日記:「イーロン・マスク氏とテスラが投機に走るビットコインの虚と暗部」を参照)。マイニングには、高性能半導体を搭載したマシーンを使うが、それに膨大な電力が消費されるからだ。
 最近のイギリス、ケンブリッジ大学の試算によると、マイニングに使う電力消費量は年平均で128.84テラワット時もあり、これはスウェーデンやウクライナなどの1国分の電力消費量に匹敵する。

​◎イーロン・マスクの偽善的行為​
 マイニング業者たちは、割高な再生エネルギーの電気を使わない。それどころかできるだけ低コストに抑えたいため、中央アジアや新疆ウイグル自治区など辺境の石炭火発で発電した電力を使う。それには当然ながら膨大な量の二酸化炭素が排出される。
 それなのにイーロン・マスクCEOのテスラは、二酸化炭素の削減技術の開発を競うプロジェクトに1億ドルの賞金を拠出すると発表している。これは自社のEVを販促するために、環境重視を装うため、としか思えない偽善的行為だ。
 そのようなプロジェクトを始めるなら、まずビットコイン投機を止めろ、と言いたい。

昨年の今日の日記:「スターリニスト中国発の武漢肺炎ウイルスは巧妙な成功者」







Last updated  2021.03.28 06:08:06
2021.03.14
カテゴリ:環境

 シベリアの永久凍土の融解が進み、環境破壊、インフラ破壊に拍車をかけている。永久凍土が溶けて、氷河期に埋まったマンモスなどの絶滅動物が姿を現したというニュースなどは、しばしば本欄で書いた。これは、古生物学者には朗報だが、環境面では重大な危機を招来している。

​​​◎泥炭火災でロシアではギリシャ一国分が消失​
 例えば厳冬の今も、シベリアの各地で氷結した下から煙が出ているが、永久凍土帯の泥炭の火災である(写真=極北での泥炭層火災)。夏季に永久凍土が溶けた後に剥き出しになった泥炭が自然発火し、それが冬季も消えずにくすぶっているのだ。



 広大な永久凍土帯を抱えるロシアでは、昨2020年で、永久凍土帯の泥炭が燃える火災で14万平方キロと、ギリシャ一国分に相当する森林が消失した。それとともに膨大な二酸化炭素が排出されたことは、言うまでもない。
 泥炭は、湿原の過去の植物が冷涼な気候のために分解されずに圧縮炭化されたもので、かつて北欧などでは貴重な燃料や肥料として重宝されたが、氷河期以来の大気中の二酸化炭素が缶詰になったものでもある。

​◎世界の永久凍土帯には大気中の2倍の二酸化炭素が蓄積​
 イギリスの科学誌『ネイチャー』によると、昨年8月末までの1年間でロシアを中心とする極北地域の泥炭火災で過去最高の2.44億トン相当の二酸化炭素が放出されたという。これは、前年よりも35%も多く、17年の日本の総排出量の21%に匹敵する。
 温暖化で、泥炭火災による二酸化炭素排出量が増えると、それがさらに温暖化を進める。これが全部放出されたら、怖ろしい事態になる。何しろ世界の永久凍土帯には大気中の2倍もの炭素が蓄積されているのだ。
 いくら先進国が、脱炭素を進めても、焼け石に水だ。

​​​◎永久凍土帯に続々見つかるクレーター状の巨大穴​
 極北域の温暖化は、二酸化炭素の50倍も強力なメタンガスをも放出させている。
 20年夏、シベリア北西部の永久凍土帯で直径20メートル、深さ30メートルものクレーター状の巨大な穴が発見された(写真)。このような穴は、14年夏頃から見つかり始め、これで17個目である。永久凍土の溶けた層にメタンガスが溜まる一方、蓋になる氷雪が溶けて薄くなり、ガス爆発を起こしたもの、と推定されている。



 この種のことは、インフラにも大きな脅威となっている。
 20年5月、シベリア中央部ノリリスク郊外の発電所の燃料タンクが倒壊し、中の軽油が近くの川に流れ出し、深刻な環境汚染を引き起こした(写真)。永久凍土が溶けての地盤の緩みが、原因だった。
 この種の懸念はシベリア各地で現実化が予測される。巨大プラントや住宅の倒壊、シベリア鉄道の脱線などが今後、続発するだろう。



◎凍結されていた病原体も蘇る恐れ
 さらに永久凍土の融解は、凍土に封じ込められたウイルスや細菌を解き放つことになる(15年10月10日付日記:「忍び寄る自然界の『バイオテロ』の脅威;永久凍土のウイルス発見と耐性病原体の極地などへの拡散」を参照)。
 その実例もある。16年に西シベリアで炭疽菌の感染が広がったが、これは75年以上前の斃死したトナカイの凍結死体が温暖化で溶け出し、そこから2000頭以上のトナカイが炭疽菌に感染して死んだ。人にも感染し、トナカイ牧畜民の少年1人が死亡している。
 こうした恐れも、温暖化で現実化しているのだ。

▼これまでの永久凍土融解関連の日記
・21年1月9日付日記:「氷河期のツンドラ、ステップに君臨して絶滅したモフモフの毛に包まれたケブカサイの保存良好な遺体がシベリア永久凍土から発見」
・16年3月5日付日記:「4万5000年前の北極のマンモス狩猟民;北緯72度の北極海に面した永久凍土層で狩猟された最古のマンモス遺体見つかる」
・15年10月10日付日記:「忍び寄る自然界の『バイオテロ』の脅威;永久凍土のウイルス発見と耐性病原体の極地などへの拡散」
・12年3月9日付日記:「3万年前のシベリアの白いナデシコ、現代に開花」​

昨年の今日の日記:「エチオピア紀行(151):食堂兼集会所にまず荷物を置き岩塩を運ぶキャラバンを観に行く」







Last updated  2021.03.14 05:40:57
2021.03.12
カテゴリ:環境

​ 二酸化炭素排出ゼロを目指して、世界は猫も杓子も最大の二酸化炭素排出源である自動車のエコ化で競争している。そのエースとされるのが、EV(電気自動車)だ(写真)。​



​◎確かに走行時に二酸化炭素は排出しないが​
 毎日の新聞を開くと、必ずどこどこの国・自動車メーカーが、「○○年までにすべてEV化」などという記事が出てくる。
 そういう記事を読み、奔流のようなEV化の流れを見ると、待てよ、本当にEVは、環境最適車なのか、と疑問に思ってしまう。
 確かに走行時に、ガソリン車と違い、二酸化炭素を全く排出しない。
 しかしそれを製造する時は、どうなのか。クルマ自体を造る際の二酸化炭素排出量は、ガソリン車もEVもさほど変わらない。

​◎リチウムイオン電池は二酸化炭素の塊​
 しかしEVの心臓部のリチウムイオン電池は、二酸化炭素の塊、と言ってもいい(写真=車載用リチウムイオン電池)。材料のリチウムは、採掘や精製時に大量の二酸化炭素を排出するのだ。だから生産段階での二酸化炭素排出量は、EVはガソリン車の2倍、という試算がある。



 その蓄電池に、化石燃料由来の電気で充電すれば、社会全体の二酸化炭素排出量は減らない。むしろ全自動車がEV化すると、今の倍以上の発電量が必要とされるから、多くの発電所を新設しなければならず、逆に二酸化炭素排出量が増える可能性すらある。
 そしてどのくらいもつのか分からないが、蓄電池は長年使うと劣化する。劣化したものは、新品と取り替えないといけない。これは、また大量の二酸化炭素排出量となる。
 生産・走行・廃棄までのプロセスを考えると、むしろEVよりハイブリッド車(HV)の方が二酸化炭素排出量は少ない、という説もある。​

​◎グリーン水素のFCVこそ本筋​
 ただ世界の流れは、「EV、そしてEV」である。その流れの中で、EVの蓄電池はどうなんだ、と言っても、なんとなく「負け犬の遠吠え」のように聞こえる。
 世界一の自動車メーカーであるトヨタは、そんな中でEVから出遅れているとみなされ、そのため株価は実力以下の低位に置かれている。
 しかし本当に二酸化炭素排出源を達成するには、FCV(燃料電池車)こそ本命であり、その燃料は「グリーン水素」でまかなうべきだ。なおグリーン水素とは、水を電気分解して水素を作る際に投入するエネルギーを、太陽電池や風力発電で得た電気を使って生産される水素のことで、化石燃料から抽出する水素は「ブルー水素」と呼ばれて区別されている。

昨年の今日の日記:「北朝鮮だけ『感染者はいない』という大嘘、軍兵士に多数の死者説」







Last updated  2021.03.12 04:53:30
2021.02.23
カテゴリ:環境

​ 奄美大島で稀少動物のアマミノクロウサギを襲う特定外来生物フイリマングース(写真は捕獲されたフイリマングース)が、どうやら根絶させることができたらしい。





​◎2018年4月以来、約3年間捕獲ゼロ​
 まだ確実ではないが、環境省はこのほど、昨年4月~12月の8カ月間に捕獲されたマングースの数がゼロだったと発表したからだ。最後に捕獲されたのは2018年4月で、以後、3年近くも島内各地422地点に設置された自動撮影カメラでも確認できず、また確実に目撃情報も寄せられていない。むろん捕獲もない。
 環境省は、今後も罠を仕掛けたり、犬に探索させたりする作業を続けるが、このまま行けば2025年にも根絶宣言を出せそうだ。

​◎駆除開始期は毎年2000頭以上も捕獲​
 奄美大島のマングースは、毒蛇のハブ退治の一環として1979年に約30頭が持ち込まれた。沖縄本島に持ち込まれたのと同じ理由だ。
 しかし人間の浅はかさをあざ笑うかのように、ハブも補食したかもしれないが、マングースの毒牙にかかったのは毒も犬歯も持たない弱いアマミノクロウサギだった(写真=アマミノクロウサギの母子。母親は採食に行っている間は巣穴の口を塞ぎ、仔を守る)。この間、マングースは島内で爆発的に増え、アマミノクロウサギの補食も目立った。



 そのため環境省は2000年度から本格的な駆除を始め、06年度までは毎年2000頭以上を捕獲した。これが07年度から1000頭程度に減り、14年度からは100頭をも下回るようになった。そして17年度の捕獲頭数はたったの10頭。前述のように18年4月に1頭が捕獲されてから、捕獲がない状況が続いていた。

​◎沖縄でも駆除が進み、捕獲は激減​
 同様の状況は、ヤンバルクイナを保護するために続けられている沖縄本島北部でも起きており、2000年度の本格駆除開始から、最盛期の07年度の619頭に比べ、16年度の初の3桁割れである78頭と、捕獲数は激減している。
 奄美大島の約3年捕獲ゼロは、駆除作戦が奏功したことを物語る。
 まだどこかに潜んでいるか、どこからか潜入してくる可能性もあるが、一般に自然界では閉鎖された環境で個体数が2桁に落ちると、雌雄の出会いも減り、また近親交配も増えることから、絶滅に向かう。
 この間の環境省や地元の自然保護関係者の努力を多としたい。

昨年の今日の日記:「冬の星座オリオン座に輝くベテルギウスが超新星爆発する!(前編):星の一生の終わりに近い超巨大恒星」







Last updated  2021.02.23 04:55:15
2020.12.29
カテゴリ:環境

 今年は、武漢肺炎パンデミックという悪夢に見舞われ、なおその収束像が描けないが、また世界で、地球温暖化阻止のため脱炭素の盛り上がった年でもあった。
 日本は、スターリニスト中国やロシアなど自国エゴの独裁政権と並んで、世界の脱炭素の動きから劣後していたが、新たに誕生した菅政権は日本の脱炭素の意思を鮮明にした。
 先の臨時国会冒頭の所信表明演説で、「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と表明したのだ。

​​◎アメリカもパリ協定に復帰へ
 これは政権最高責任者による決意表明であり、また国際公約ともなった。日本企業と消費者は、未来に責任を持つ者として30年後までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにする決意を固めないといけないだろう。
 近い将来、温室効果ガスの排出ゼロを表明したのはヨーロッパが先行し、日本は2番手になる。二酸化炭素による地球温暖化に懐疑的だったトランプ政権のアメリカは、各州レベルでは新車のEV化義務づけなど注力しているものの国全体としては後ろ向きだった。
 石油・石炭産業への配慮もあった。しかしバイデン新政権はパリ協定に復帰し(写真)、日本と同様に2050年までの排出量ゼロを目指すことになる。



 アメリカが温暖化阻止に本腰を入れれば、世界はその方向に確実に動くだろう。

◎自動車は電動車に乗り換えの動き顕著
 世界の全二酸化炭素排出量約300億トンのうち、自動車は17%ほど占めている。自動車が標的になるのは、当然だ。
 日本では、菅政権の意向もあり、例えば、国に先がけて東京都が2030年までに新車販売は電動車(ハイブリッド車を含む)に限ることを方針を示した。イギリスは30年に、フランスは40年に従来型のガソリン車、ディーゼル車は販売禁止となる。
 アメリカでは環境意識の強いカリフォルニア州が35年までに販売禁止の方針だ。
 世界の潮流がこうなると、日本の自動車メーカーも電動車重視に動かざるをえない。厳しいのは、ヨーロッパやカリフォルニア州などの電動車に日本の強みのハイブリッド車が含まれないことだ。しかもEV(電気自動車)車の販売量は少ない。

◎世界はEV化だが
 もし次世代車の本命がEVになるとすると、日本の自動車産業は大幅な構造転換を求められることになる。特に自動車部品メーカーには影響は大きい。
 従来型ガソリン車の部品点数は、約3万点と言われる。この多数の部品に、中小を含めた夥しい専門メーカーが生産と技術開発に従事し、大きな裾野を形成している。
 ところが普通のEVとなると、部品点数は半減するという。動力がエンジンでなくなり、モーターになると大幅に簡素化されるからだ。

​​◎燃料電池車(FCV)こそ本命
 ただ日本には、世界に先がけ、トヨタとホンダが市場投入した燃料電池車(FCV)がある(写真=トヨタ自動車のFCV「みらい」)。


 FCVは水素の価格が高いこと、したがって一般には普及せず、そのために水素供給ステーションがガソリンスタンドに比べて圧倒的に少なく、ドライバーは常にガス欠を心配しないといけないという欠点がある。
 EVの場合、確かに運転時に二酸化炭素を出さないが、動力の電力は火力発電所で供給されるとすれば、必ずしもゼロエミッションではない。その点、FCVの水素を砂漠のメガソーラーで水を電気分解して生産し、日本に持ってこれば完全にゼロエミッションとなる。
 自動車の電動化は、コネクティッド・カー化、スマート・カー化に不可欠な基盤でもある。

​◎EVにはないFCVの長所​
 FCVは、EVと違って給水素に要する時間がガソリン車並みで、しかも1回の給水素の航続距離もガソリン車並みだ。これは、EVではとうてい及ばない(写真=EVの充電はいまだに時間がかかる)。



 日本は、水素供給コストの低下と共に、FCVの低価格化を推進し、世界に技術供与するメリットが見込める。FCVと周辺の整備を望む。
 一方、水素を二酸化炭素と反応させればメタンガスになり、これなら既存のエンジン車にも応用できる。これもまた脱炭素の一手段である。​

昨年の今日の日記:「僕の選んだ2019年10大ニュース」







Last updated  2020.12.29 05:53:09
2020.11.29
カテゴリ:環境

​ ジャレッド・ダイアモンド博士(UCLA教授)は僕の大好きな博物学者だ(写真)。ピューリッツァー賞を受賞した名著『銃・病原菌・鉄』をはじめ、日本語に訳された氏の著作は、全部、読んでいる。


​◎ダイアモンドのイースター島の「文明崩壊」の警告​
 もともとは鳥類学者として出発し、ニューギニア島でのフィールド調査で進化生物学、人類学、考古学への学識を深めた。僕も本欄で、何回も氏の業績に触れている。
 ただ、それでも専門外の細かい領域になると、勇み足は免れない。
 例えば氏の『文明崩壊』では、奇っ怪な巨大石造モアイ像を製造し、海岸に運搬するため大量の木材を消費してしまい、島全体から森が消え、つれて食料となる野生動物もいなくなり、やがて部族抗争が起きて人口が激減、人肉食が起きるほど文明は後退したと述べている。実際、18世紀に白人がイースター島に到達すると、そこに観たものは、1本の木も生えていない荒れ地と海岸の巨大モアイ像であった(=1774年にジェームズ・クック隊がイースター島を訪れた観た立像のモアイ像、写真も)。またヒトが島に住み始めるまでは、イースター島全島は森林に覆われていたことも花粉分析から分かっている。​





​◎ハワイ大学研究者の反説​
 ダイアモンド博士の説は、それまで様々な研究者の指摘したことだったが、博物学者、文明批評家として知名度が高く、氏の著作の多くがベストセラーになったことから、資源の過剰収奪に伴う現代世界の崩壊の危機への警鐘として有名になった。
 荒廃した環境のイースター島を目にする文明人は、ダイアモンドの指摘に納得するのだが、ことはどうもそれほど単純ではなかったらしい。
 それを初めて科学的に明らかにしたのは、ハワイ大学のT・ハント博士らで、花粉分析などから島を覆っていたのはチリサケヤシ(写真)という著しく成長が遅い巨木であり、イースター島先住民が島に伴ってきたネズミが天敵のいない環境で急激に増加してチリサケヤシの実をかじってダメージを与えたこと、そしてモアイを運搬するのにチリサケヤシは使われなかったこと、などを指摘した。



​◎航海者が連れて来たネズミの大規模食害​
 ここで「先住民が島に伴ってきたネズミ」という記述に注目していただきたい。海洋民がアウトリガーに乗って移住の過程で積み荷に隠れていたネズミが島に紛れ混んで可能性もあるが、研究者の中には食糧にするために「家畜」としてネズミを連れてきたということを指摘する人たちもいる。僕も、後者の可能性が高い、と思う。
 さて、ともかくも島に来たネズミにとって、イースター島は天国だった。ネコなどの天敵はいないし、そこには食物となるチリサケヤシの実が溢れていたのだ。おそらく爆発的な激増となったであろう。実際、イースター島で発掘調査すると、魚の骨よりもネズミの骨の方が多く出土する。ネズミが食糧とされていた傍証である。

​◎チリサケヤシ、半端でない成長の遅さ​
 ここで、聞き慣れないチリサケヤシという木にも説明が要る。チリサケヤシは、同じヤシ科植物でも、ポリネシア人になじみのあったココヤシとはかなり違う。果実は直径2センチほどしかなく、ジュースも果肉もない。ヒトが食料にするには心許ない。しかしネズミなら、堅い実も簡単に囓れる。
 しかも、成長の遅さは半端でない。ロンドンの有名なキュー植物園に植えられたチリサケヤシは、植えてから花が咲くまで100年以上もかかったという。

​◎モアイ像運搬にコロは要らない​
 つまり、無人のイースター島でゆっくり育まれてきた森林は、13世紀に突如やってきた人間とネズミによって急速に破壊され、再生産できずに消滅した可能性が高いのだ。
 ちなみに巨石を山で成形し、海岸に運ぶのに、コロにする木材は要らない。実験考古学で、ロープだ引っ張ると、モアイ像は歩くように動くのだという。これは、「モアイが歩く」という伝承とも合致する。
 ただ、それでもポピュレーションを増やした人類が、ネズミと共に狭い環境の島の植生を破壊し、人口崩壊が起こったのは確かである。
 なお参考に、19年6月8日付日記:「『イースター島の悲劇』が8世紀の古代日本の奈良にも、今の奈良は古代の環境破壊の跡」もお読みいただきたい。

昨年の今日の日記:「樺太紀行(63=最終回);鉄道歴史博物館を見終え、ユジノサハリンスク空港から帰国へ」







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