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2017.07.08
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カテゴリ:経済

 日本とEUのEPA(経済連携協定)締結が6日、大枠合意に達した。訪欧した安倍首相は同日、EUのトゥスク大統領、ユンケル欧州委員長との首脳会談で、EPAの大枠合意した。
 トランプ大統領の当選で反古にされたTPP後、行き詰まりかけた世界の自由貿易体制を反転、一歩前進させる画期的な合意である。
 発効は、日本とEU28カ国議会の承認を経て、2019年初めと構想されている。

◎EPAで巻き返す必要性迫られた日本とEU
 日本とEUとのEPA交渉は、2013年4月に始まったが、日本の安倍政権がアメリカ主導のTPPに軸足を移すと、半ば店ざらしに近い状態で、休眠に近い状態だった。
 それがトランプ政権のTPP破棄以降、日本はにわかにEUとのEPA交渉に注力するようになった。
 EUもまた、対日EPAに本腰を入れなければならない事情が生じた。昨年のイギリスのEU離脱の国民投票と、今年になってのメイ政権による正式離脱通知である。
 EUにすれば、自由貿易体制がポピュリズムで揺らぐ中、大きな得点をあげざるをえない。アメリカとのFTA(自由貿易協定)がトランプ政権の下で当面困難である以上、日本とのEPAは、喫緊の課題に急浮上したのである。

◎FTAを上回る高いレベルの経済協定
 EPAは、「経済連携協定」ということからも明らかなように、関税撤廃・税率下げ主体のFTA(自由貿易協定)より幅広く、経済制度やルールまで包括する高いレベルの協定だ。
 例えば日欧EPAでは、関税交渉に加え、知的財産や電子商取引などのルールも含め、27分野に及ぶ。企業統治や競争政策、非関税障壁となる貿易障壁の解消など、すでに妥結した分野がほとんどで、わずかに残る投資家と国家の紛争解決制度などの分野も今秋にも最終合意の見通しだ。

◎チーズが最後までもめた
 日欧EPAは、見方を変えればTPPよりも妥結容易だった。例えばTPPで最後までもめたコメと牛肉の関税交渉は、そもそもEU側にコメと牛肉が輸出産品としてないから、障害になり得なかった。
 豚肉も、デンマークが主要輸出国だが、EUにとって目くじらをたてるほどの量ではない。
 それでも農業は、どこでも最大の懸案となる。
 日欧EPAでは、チーズが最後まで係争品目として残った。イタリア産モッツァレラやフランス産カマンベール(写真)を持つEUのチーズは、世界の半分のシェアを持ち、競争力は極めて高い。日本はチーズに約30%の高関税を課していて、撤廃を求めるEUと最後まで調整に手間取った。

◎ワインは即時、パスタやチョコレートは11年後に関税撤廃
 チーズは、結局、日本が3~5万トンの低関税輸入枠を設定し、15年かけて枠内の関税をゼロにしていくことで妥協が成立した。
 この他、EUが強い競争力を持つパスタやチョコレートは、10年かけて関税を撤廃する。フランス産などのワインの関税は、発効後に即時撤廃される。
 一部のブランド愛用者には、バッグや靴などの革製品も一定期間後に関税が撤廃されるから朗報だろう。

◎自動車輸出に朗報、韓国と同じ土俵に
 これに対して日本が手にした果実は、EUより大きい。
 最後までEU側が抵抗した自動車は、10%関税が7年かけて撤廃される。これまでEUに輸出される日本車は、韓国EUのFTAで関税率ゼロになっていた韓国車に押され気味だった。関税ゼロまで8年かかるが、最大のライバルの韓国車と同じ土俵で勝負できることになる。そうなると信頼性とブランド力に優れる日本車は、やがて韓国車をヨーロッパから駆逐するだろう。
 3~4%の関税率を課されていた自動車部品は、9割超の品目で発効後即時に撤廃される。
 さらに最高14%かかっていた電気製品も、テレビの5年猶予を除けば、即時撤廃だ。ただし、家電製品は、すでに韓国製が市場を席巻してしまっているし、ヨーロッパにも既存製品はある。こちらは時期遅れ、の感が深い。

◎関税ゼロは95%超という高水準
 もし日本EUのEPAが発効すれば、関税のなくなる貿易品目は95%超になる。
 工業製品に限れば発効と同時に日本が関税撤廃する品目は、96.2%(TPPでは95.3%)、EU側は発効と同時に工業製品と農産品を合わせた95.9%が関税撤廃し、最終的には約99%に達する。
 このように、日本側にとっても幻になったTPPが目論んだ野心的な水準を上回るし、EUもいまだかつてない高水準の貿易自由化となる。日本が、今後、多国間で結ぶEPAのモデルともなり得るものだ。
 例えばスターリニスト中国がTPPの頓挫で自国主導で狙うRCEP(東アジア地域包括的経済連携)は、自国の国有企業保護を最優先とするスターリニスト中国の抵抗でとうていそこまで行かないから、逆に日本は強い態度で出られる。
 さらに日本は、これによりオーストラリアやニュージーランドなどと連携し、アメリカ抜きの11カ国TPPの発足を目指せる。

◎トランプ後のアメリカを巻き込むTPPへ
 日本EUのEPAの大枠合意は、不毛な失点で野党に責め立てられた安倍政権にとって久々のクリーンヒットとなる。
 このEPAで、世界人口の8.6%、世界GDPの28.4%、世界貿易総額の36.8%もがカバーされるのだ。
 それは、トランプ後のアメリカも巻き込んだTPPへと必ず結合していく。すると、世界のGDPの3分の2は自由貿易体制の傘下に収まることになる。
 その要が、日本なのだ。素晴らしい、実に素晴らしいではないか。

昨年の今日の日記:「夏風邪で駆け込んだ医院のぼったくりと参院選の民共共闘の失敗」






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Last updated  2017.07.08 05:20:33



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