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2018.02.28
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カテゴリ:考古学

 もう1カ月半も前だが、ニュージーランド出立直前の慌ただしい中、会期が迫る東大総合研究博物館の特別展示「最古の石器とハンドアックス―デザインの始まり」を観覧してきた。

◎直前でも行くしかなかった
 同博物館は、前にも何度か紹介したが(例えば13年7月29日付日記:「東大総合博物館の特別展『宇宙資源――Pie in the sky』を観る;ジャンル=地球、天文学、地質学」を参照)、地味だがユニークな展示を「特別展」としてよく展示する。
 名称に「研究」と付いているように、国立科学博物館などのような展示博物館ではなく、研究博物館だから、特別展でも展示品量は少なく(むしろ極小)、また特別展でも無料である。
 好評だったらしく、昨年末で会期は終わる予定だったが、延長され、1月28日(日曜日)までとなっていた。ニュージーランドには21日出発するので、もう直前でも行くしかなかった。

◎分厚く粗雑だが、人類初のデザインされた石器
 ところでタイトルとなっているハンドアックスとは、遅くとも200万年前頃には出現していたホモ・エレクトスが制作した、人類初の定型的なデザインがなされた石器である。この石器文化はアシューリアン=アシュール文化と呼ぶ。
 それ以前のオルドワン型石器は、おそらく考えもせず、ただ石と石を打ち合って刃のある石器を作り出したテクニックに比べれば、大きな飛躍があった(写真=人類最古と見られるエチオピア、ゴナ出土の礫器)。



 アシューリアンのハンドアックスの1つの特徴として、両面が加工されているが、初期の石器は刃がジグザクになっていて、分厚く、粗雑そのものである。
 分厚い上に長さ20センチもあるから、ホモ・エレクトスのような現代人から見ると怪力の持ち主でなければ扱えない石器である。
 類例に刃が水平のクリーヴァーや先端が尖ったピックがあるが、これも広い意味ではハンドアックスである。これらの石器製作文化・技法を、アシューリアン(アシュール文化)という。

◎100万年に及ぶ変遷
 世界最古の物は、176万年前の例で、ケニア北部、トゥルカナ湖西岸のコキセレイ(Kokiselei)4遺跡のナチュクイ(Nachukui)層群で発見されたハンドアックスである。
 同展示では、コキセレイ例はなかったが、同博物館の諏訪元教授が長年取り組んできたエチオピアのコンソ遺跡出土の175万年前のハンドアックスが最も入口近くに展示されていた。1万年の差など、長大な時間軸では誤差の範囲内であり、事実上、世界最古・草創期のアシュール文化、ハンドアックスと言える。
 出色は、コンソでは、年代が異なる層からハンドアックスが見つかっていて、最古の例から年代が新しくなっていくにつれ、薄く、かつ優美に洗練されいく、いわば技術的発展の傾向が、はっきりと観察できるのである。
 すなわち最初期の175万年前のハンドアックスが、次第に剥離が細かくなっていき、原石から効率的に生産するようになっていき、90万~80万年前になると、薄片を取り去る剥離がハンドアックス全周に及び、石器その物も薄く、軽くなっていっていくのである(写真から175万年前、160~125万年前、140~125万年前、80~90万年前のハンドアックス)。









 100万年に及ぶ変遷、デザインの洗練化が観察できた。

◎現物標本の圧倒
 これだけでも僕には感激モノだが、ほぼすべてが実物であるということだ(レプリカではない)。エチオピアから一時借用された52点の原物標本の展覧なのだ。
 仕方がないことだが、現物のハンドアックスはすべて厚いガラスケースの中に収蔵されての展示である。もし手に取れれば、その重さ・質感に我々現代人はびっくりさせられたであろう。
 高価だが(4000円でほとんどお釣りがこなかった)、図録(下の写真)も赤門そばのコミュニケーションセンターで購入してきた。これは、是非とも欲しかった図録である。



 なお一部だがハンドアックス石器は、東京駅前のJPタワーKITTE2階のミュージアム(インターメディアテク)で同名の特別展示として4月8日まで展示されている。

昨年の今日の日記:「エチオピア紀行(94):フィナーレは写真で見ただけの聖ゲオルギス教会へ」






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Last updated  2018.02.28 06:18:55



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