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2019.11.01
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カテゴリ:国際政治

 混迷に混迷を重ね、EU離脱前に3度も離脱延期を重ねてきたイギリスが、今度こそ「黒か白か決める」時となった(と思いたい)。


​◎3分の2の多数が必要なバリアに跳ねつけられ続けたジョンソン首相​
 10月29日、イギリス下院は12月12日に前倒しで総選挙を実施する特例法案を、438対20の多数の賛成で可決したのだ(写真)。これまでジョンソン首相は解散動議を3度提出しながら否決されてきた。つまりジョンソン首相は、EU離脱(ブレグジット)もできず、さりとて解散もできずという袋小路からやっと抜け出る道が出来た。



 政権与党が解散を持ち出して議会に否決されるなど、日本では考えられない。
 それは、イギリス下院の特殊事情がある。
 まず2011年、イギリスでは議会任期固定法が成立し、基本的には議員の任期5年を固定し、それまでの単純過半数での解散が制約された。任期以前に解散するには、3分の2以上の賛成が必要になったのだ。​


​◎野党第1党の労働党が怖じ気づいた​
 ところが与党の保守党は、下院定数(650議席)の半数にも達しない288議席しかない。下院で解散動議を議決するには、野党の労働党(244議席)の協力が必要だった。ところが労働党は、解散すればその前に強行離脱の恐れがあるという名文で、実は解散しても過半数を制するどころか議席減の恐れがあり、それが怖くてジョンソン首相の誘いに乗れなかった。
 それも奇妙な話で、日本でも政界が流動すると野党が盛んに「解散に追い込む」と意気込むように、本来は野党は解散を好む。与党から解散を誘われたら受けて立つ、その上で民意を問い、あわよくば過半数を、というのが常識だ。


​◎国民投票と2107年総選挙の「よもや」の大逆転​
 実際、2017年、当時のテリーザ・メイ首相は、ブレグジットで揺れる党内を引き締めるために「議席増=強い権限」を狙って野党労働党を誘って解散総選挙を断行した。
 選挙前は、メイ政権の支持率は高く、総選挙で保守党は圧倒的多数を握れるとほぼすべての世論調査が予測した。ところが蓋を開けると、保守党は予想外に大苦戦し、かえって議席減となり、第1党は維持したものの単独過半数割れとなった。
 イギリスの選挙は怖い。2016年のブレグジットの是非を問う国民投票でも、当時の保守党のキャメロン首相も世論調査も、EU残留が多数と見ていたのに、よもやのブレグジット過半数となった。17年総選挙も、同じであった。


​◎極左派党首のもとでEU離脱をめぐってもまとまらない労働党​
 労働党は、建て前とともかく、本来は解散総選挙は避けたかった。最新の世論調査では、ジョンソン保守党の支持率36%に比べ、コービン労働党は13ポイントも大差を付けられている。日本と違って、単純小選挙区制だから、小選挙区に3人以上が立てば、35%の得票でも楽に当選できる。
 このままの勢いならジョンソン首相率いる保守党は、過半数(326議席)どころか400議席以上の獲得も可能だ。
 労働党が怖じ気づくのは、そこだ。
 しかも労働党も、一枚岩ではない。コービン党首はNATO離脱や主要産業の国有化などを唱える極左派で、元党首のブレア氏の息のかかる保守派も多い。さらに肝心の対EU政策でも、残留派と穏健離脱派が混在する。党がまとめられないのだ。

​​
​◎第3党のSNPと第4党の自民党は解散総選挙を望んだ​
 しかし労働党の外堀は、29日前に埋められていた。第3党のスコットランド民族党(SNP)と第4党の自由民主党(自民党)は、解散で保守党を野党に転落させ、EU残留を勝ち取る、と意気込んでいた。残留派の両党と離脱派のジョンソン首相の思惑は、こと解散に関しては一致していた(写真=外堀を埋めて解散に持ち込んだジョンソン首相)。



 したがってむしろ労働党が、解散総選挙に追い込まれたのである(写真=解散総選挙に「追い込まれた」コービン党首)。



​◎保守党圧勝ならブレグジット、労働党過半数なら再国民投票​
 SNPと自民党は、総選挙をEU残留か離脱かを国民に問う事実上の「再国民投票」の位置づけだ。両党での過半数制覇は無理でも、下院での議席増を目指し、それを根拠に、組閣する第1党に「残留か強行離脱か」を問う本当の再国民投票を要求する狙いだ。
 保守党が勝利すれば、ジョンソン首相の下でのEU離脱が現実化する。
 よもやあるまいが労働党第1党なら、SNPと自民党の要求を容れて、再国民投票になるだろう。再国民投票となれば、今、EU離脱が近づいているというだけで経済低迷が顕著になっているから、ブレグジットの弊害を国民に訴えやすくなっているので、今度はEU残留となるに違いない。


​◎経済界はコービン「首相」よりもブレグジットを望む​
 だが問題は、極左派のコービンが首相になることだ。それは、EU離脱よりもイギリス経済に打撃を与える懸念が強い。
 実際、イギリス経済界は、コービン首相となるよりもブレグジットの方がマシという意見が大勢なのだ。
 最善のシナリオは、労働党、保守党とも過半数に達せず、その責任を取る形で労働党はコービン党首が、保守党はジョンソン党首が辞任し、もっと穏健な指導者が党首になって、いずれが組閣しようと、先ず再国民投票を実施し、EU残留多数の結果、となることだろう。
 そうなれば、3年以上のブレグジット騒動と時間の空費を何だったか、ということになるが、僕はイギリスのためにも、そして世界経済のためにも、それを強く望む。

昨年の今日の日記:「海水から採る天然塩にマイクロプラスチックを検出、天然塩を安全と思っていいのか」






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Last updated  2019.11.01 04:57:32



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