ソフトバンクの株を買った。ソフトバンクグループ(SBG)ではない、子会社の通信会社の方である(写真)。
◎株として面白みは薄いが
スタートアップ企業の投資で巨額の借入金を抱えた孫正義氏率いるSBGが財務改善のために保有株の処分をしている中での一環で、過半数を持つ通信子会社のソフトバンクの株も最大22%を売り出す。これによりSBGのソフトバンク株の保有率は61.5%から40%に低下するが、それでも圧倒的な筆頭株主で株主総会での拒否権も維持するので、連結決算の対象に留まる。
株として見れば、SBGの子会社だから上値は限られ、なんの面白みもない。それでも売り出しに応じていくばくかを購入することにしたのは、3つの特典があったからだ。
◎特典3つは魅力的
まず14日の値決め日の終値(年初来安値を付け1242円)に3%のディスカウントで買える。1株1204.5円だ。
しかも売り出しなので、株式購入手数料は取られない。
3つ目にこれが最も魅力的だったのだが、9月末の中間決算の配当金がもらえることだ。9月中間決算のソフトバンクの場合、権利付き最終日は今月29日。受け渡し日は9月23日だから、売り出しに応じた投資家はたった数日で、1株税込み43円の中間配当金をもらえる。最低単元の100株を買っても、4300円になる。先の1204.5円で割ると、税込みで年率7.14%の高利回りだ。
◎その上にバーゲンセール中
さらにこれはSBGの意図せざることだったろうが、安倍首相の電撃辞任表明を受けて次期首相に最有力に躍り出た管官房長官は、国際的に割高に張り付いている携帯電話料金の年来の値下げ論者だ。
他の通信株と同様ソフトバンクも、管官房長官が次期首相に最有力になった8月31日に下げ、さらに自民党新総裁に決まった14日の値決め日も、5.01%安と大きく下げていた(図=ソフトバンクのチャート。安倍首相辞任表明直後から出来高を伴って急落しているのが分かる)。
だから今回の売り出しは、バーゲンセール中のディスカウントセールと言える。
◎債券的価値は魅力的
配当利回りは、前述のように年間税込み7.14%である。これだけの配当利回りは、無配か減配が予想される業績不振企業の直近実績しかないが、ソフトバンクは親会社のSBGに配当金を上納しなければならず、また業績も大幅不振になるはずはないので、配当減になるとも思えず、債券感覚で十分に買えると思ったのだ。
なお2018年12月のIPOでの売り出し価格は1500円だった(18年12月20日付日記:「ソフトバンク上場、公募価格割れどころか15%安の悲惨な結果に;株式市場に大きな傷跡」、及び18年12月日付日記:「新規上場のソフトバンク株の購入をやめる、その理由は」を参照)。
上場初日は、売り出し価格大幅割れのスタートになり、その時に買った人は、(一時は売り出し価格を上回ったが)ほぼ全員が含み損を抱えている状態だ。戻れば売り、の姿勢の人は多いだろう。
◎1500円の売り圧力は強い
この売り圧力は相当に強いから、1500円を回復するのは容易ではない。
しかしもし回復することがあれば、速やかに売ってしまおうと思っている。それでも1割以上の利益になる計算だ。
売れなければ債券と思って、ずっとホールドし、年2回の配当を楽しみにするつもりだ。
ソフトバンクのこの前後に竹芝地区の新築ビル「東京ポートシティ竹芝」に移転する(写真)。
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