先進国クラブOECD加盟37カ国で韓国と並んでワースト1の日本――言うまでもなく武漢肺炎ワクチンの摂取率である。いまだに医療関係者の半分近くしか進まず、全国民の摂取率は1%程度だ。途上国を含めたアジア全体の4%よりも、はるかに後れを取っている。
◎出遅れに出遅れて
摂取率が約6割のイスラエル、同5割のイギリスは、目に見えて新規感染者数が減っているから、ワクチンが効果のあることは誰も否定できない明白な事実だ。それなのに、約1%の低迷を放っておいて、百貨店・大規模商業施設やレストラン、居酒屋などに休業を強いる国――それが日本である(写真)。
思えばファイザー製ワクチンの確保ですら、諸外国に出遅れた。最初の契約ももたつき、官邸は厚労省をすっ飛ばして直接、アメリカのファイザー本社と話を付けた。さらに供給も鈍いと見るや、先だっての菅首相の訪米で、首相はファイザー社のアルバート・ブーラCEOと直談判して、9月までに全国民分の確保も決めた。
◎ついに官邸もしびれ切らし、1万人規模の接種会場設営へ
そして官邸は、接種の進まないことにしびれを切らし、ついに自衛隊を動員して東京で1日1万人規模の大規模接種場を設けることに決めた。場所は、周辺県からも来られるように、大手町の合同庁舎3号館(写真、地図)が予定されている。大阪も、同じ規模の接種会場が開設される予定だ。
さらに厚労省のサボは、いまだにモデルナ社製もアストロゼネカ製のワクチンも承認していないことでも分かる。いずれも先進国では、どんどん接種されているのに、と憤りすら覚える。だから、厚労省にネジを巻かせるべく、大規模接種会場のワクチンにはモデルナ社製が予定されている。
◎平時モードの厚生行政
今や非常時だ。だから緊急事態宣言が発出されているのだろう。それなのに平時のように、ワクチン承認手続きが「ゆっくりと」進められている。
日本が、摂取率1%という不名誉に陥没していることは、厚労省の無能、サボタージュの結果、である。
今、自治体にワクチン接種業務がまかされているが、自治体の能力にもバラツキがあるほか、共通するのは「ブツ=ワクチン」の未到着のうえ、接種従事者の不足だという。
それなら厚労省は、結婚・子育てでリタイアした看護師を半強制的に総動員し、また歯科医にも接種を担わせれる努力をしているのだろうか。繰り返すが、今は平時ではない、非常時なのだ。
◎大規模接種には厚労省の医官・看護官も動員せよ
菅政権が、自衛隊の医官・看護官を動員して、1万人の大規模接種場を設けることにしたのは、まさに非常時らしい対応である。これには、厚労省にいる医官と看護官も総動員したらいい。
民間病院に武漢肺炎対応の要請もせず、平時モードで厚生行政を進め、新規感染者と重症者が増えたら、緊急事態宣言で国民に犠牲を強い、経済を締める――これこそ本末転倒の愚策、である。
昨年の今日の日記:「空を飛ぶ夢を育み、飛行1歩手前まで行っていた二宮忠八(上):ライト兄弟に先がけた偉業」