スターリニスト中国の最新国勢調査に基づいた詳しい人口発表が遅れている。4月初めの予定が、まだ発表されていない。29日、ごく簡単な「2020年も総人口は増加した」という発表があったきりだ(写真)。
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◎人口減少なら大躍進以来
スターリニスト中国の国勢調査は、10年に1度行われており、昨年12月までに最新の調査は終えている。IT時代だから、調査結果はすぐにでも出るはずなのに遅れているのは、衝撃的結果に党・政府の上層部の承認を受ける手続きが済まないのだろう、と見られている。
衝撃的結果とは、1959年~61年の毛沢東の最悪の大失政とされる「大躍進政策」による大人口減以来、60年ぶりの人口減となるかららしい。この時、一説には飢餓で農村部を中心に3000万人以上もが死んだとされる。
スターリニスト中国の人口は、直近までは14億人をやや超え、世界最多とされていた。それが、14億人を割り込んだ模様だ。場合によっては、推計人口が13.8億人とされるインドに逆転される可能性もあるという。
ちなみに戸籍登録に基づく出生数は、20年は前年比で約15%も減っている。
◎「一人っ子政策」の後遺症
原因は、武漢肺炎もあるかもしれない。世界中どこでも、感染抑制で人々の行動が抑制され、生活不安から人口の伸びの落ち込みが起こっている。
ただスターリニスト中国の固有の要因が、人口減を招いた可能性が高い。
それは「一人っ子政策」の後遺症、である。一人っ子政策は、すでに2015年に転換され、望めば夫婦は誰でも2人目を産めるようになった。しかし、人口政策転換の翌年1年だけは、合計特殊出生率が上がったが、その後は再び鈍り、一人っ子政策時代よりも悪くなっている。
人口維持には合計特殊出生率は2.1以上である必要があるが、スターリニスト中国では1.5を割っていて、この点では「先進国並み」になっている。ところが、スターリニスト中国ではその「不都合な現実」は認められず、公式推計は1.8とされている。
国勢調査による人口減は、公式の数値と食い違ってしまうので、党・政府の上層部の調整が必要になっているのだ。
◎都市部では若いカップルが住宅を持てず
さて、合計特殊出生率の低下は、長年の一人っ子政策のために、出産抑制が社会に制度として定着してしまい、また都市部での異常な住宅価格高騰で、若いカップルが住宅を持てなくなったことによる。しかも彼らは、自分たちの生活のゆとり感を求めて、子どもを望まなくなっている。
すでにスターリニスト中国では、生産年齢人口(16歳~64歳)が2013年にピークを付けて以来、ずっと減少している(図)。
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冒頭に述べた「2020年も総人口は増加した」という報は、比較年を明らかにしていない。前年より増えたのなら「増加」と言えるだろうが、前回の2010年に比べたのなら、直近の動向を反映しないニセ情報になる。
◎経済成長に足枷
欧米のメディアを意識してか、共産党系の環球時報は29日に、人口学者の見方として「来年22年にも人口が減少する」と報じている。
生産年齢人口に加え、総人口そのもののまで減少すれば、経済成長はこれまでのような6~7%などとうてい望めなくなる。おそらく数年内に2~3%程度の低成長に移行するだろう。
早ければ2028年にもスターリニスト中国はGDPでアメリカを追い越すという試算があったが、それも実現できないことになる(21年1月30日付日記:「武漢肺炎発生元のスターリニスト中国だけプラス成長のトンデモ劇で、アメリカを7年後に追い越すという悪夢;武漢肺炎ウイルスは生物兵器か」を参照)。
正式な詳しい発表に注目したい。
昨年の今日の日記:「疫学者・医学者独裁に国家を委ねてはならない(上)、緊急事態宣言1カ月延長に疑問」