欧州議会(下の写真の上=ブリュッセル)は、昨年末にスターリニスト中国と大筋合意していた欧中包括的投資協定を20日、凍結した(下の写真の下=昨年12月の首脳会議で欧中投資協定に大筋合意していた。左上が習近平、左下がドイツのメルケル首相)。
◎欧州議会議員などへの報復制裁に反発
協定批准に向けて審議していた欧州議会が、この審議を停止する決議を、賛成599、反対30、棄権58の圧倒的多数で可決したのだ。
欧中投資協定を、一部諸国の慎重姿勢を押し切って合意したドイツ、メルケル首相は、間もなく退任する花とすることができなくなった。
欧州議会が圧倒的多数で反投資協定に雪崩をうったのは、暴力を背景にした戦狼外交を推し進めるスターリニスト中国への反発からだ。香港の民主的自治の圧殺、ウイグル・ジェノサイドのうえに、スターリニスト中国が一部欧州議員らに報復の制裁を科したことの反感が広がった。
◎スターリニスト中国の制裁解除ない限り、投資協定は紙くずに
この3月、ウイグル族への人権侵害に対しEUは、スターリニスト中国の当局者に、1989年の6.4市民革命(天安門事件)圧殺以来、32年ぶりの渡航禁止や資産凍結などの制裁を行った。何をとち狂ったかスターリニスト中国は、この制裁を推し進めた欧州議会議員らに報復制裁を発動していた。今回の欧州議会は、故なきスターリニスト中国の報復に対して、再報復で報いた。
決議では、スターリニスト中国の報復措置は、「根拠が無く、恣意的」と非難、スターリニスト中国が一部欧州議会議員らへの制裁を解除しない限り、協定の審議には応じない、とした。
◎引退するメルケル首相にも痛手
決議では、「中国との関係ではバランスを取り戻すことが必要だ」とし、経済だけでなく、人権や民主主義などEUの重視する基本的価値観も含めて、スターリニスト中国との関係を再考すべきだという主張が展開されている。
スターリン主義者は、自己の行った決定は絶対無謬としているので、EUへの制裁を撤回することなどあり得ない。
これによりメルケル首相が推し進めた王中投資協定は、事実上、白紙撤回されたことになり、これはスターリニスト中国ばかりでなく、できれば有終の美を飾りたいはずの辞めていくメルケル氏にも痛手となった。
メルケル氏は、民主主義とは何かを、もう1度噛みしめるべきである。
昨年の今日の日記:「もたつくREIT相場、武漢肺炎が不動産価値に悪影響し、ホテル型、商業施設型、オフィスビル型は要警戒」