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2022.11.19
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カテゴリ:人類学
 これまでは数百万年前レベルのホミニンの展示だった。
 各年代段階のホミニン化石が揃っているエチオピアだが、ケニアに一歩譲るところもある。
 地層の関係で適当な遺跡がない、つまりケニア並みの年代の地層が河谷などで露出する所の少ないエチオピアには、目立ったホモ・ハビリス、ホモ・エレクトス化石がないのだ。

​◎ミドル・アワシュで発見されたホミニン化石​
 今後、エチオピアで育った古人類学者たちが本気で探せば、いずれは続々と見つかることだろう(僕がNMEを訪れた4年後にエチオピアでも100数十万年前のホモ・エレクトス化石の発見が報告されている)。
​ だからパラントロプス・エチオピクスの後には、展示はずっと新しい「ボド」化石になる(​写真​)。



 ボド頭蓋は、ミドル・アワシュで1976年に発見された。この頃、アメリカのドナルド・ジョハンソンらがハダールで展開して、ルーシーなどのアウストラロピテクス・アファレンシス化石を見つけるが、別の一隊はもっと新しい地層のミドル・アワシュで調査していた。

​◎脳容量1250㏄のボド​
 こちらの隊は、ジョハンソンらの見つけたルーシーのような目を見張るような大発見はなかったが、今では貴重な頭蓋、ボド頭蓋を見つけた。
 これは、アシューリアン石器などと共に見つかり、年代は60万年前頃だった。
 この頃になると、もうアフリカにはホモ・エレクトスはいなくなった。アジアには北京原人やジャワ原人(ピテカントロプス)が残っていたのに。
 おそらくアフリカのホモ・エレクトスから100万年前以降に派生分岐したホミニンである。
 ボドは、ホモ・エレクトスよりも明らかに進化していた。脳容量は1250㏄もあり、ここからホモ・ハイデルベルゲンシスと分類されている。

​◎頭蓋に石器で肉を削ぎ取られた跡​
 製作していた石器は、ホモ・エレクトスと同じハンドアックス主体のアシュール文化だが、ホモ・エレクトスのハンドアックスより薄く加工され、洗練化されていた。
 ホモ・ハイデルベルゲンシスで重要なのは、彼らの一派はヨーロッパにも拡散していたが(ここからネアンデルタール人が分岐進化した)、残ったアフリカの集団から後にホモ・サピエンスが分岐進化してきたことだ。
 ボドで特筆すべきは、頭蓋の一部に、鋭利な石器で肉を削ぎ取られた跡の微妙な石器の石器の切り傷が見られたことだ。
 僕も、ガラスケース越しに観察したが、やはり近くで観察できなたわけではないので、その痕跡を見つけることはできなかった。

​◎死者を悼む何らかの儀礼行為?​
 切り傷の意味は、今も確定的な答えはない。一部には食人(カニバリズム)という人もいるが、食うためなら頭蓋よりも首から下の身体部の方が肉がある。また頭蓋なら脂肪に富む脳の方が、ごちそうだ。脳を取り出すためにこじ開けた形跡はない。だから食人とは思えない。
 ちなみに顔面骨の傷は、ずっと新しいホモ・サピエンス・イダルツ(9月17日付日記:「エチオピア紀行(177):NME=ホモ・サピエンス・イダルツ頭蓋;古人類の測定年代は正しいか、論争の的となったイノシシ化石」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202209170000/を参照)にも認められた。
​ ホモ・サピエンス・イダルツ(写真)の場合、年代の新しい(16万年前頃)こともあり、儀礼的行為が推定された。死者を悼み、顔面に何かの変工を加えたのだろう。


 ボドもそれだとすると、死者を悼む儀礼は、古ければボドの頃にまで遡るということになる。

昨年の今日の日記:「矛盾だらけで悪評ふんぷんの岸田『10万円』給付」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202111190000/​





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Last updated  2022.11.19 04:06:49



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