|
|
|
2022.11.21
カテゴリ：金融と投資
仮想通貨（暗号資産）交換所大手のアメリカのＦＴＸトレーディング（以下、単にＦＴＸと略）が１１日、破綻した。これによりＦＴＸに預けてある投資家の仮想通貨がほぼ無価値となった。 累は日本法人にも及び、日本人投資家も多大な損害を被った。 ◎３０歳の天才大富豪 しかし被害は、それ以外の仮想通貨にも及んでいる。交換所の破綻リスクを警戒する投資家が世界的に仮想通貨の投げ売りをしており、数十兆円の資産が吹き飛んだ。 代表的な仮想通貨であるビットコインも暴落し、１万６０００ドル台で低迷する。 このＦＴＸは、若干３０歳のサム・バンクマン＝フリード氏（写真）というマサチューセッツ工科大というアメリカの理系最高峰大学を卒業した理系ボーイ。２０１７年に仮想通貨関連企業に加わり、２０１９年にＦＴＸを創業した。時に２７歳。   一時期、個人資産は数百億ドルとされ、天才とも称された。２０２０年の大統領選挙では民主党のバイデン候補に巨額献金をするほど羽振りが良かった（写真＝２０２１年にマイアミのアリーナの命名権を取得し、ＦＴＸアリーナとした）。少なくともこの１１月初めまでは。  ◎仮想通貨交換業最大手から１日で見放されて そのバンクマン＝フリード氏の転落は早かった。きっかけは、仮想通貨交換業最大手のバイナンスが９日、その前日に合意したＦＴＸの事業買収方針を１日で撤回したことだ。「資産査定の結果、我々の手に負えない」というコメントを残して。 これで一気にＦＴＸの信用不安が広がった。中心には、バンクマン＝フリード氏が個人所有するアラメダ・リサーチという投資会社があった。同社は、１００社超の新興会社に投資実績があったが、保有資産の健全性が疑われる事態に発展した。 同社の内部文書によると、資産の１５０億ドルのうち４割はＦＴＸが発行した仮想通貨トークン「ＦＴＴ」だった。ＦＲＢの進める金融引き締めで、ＦＴＴが値下がり、さらに投資資産も損失含みだった。アラメダに融資したＦＴＸは、そのＦＴＴを担保としていた。 ◎ソフトバンクグループも１億ドルの損失 こうしてアラメダはもちろんＦＴＸも危ないとの見方が広がった。後はバイナンスからも見放されて、坂道を転がるような転落となり、１１日の連邦破産法１１条の適用申請、倒産であった。 ＦＴＸの破綻で、ＦＴＴも紙くず同然になり、日本人投資家も含めて、現金を引き出せなくなった。ちなみに日本のソフトバンクグループ（ＳＢＧ）は、ＦＴＸに１億ドル投資している。ＳＢＧは、損失処理を避けられない。 ◎何の資産の裏付けのない「架空」の通貨 こうしたことは、いつかは、と予想された事態でもある。株や債券と異なり仮想通貨は、ステープルコインを含めて、資産の裏付けがない。ただ需要だけで値段がついている。だから「王様は裸だ」と勇気ある１人が声を出し、信用力が疑われると、大量の売りが出てきて、しかも底値が判断できないので、時には１００分の１にも大暴落する。 ３０歳のバンクマン＝フリード氏は、億万長者の「神様」からただの負債に負われる資産ゼロのプータロウに転落した。一蓮托生となった投資家も、少なくないだろうが、そもそもそんな怪しげな仮想通貨に手を出したのは「身から出たさび」とも言える。
昨年の今日の日記：「ホモ・ナレディの幼児遺体が狭小なライジングスター洞窟のさらに奥で発見、埋葬の萌芽か」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202111210000/ お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
Last updated
2022.11.21 05:21:32
[金融と投資] カテゴリの最新記事
|
