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2023.10.15
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カテゴリ:考古学


 ある洋書を読んでいて、今まで見逃していたイギリス科学誌『ネイチャー』発表の記事が実に興味深いものであることに気がついた。その洋書の参考文献欄から、その記事にたどり着いた。

​◎マルケサス諸島からの遺伝子を先住アメリカ人の中から確認​
​ スタンフォード大学のアレクサンダー・イオアニディス博士(写真)らの国際研究チームが『ネイチャー』2020年7月8日号に発表したものだ。



 彼ら研究チームは、太平洋諸島の17島島民と南米西海岸(太平洋岸)の先住アメリカ人15集団の計807個体の遺伝子解析し、かつて小規模ながら、東ポリネシア人と先住アメリカ人の1集団との間に遺伝的交流のあったことを突き止めたのだ。
 それによると、ポリネシア東端のイースター島(ラパ・ヌイ)に紀元1200年にマルケサス諸島から植民の行われた100年近く前に、南米の現在のコロンビア海岸に到着したという。コロンビアの現生先住アメリカ人に、ポリネシア人の遺伝子が混じっていたのだ。

​◎ナンセンスだったヘイエルダールの実験航海​
​ スペイン到達前の南米で、かつて太平洋のポリネシアと交流があったのではないか、と少し前まで考えられていた。イースター島の巨石像(写真)が、南米の巨石建造物と親和性があることから、漠然と考えられたもので、考古学的証拠があったわけではない。


​​​ しかし中には大まじめでその可能性を信じ、1947年にコンチキ号という帆付きのバルサ材筏で太平洋に漕ぎ出したノルウェーの探検家トール・ヘイエルダールがいた(写真はニューヨークのエクスプローラーズクラブで計画を話すヘイエルダール=右から2人目、は太平洋に漕ぎ出したコンチキ号)。




​​
 その実験航海は失敗し、しかも筏造りに当時は無かった近代装置を用い、また航海には近代的航法機器や各種無線通信機・発振器、ボートなど当時のテクノロジー産物も使用していた。むろんヘイエルダールが想定した先史時代には、そんなテクノロジーは無かったから、まともな考古学者から「真の実験ではない」と一顧だにされなかった。

​◎新大陸にいなかったニワトリの骨​
 ただその後、南米原産のヒョウタンが太平洋諸島やニューギニアなどにあることが分かり、ある程度の交流の可能性が浮上した。ただしヒョウタンは、海流で島に流れ着いた可能性も無くはなく、決定打を欠いた。
 しかしコロンブス到達以前に、南米から西に向かったのではなく、太平洋を東から南米大陸に渡った集団がいたのは、やはり事実だった。
 まず2007年に、南米チリの遺跡でニワトリの骨が見つかったことで、その可能性が浮上した。アメリカ大陸では南北いずれの大陸でも、ニワトリが飼育されたことはない。その骨の放射性炭素年代は、コロンブス到達より100年も古かった。
 一方、ニワトリは、東南アジア島嶼部から出発した先史人が、ミクロネシア、メラネシア、さらにポリネシアに移住して行くのに、ブタとイヌと共に舟に乗せた大切な家畜だった。
 新大陸にいたはずがないニワトリがチリの遺跡で見つかったことは、一次的にもポリネシアから新大陸に接触のあったことを示す。

​◎コロンブス到達よりずっと前に太平洋諸島に南米原産のサツマイモ​
 さらに、太平洋諸島の島々にはコロンブス到達以前より前に南米原産のサツマイモが持ち込まれ、広く栽培されていた。
 考古学的にクック諸島のマンガイア島の900年前頃の住居址から、炭化したサツマイモが発見された。
 まずマルケサス諸島やソシエテ諸島に、南米に渡った先史ポリネシア人がサツマイモを持ち帰り、それが北のハワイ諸島、東のイースター島、さらに紀元1250年頃にはニュージーランドにまで持ち込まれたのである。
 ちなみにニュージーランドのマオリは、そこに群れていたモア各種を乱獲し、200年足らずで絶滅させたが、サツマイモは変わらぬ安定した食料として栽培されていた。まだこの頃、西欧人探検家はニュージーランドに現れていない。先史マオリが南米原産のサツマイモを出発地のソシエテ諸島から持ち込んだのは明らかなのだ。そのサツマイモは、それより前に南米から、いくつもの経由地を経てソシエテ諸島にもたらされていた。

​◎南米に到達したポリネシア植民者は「人口の海」に吸収されてしまった​
 イオアニディス博士らの研究は、ポリネシア人の南米到達の遺伝的証拠をもたらした。
 しかし無人島だった太平洋諸島への植民と異なり、南米には多数の先住アメリカ人が、すでにタワンティンスーヨ(インカ)文明を築いて繁栄していた。
 新天地を求めてようやく南米西海岸にたどり着いたマルケサス諸島の植民者は、大海のようなその「人口の海」に吸収されてしまい、植民地を築けなかったのである。

昨年の今日の日記:「習近平支配3期目、後半はゼロ成長が常態化か」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202210150000/​






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Last updated  2023.10.15 05:00:16



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