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カテゴリ:環境
世界には「天然水素」の産出地があるのを、最近、初めて知った。「ホワイト水素」とも呼ばれる。 ◎西アフリカではパイロットプラントで採掘10年余 理論的には考えられいたが、実際に初めて確認されたのは、1987年のことという。西アフリカ、マリの砂漠の中の「ブーラケブグー」という村で井戸を掘削していたところ、作業員のタバコの火が漏れ出たガスに引火して爆発した。水素ガスが漏れ出ていたのだ。 長らく掘削孔は塞がれていたが、2012年にフランスの「ハイドローマ」というエネルギー会社が、世界で初めて水素を燃料に発電するパイロットプラントを作り、ブーラケブグー村に二酸化炭素を全く排出しない電気を供給している(写真)。 水素濃度は98%もあり、10年以上、操業しているが、掘削孔内のガス圧は下がっていない。水素が地中で持続的に補充されていると見られる。 ◎これまで資源としては考えられもしなかった これまで天然水素は、資源として全く期待されていなかった。酸素と爆発的に化合するように、分子としての水素は化学反応がしやすく、すぐに他の化合物になってしまう。また軽くて、分子も小さく、漏れやすいので、地中に資源として利用できるほど大量に残るのは考えにくいと見られていた。 しかし脱炭素の世界的な高まりとともに、マリの事例もあり、あらためて探索の動きが広がった。 ◎地下で水から自然生成されるか 天然水素は、どうして出来るのだろうか? 炭素を含まないので、天然ガスのように大昔の生物の死骸が地圧と熱で変成して出来たものではない。地下の橄欖岩などの鉄を含む岩石が高温下で水と反応したり、岩石に含まれる放射性元素のエネルギーで水が分解されたりして生成されると見られる。 いずれにしても炭素を含まないので、温暖化効果ガスは出ず、まさに完全な脱炭素のエネルギー源となる。各国とも、争って自国内の探査を始めている。アメリカやオーストラリア、スペイン、ブラジル、フランスなどで存在が確認され始め、日本でもで報告されている。 ◎世界の埋蔵量は1兆トンか もし天然水素が商業的に採掘できるようになれば、世界のエネルギー事情は一変する。OPECもその影響力を失う。 アメリカ地質調査所によると、世界の埋蔵量は1兆トンという。世界需要を、数千年も満たす規模の可能性がある。ただしすべてが商業用に採掘できるほけではない。 アメリカの科学誌『Science』は、2023年の科学10大ニュースで「天然水素のエネギーラッシュが始まった」と、ニュースの1つに加えた。 ◎オーストラリアで進む採掘計画 オーストラリアの新興企業「ゴールド・ハイドロジェン」社は、同国北部のヨーク半島で試験掘削をしている(写真)。同社によると、「生産に適する世界でも数少ない場所の1つ」とし、少なくとも130万トンの埋蔵量があるという。昨年の11月、12月の探査では、最大で86%の水素ガスを検出した。 また南オーストラリア州でも、探査を進めている(写真)。 新たなエネルギー資源が、将来の地球環境を救うかもしれない。 昨年の今日の日記:「日本の旧国鉄の惨劇に学ばないスターリニスト中国の新幹線;巨額債務の上に年々大赤字が積み重なる」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202301070000/ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.01.07 05:59:27
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