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テーマ:英語のお勉強日記(7879)
カテゴリ:役立つ英語表現
春学期が始まり文字通り研究に忙殺されている。冬休み期間は学期中の慌ただしさが少し恋しくなっていたが、いざ学期が始まると年末年始のスローライフが少しだけ恋しくなる。改めて人間は常に自分にないものを追い求め、無いものをねだる自分勝手な生き物なのだと実感する。 オレゴンの旅を続いていた頃だ。友人の自宅にお世話になってアメリカ南部の伝統料理であるSalisbury Steakを振る舞ってもらった。(過去の記事はこちら)具材を買い込むためにオレゴンを中心に展開している大型スーパーであるFred Meyerに行った。明日の朝食のために卵を探していた友人がふと「お前が来ているからこれを買おう」とニコニコしながら手に取った商品があった。普通の鶏の卵パックのように見えたが、よく見てみると“Duck Eggs”と書かれている。アヒルの卵が売っているとは大変驚いた。鶏の卵と比べてみると幾分大きく少しだけ青みがかっていた。 翌朝、友人がアヒルの卵の目玉焼きを作ってくれた。見た目は鶏卵の目玉焼きと一切変わらないのだが、食べてみると下に纏わりつき、コクが強かった。なんとなくバーミヤンで食べたことがあるピータンに似ているような気がした。食べた感想を求められこの独特のえぐみをどう表現したらいいのか悩んでいると友人たちが会話を始めた。 “Duck eggs are really gamy!” “Yeah, that’s musky, you know.” 私の脳内は知らない単語に出くわすとすぐに反応してしまう。 「ゲイミー?」「マスキー?」 知らない単語と味わったことのないえぐみで私の脳内は大混乱を起こしパンク寸前に陥っていた。 オレゴンから自宅に戻ってきてから自宅の辞書で調べてみることにした。ジーニアス英和辞典第6版(大修館書店)には「<狩られた鳥獣たちの肉が>(調理前にしばらく吊るしておくうちに)匂いが強くなった《主に食通が好む》」と書かれていた。スーパー・アンカー英和辞典(学研)にも「(鳥獣肉が)傷みかけてにおう(一部の食通が好む状態)」と記載があった。どちらも似たような記載なのだが、今回のネイティブのgamyの感覚とは若干ズレがあるようにも感じられる。 私が感じた違和感は両方の辞書ともに鳥獣の「肉」に限定している点だ。今回の件からすると肉に限定するのは正しくないように思えた。二つ目の違和感は両方の辞書ともに「腐らせる(発酵させる)」プロセスを経ていることだ。今回のアヒルの卵は炒めただけで腐らせる手続きはとっていない。両方の辞書に共通している「食通が好む状態」という記載を最大限尊重して「(発酵や調理などを経て)えぐみがある、独特の風味がある(一部の食通が好む状態)」くらいが適訳なのではないかと思った次第だ。 因みにmuskyも同様に2冊の辞書で調べてみたのだが、「ジャコウ[ムスク]の(ような)香りの」としか記載がなかった。辞書の字面通り記憶していたらアヒルの卵の感想を求められてもgamyやmuskyはきっと出てこなかっただろう。これらの単語は英検やTOEICのような資格試験にも出てこないだろうし、IELTSやTOEFLのようなアカデミックな試験にもなかなか登場することのない穴場英単語である。 以上、アメリカで出会した新たな単語とその単語と英和辞典にあった定義の若干のズレについて述べてみた。 非常にマイナーな英単語をアメリカで暮らす現地の視点から述べてみた。記事を楽しんでいただけたら嬉しい。さて、現実逃避をやめて課題に励むこととしたい。 写真:アヒルの卵
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最終更新日
2024.01.28 07:15:08
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