山への情熱　音楽への愛

６月ももう最後の日となった。日々の流れはとてもゆっくりなようで過ぎてみればあっという間だ。今日も一日梅雨空ですっきりしない日だった。ふと教室の床の上を見ると茶色い物が落ちている。近寄ってみると蛾だ。今年は蛾に縁がある。弱っているようでほとんど動かない。表側には小さな紋が二つあるだけで地味な色合いだが、裏返してみるとシックなベージュ色の上に眼玉のような斑紋が大小たくさんある。なかなか大胆なデザインだ。これはきっとヤママユガに違いない。どうしてこんなところに飛来してきたのだろう。
 
ヤママユガはお蚕さんと同じようにマユから繊維を作り出す野蚕である。昔、夫のおばあちゃんからヤママユガのマユから取って作った着物を頂いたことがあった。当時はそんな貴重なものとは知らず、着る事はなかったがずっと保存している。布の表面の艶が良く、手触りも良かった。思わぬ所から昔のことを思い出してしまった。あの優しかったおばあちゃんに何の親切も労りもしないで人として最低の酷い私だ。