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山への情熱 音楽への愛

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2017年07月01日
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遂に「蜜蜂と遠雷」を完読した。めったに会えない素晴らしい本だった。国際ピアノコンテストが舞台でそこに参加する若いコンテスタントの葛藤と成長を描いた物語だが、ストーリーとは別に音楽評論、音楽教育の話にもなっている。耳で聴いて感じる音楽を言葉で表現するのはかなり難しい。なのに著者の恩田さんはピアニストでも音楽関係者でもないのに、その表現力がハンパじゃない。どうすれば音楽を表すのにこのような表現が可能なのかとても不思議だった。中でもコンテスタントがピアノを演奏する時の心の動きが想像以上に深くかつ具体的に表現されていて驚いた。
読み始めるとともにストーリーの斬新さ、特にコンテスタントの際立った個性と生き方の対照性、ピアニスト、調律者、ステージマネージャー、審査員などコンテストの現場にいる人々全てが描かれているので、音楽に対して視点を変えた様々な見方が示されていてすごく面白かった。とにかく惹きつけられて先を急いで読みたかったが、筋書きを争って知る物語ではない。急いで読むにはもったいなくてその珠玉のような文章を一字一句じっくり噛みしめて味わい、ゆっくりゆっくり読んだ。毎日毎日が楽しみで読んでいる間中、幸福感に満たされた。実に満足できる傑作だった。
        rblog-20170630140900-00.jpg  本と著者の恩田陸さん





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Last updated  2017年07月01日 10時40分04秒
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