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カテゴリ:フランス料理の文化と歴史
大阪の豊中に非常に評判の良いレストランがあります。30席あまりがあるのですが、ランチ、ディナーとも1回転づつ満席になるようなお店です。もちろん、料理も美味しいとの評判もあり繁盛しています。
ただ、立地は決して便利とは言えなさそうです。最寄の駅から歩けば40分以上あり、タクシーでも利用すれば1000円は軽く超えてしまいました。家賃が低く抑えられて経営にゆとりが出来るからであろう、と私は考えていました。 ある時、当のレストランのオーナーシェフと話す機会があって、私も兼ねてからの疑問を尋ねてみました。 「シェフ、あそこの場所でしようと思わはったのは何でなんですか?決して立地とか良くないですよねぇ?」 シェフは豪快に答えてくれました。 「ははっ。建物の雰囲気が気に入ったからなんや。電車使う人からみたら、便利や無いけど、今時フランス料理食べに来るような人は大体車持ってるし、ワインも飲むからタクシーに乗ることもそんな不便に思わへんで。」 なるほど… ミシュランがグルメのガイドブックを創刊したのは1900年、日本ではまだ明治時代の中期。 その時代、車を所有する層というのは結構ブルジョアか少なくともお金持ちであったことはまちがいありません。ミシュラン社のタイヤを買おうとするような人は少なくとも上流階級の社会に属する人々であったでしょう。 車のタイヤという当時の「上流階級のシンボル」であったからこそ高級ホテル、高級料理店を各付けするに至ったのであると思われます。 現代では発行部数はゆうに50万部を越え、世界中のシェフがグルメが、発刊のたびに注目するのです。 さて、このミシュランガイド、こういったフランスの文化の流れの上に成り立ったものです。日本とフランスと食文化ではいろいろと差異がありますよね。 日本人からしてみれば、今回の「日本ガイド」。創刊について例えるなら、 「走っている車に座席に跳び乗るような感覚」 かもしれません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jul 7, 2005 05:39:09 PM
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