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カテゴリ:フランス料理の文化と歴史
ヨーロッパにおいてもっとも古く「食器、皿」のような感覚で用いられたものは硬くなったパンでした。
食卓には硬くなったパンを薄切りにしたものが置かれ、その上に料理をとって食べていたのです。このパンはそのままで食べることもあり、また煮込み料理などは液体を吸わせてそのまま食すことができました。このパンを「トランショワール」と呼び、英語読みのトレンチャーといえばレストランで使う「お盆」の事として言葉が現在でも残っています。また同時に木製のまな板のような木の板も用いられ、鉢のように深さを持ったものが「タイヨワール」と呼ばれました。 時代を経てくると、王侯貴族の中では、次第に錫や銀といった金属製の食器が使われはじめます。鉄は食材の味の変化を引き起こし、また銅製品は緑青など体に有害な物質を発生することもあるので、錫が主に使われ、豪華な食卓を演出するためには銀器が用いられました。 16世紀中盤の後に中国で生産された磁器がシルクロードを渡ってヨーロッパに入るようになります。 当初輸入品であった磁器は非常に高価であり、輸入の中継地のイタリアの地名から、フィアンスとよばれ、磁気の食器セット一組は軍隊1個師団と同じ価値を持つとされ、等価に交換される対象でもありました。 17世紀初旬より、ドイツのザクセン、フランスのリモージュなどにおいて磁器の生産可能な地層の発見、またイギリスのボーンチャイナ法の発明などにより、ヨーロッパ諸国においても磁器の生産が始まりました。 それまでの木製、陶器製の食器では皿の上でナイフを使用すると器が傷付いたり、ナイフの刃が欠けてしまうといった難点があったのですが、磁器は硬度が高く、表面も滑らかであるという特性を持ち合わせていました。磁器の登場によって、食卓において各々の個人がナイフを使うようになったのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Sep 6, 2005 02:37:55 AM
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