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カテゴリ:フランス料理食材探訪
![]() お正月と言えばメデタイの「鯛」フランス料理でも度々使用される食材です。 先日のクリスマスではメニューの魚料理に鯛を使った料理も含まれていました。仕込みも大量に行われますので何匹もの「鯛」が当店にも入荷されます。 どんどんと魚を下ろしていく同僚のキュイジニエ、そのうち一匹を下ろしたところ、 「あ~、焼けてますやん。コレ」 焼けてる?生やのに? 写真ではわかりづらいのですが、写真上の鯛の身はつやがあり透き通っていますが、写真下の鯛の身は乳白色がかっていています。この2つの鯛は、いずれも同じ日時で水揚げされ、私の店に入荷されたので、新鮮さと言う意味では全く時間的な違いはありません。しかし、ポアレなどにしても写真上の鯛の身の方が美味しく焼き上がります。 乳白色がかった身、こういった状態を私の店では「焼けている」と呼んでいます。(呼び名は全国共通でもないとは思われます) この状態の差は絞める時、つまり、屠殺の際の状態が上手く行かなかったことを表しています。 「絞める」というのは水揚げした魚、真鯛であれば頭のすぐ後ろ、背骨が始る部分に深く包丁を入れ、血液が抜けやすいよう尾びれの付け根にも切りこみを加えて屠殺する方法です。この時、速やかに、かつ、魚にストレスを与えないように屠殺する方が望ましいのです。 ストレス、とは絞める時に苦痛を与えてしまうことです。一瞬で絞めることが出来ずに魚が生き延びようともがくと、体内のエネルギーを消耗し、筋肉に疲れの成分が残ったまま死亡してしまう事になるので、味にも影響を及ぼします。 魚の肉も死後、一旦肉が堅くなる「死後硬直」が起こります。死後硬直の間に魚肉の中で様々な科学変化が起こって旨味成分へと変わるのですが 硬直の速度については即殺したものが遅く、苦悶死させたものは速くなります。そして硬直がゆっくり進む方が品質的には高いと言え、苦しませて屠殺したものは死後硬直が早く進み、そのため品質劣化が早くなることになります。 魚介卸店では、死後硬直をゆっくり進めるためにも絞めた魚をすぐに氷に当てたりしているのですが、多くの魚を一度に絞めるような場合、魚どうしが重なったりして充分に冷却できず時々こういったケースが起こるそうです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Dec 29, 2005 05:13:26 PM
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