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カテゴリ:サーヴィスの理論と哲学
先日の4月17日は「全日本メートル・ド・テル連盟 関西本部」による、サーヴィスの講習会が開催されました。
私も役員の一人なのですが、しばらく仕事の都合でここ半年あまり顔を出していませんでしたので、久しぶりの参加です。 しばらくぶりに会った知人の中には、何処から見つけてきたのか、このブログをご存知の方もいらっしゃって、少々恥ずかしい気にもなりましたが、、、ははっ(^^;) また、どうかご同業の方もこちらを見られたら、コメントに足跡でも残していって下さいまし。 さて、講習会の模様は近日中に「全日本メートル・ド・テル連盟関西本部」ホームページにて、公開されることになると思いますので、また、あらためてそちらをご覧下さい。 メートル・ド・テル連盟のセミナーは座学、実技、懇親会の3部構成になっています。 座学講習の今回のテーマは、「レストランサーヴィスの概念と、そのカテゴリー」についてだったのですが、その中でカール・アルブレヒトによる「顧客の価値の4段階」についての引用がありました。 カール・アルブレヒトはアメリカ合衆国における経営コンサルタントの第一人者です。国際的にも数多くの企業向けにサービス・マネジメント・プログラム開発のコンサルティングを手掛け、代表的な著書に「サービスマネジメント革命(HBJ出版局)」や「逆さまのピラミッド(日本能率協会)」などが邦訳されています。 さて、カール・アルブレヒトの提唱する「価値の4段階」とは、 ?基本価値 ?期待価値 ?願望価値 ?予想外価値 と、名付けられ、基本価値→期待価値→願望価値→予想外価値の段階を追って、顧客に与えられる感動の大きさが増大していくといったものです。 まず、「?基本価値」とは当然求められる各々のお店についての価値です。 例えば、ファスト・フードにおいてはファスト、つまり「fast=早い」ことがそのお店を選ぶ顧客の第一の動機ですので、料理の提供時間が早いことがごく当然の価値であるといえます。また、専門料理の高級店などにおいては、高単価である以上、「美味しい料理」「心地よいサーヴィス」はあって当然、なのが「基本」的な価値であると言えます。 第2に「期待価値」です。 期待価値以上のものが「付加価値」とも言えるものです。同じ金額を商品に支払った際に、差別化することができるのは、価格以上の何らかのプラスアルファに拠るところが大きいのです。デザイン性に優れた商品であるとか、料理で言うならば、流行の先端を捕らえている、話題の食材を用いると言うのも「期待価値」に含まれるでしょう。 そして「願望価値」と名付けられた価値。 お客様が「こうだったらいいなぁ」と想像することを、具体化出来る能力の価値です。例えば、高級レストランを利用する場合においては、誕生日であるとか、結婚記念日であるとかの「大事に思われる日」のために利用されることもままあります。 予約の際にも「連れが誕生日なんですけども、、、」とのお申し出があることも多いのですが、この「誕生日なんですけれども、、、」の言葉の後には「何か素敵なイベントはありますか?」などの「お客様の願望」が隠されているのです。この「願望」を具体的なプレゼンテーションに還ることによって、価値=お客様の満足度は高まります。 「予想外価値」とは、潜在的に持っていた「願望」では無く、想像していなかったサーヴィスを提供することによって「サプライズ・驚き」をもたらす価値であるといえます。 先の「記念日」のレストランにおけるプレゼンテーションを、お客様からの申し出が無かったとしても提供出来るのか、と、いった感覚です。 例えば、お客様どおしの会話を小耳に挟んだ中から当日が何らかの「記念日」であることを察知したり、雰囲気から読み取った上で、お店からのプレゼントを用意したり、といった「サーヴィスのテクニック」です。 お客様は「言わなかったのに、なぜ分かったの?」という感覚に陥ります。これが「驚き」であり、感情を揺さぶられることは長く記憶に残ることになります。 感情に働きかけること、つまりこの行為が「感動を生み出す」という行為でもあります。 「感動を生み出す」事は、その感動が大きければ大きいほど、記憶から忘れられにくくなります。この、記憶から忘れられにくくなる時間の長さこそ「価値の4段階」に設けられた意味であるとも言えるのです。 モノが豊かになった現代社会において顧客の購入の動機はなかんずく「衝動買い」に走る傾向があるといえます。衝動、つまり感情に働きかけねば商品の購入を促す動機になり得ないということが言われるようになりました。 感情、エモーションに働きかけるというのは、実は「記憶に長く残る経験があった」と言うことで、お店に対するリピーターのお客様とは、それが先週のことであれ、10年前のことであれ「過去の記憶」によって生まれるものと言えるかも知れません。 と、言うことは、感情を揺り動かす手法とは、「サーヴィス」を駆使することに他ならないのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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