おくゆかし
おくゆかしここで暮らすようになってもう随分経つけれど今年ほど穏やかに、ゆっくりと秋の美しさと優しさをこの街が魅せ、味あわせてくれたことがあったろうか・・・陽光が風が、夏よりも穏やかに、そして冬では顔には決して表さないような渋さで木々を、小枝を、落葉を、照らし普段は表情や、感情を、押し包み隠し、ただただ、そこを行き過ぎていく人々の日常の、無機質なバックグラウンドになりはててしまっていたこの街の風景に 秋化粧 を施していた。ひとつ、ふたつ古傷をもってしまってから、凩(こがらし)が吹き過ぎて往くのを本能的に拒んできたこれまでのわたしのこゝろに秋 という季節がこれほどまでにこゝろにくい季節であったことを微笑して指し示してくれるかのように・・・にほんブログ村にほんブログ村にほんブログ村