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カテゴリ:万年筆
モンブランの筆記具では、実質的に最高峰となるのが「マイスターシュテュック」シリーズ。
「マイスターシュテュック」シリーズとしては、149、164を持ってますので、これで3本目ですが、今回のモデルは趣が違います。 1950年代には、所謂モンブランらしい形であるバランス型の「マイスターシュテュック」が充実していましたが、1959年には、149を残してすべて廃盤となります。 60年代には、全くデザインが異なる2桁型番のモデルが主流となりますが、今回紹介する「No.12」もその1つです。 「No.12」のサイズや基本的なデザインは、下位モデルである「No.22」と変わりません。 「No.22」との大きな違いは、キャップリングの形状と尻軸にリングが入っている事、加えてペン先が14金ではなく18金である点です。 そして、10番台モデルの「No.12」と「No.14」には、「マイスターシュテュック」を名乗ることが許されています。 これは、更に上位の70番台、80番台、90番台も同様ですね。 キャップは、嵌合式。 嵌合式は負荷がかかるので、樹脂製の嵌合式キャップは、この時代のモデルのボトルネックだったりします。 60年代には、螺子式のキャップは、廉価版のNo.32に採用されていましたが、上位の2桁モデルはすべて嵌合式。 どうも、この時代は嵌合式のキャップを高級な機構と位置づけていたようです。 「No.22」のインクビューが青であるのに対して、「No.12」は、ゴールド色を意識した黄色になっています。 高級感を出すため? キャップの仕様は、「No.22」のものと大差ないのですが、「No.22」とは、リングの形状が異なり、リングのサイズも大きなものが採用されています。 リングの違いだけでも、随分と違った印象になりますね。 キャップリングには、「MONTBALNC」、「MEISTERST?CK」、「No.12」と刻印。 「No.」の刻印があるので、後期型です。 吸入機構には、モンブランお得意のピストン吸入式が採用されています。 形こそモンブランらしくないですが、やはりモンブランは、ピストン吸入式が良いですね。 尻軸には、リングが入って高級モデルであることを主張している? 天冠と軸の後ろには、ホワイトスター。 やっぱり、モンブランにはコレがないと。 70年代のモデルは、このホワイトスターが安っぽく、脱落しやすいですが、60年代のモデルのホワイトスターは、そんな事はありません。 ペン先は、18金。ペン芯はエボナイト。 フーデッドニブなので、大部分は首軸に隠れています。 ペンポイントの大きさからすると、筆記線はMくらい。 ペン先はユニットになっており、首軸で隠れている部分に「MONTBLANC」、「18C」、「750」、「12」と刻印があります。 ペン先の形状は50年代から存在するウイングニブです。 現在のペン先と比べると、よく撓ることで知られているペン先ですね。 20番台にも、同じ形状のペン先が採用されていますが、18金だからと言って、14金の「No.22」や「No.24」と比べてよく撓るというわけではありません。 同じく60年代のモデルである「No.22」、「No.24」と比較しました。 「No.12」の長さは130mmほどで、「No.22」とほぼ同じサイズ。 「No.24」は、長さ136mmほどで、「No.12」と比べると一回り以上、大きな印象です。 「No.12」は、高級モデルという位置づけですが、下位の「No.22」と仕様に共通な部分が多いためか、正直、あまり差を感じない点が残念です。 60年代のモンブランは、仕様の共通化により、生産効率を高めて生き残りを計った感じがしますが、もう少し頑張って個性を出して欲しかったです。 では、最後に、いつもの如く、汚い字で書いていました。 使用した紙は、ブロックロディア。5mm方眼が入っています。 インクは、モンブラン ロイヤルブルー。 比較は、 モンブラン No.24 モンブラン 042G モンテローザ です。 国産のMよりもやや太め程度の筆記線になりました。 インクフローも良好で書き易いです。 ウイングニブらしく撓りがありますが、手持ちで比べると、14金ペン先で、ペン先の大きい「No.24」の方が撓りが大きいように感じます。 そもそも、撓りに関しては、個体差が大きいように思うので、金の純度、ペン先の大きさは無関係かもしれません。 柔らか過ぎるペン先は、コントロールが難しいですが、No.12などのウイングニブは、程よい撓りを持ち、とても扱いやすいので、気に入っています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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