辰巳ダム建設費5億円増・証券優遇税制ただし子どもの医療費窓口無料化を
12月14日に閉会した石川県議会。2回の討論にたちましたが、うち知事提出議案・請願の討論の大要を紹介します。 洪水対策にも役に立たない辰巳ダム建設費が5億円も増えたこと、県独自で大資産家へのゆきすぎた減税である証券優遇税制をやめれば現行制度の枠内での子どもの医療費窓口無料化ができること、なども指摘しました。2011年12月議会 知事提案・請願討論の大要(1)知事提出議案 日本共産党は、知事提出議案15件のうち、第1号、そして第3号、第5号ないし第7号の5つの補正予算に反対し、第11号、第13号、第15号にも反対、その他の7件には賛成します。その理由を述べ、討論します。・まず第1に、第1号・一般会計補正予算、そして第3号と、第5号ないし第7号の5つの補正予算は、今議会初日に多数をもって可決した知事提出議案第8号・職員の給与削減を前提にしたものです。私が本議会開会日11月30日の討論でも強調したように、3月11日の東日本大震災からくみとるべき教訓は、「安全・安心の町を」という住民の願いにこたえられる自治体や職場をつくることであり、職員給与減額の補正関連予算には反対します。・また、第1号・一般会計補正予算について、知事は提案説明で、公共事業の追加は、防災対策とともに、「道路整備等において、完成・供用等の効果の発現が早期に得られる箇所」を中心に、事業費の確保を図った、と述べましたが、問題はその内実です。 特に、道路建設費6億4千万円の予算のうち、地方道改築費に計上されている、金沢能登連絡道路は、9月議会での討論でも指摘したとおり、不要不急というべきものであり、わずか3.4キロメートルの道路整備に50億円もの税金を使う予算には反対です。・今、県政に求められているのは、不要不急の大型事業を抜本的に見直し、この議会で3度にわたって議決された、子どもの医療費窓口無料化の予算化をはじめとした、県民のくらしと命を守る施策を充実させることではないでしょうか。・第2に、第13号の県税条例の一部を改正する条例についてです。第1条は、森林環境税の延長ですが、本来、間伐など林業振興財源は目的税に依存するのでなく一般会計のなかでやりくりすべきものであります。均一課税の是正が必要かつ緊急に求められていることを指摘しつつ、間伐の実施などの必要性からみて賛成します。・問題は、条例改正の第2条です。・議案の提案理由にも明記されていない、国の地方税改正による、証券優遇税制の2年延長に伴う措置です。県は、国の法律改正に伴う実務的な処理と説明するかもしれませんが、ことはそう単純ではありません。・そのひとつは、100万円以上の株式配当所得にかかる税率を本来の5%から3%に軽減すること、500万円以上の株式譲渡所得にかかる税率を、これまた本来の5%から3%に軽減するという、文字通りの大資産家優遇になっていることです。国会でも、東日本大震災の復興にあたっているときに、大金持ちには減税し、庶民には消費税の大増税を強いるのか、との批判の前に、野田総理ですら「さらに延長することはない」と答弁せざるをえないほど、批判が集中しているものです。・二つ目には、本来減税しなければ、県に入ってくる収入は、県の試算によれば、3億2千6百万円増えたはずであったことです。これは無視できない金額であり、ちょうど、子どもの医療費の窓口無料化を、対象年齢を変更せず行う財源3億3千万円とほぼ一致するではありませんか。県独自でゆきすぎた大資産家減税をやめれば、子どもの医療費の現行の枠内での窓口無料化の財源は捻出できるのであります。・この見地から、県税条例の改正には、第2条にのみ反対をいたします。・第3に、第15号・辰巳ダム建設工事にかかわる請負契約の一部変更についてです。これは、地盤の関係で、建設工事費用が増えたものであり、その額も5億円という無視できない多額の血税です。そもそも、犀川周辺の洪水対策は、河川整備などで対応できるものであり、総額240億円もの辰己ダム建設は不要のものでした。専門家からは、ダム貯水による地すべりの危険性が指摘されていたおり、地盤の関係でさらに建設費用がかさむことについては、到底容認できるものでありません。・第4に、第11号・指定管理者の指定についてです。所属する総務企画委員会に付託されたものには賛成したものの、県営住宅の指定管理者に関わっては住民の方々から「修理してほしいとお願いしてもなしのつぶて」「県に声がとどきにくくなった」など、住民サービスの低下につながっていることから、反対をいたします。(2)請願 次に、請願12件について、うち11件は紹介議員として、すべての採択を求めて討論します。1)消費税増税反対・第一に、請願第15号・消費税増税反対に関する請願です。今、野田内閣がすすめようとしている「税と社会保障の一体改革」は、社会保障制度の大改悪をやりながら消費税を2倍にするという、これまでのどんな庶民増税・社会保障改悪にもなかった最悪のものであり、論外といわなければなりません。・そもそも、消費税増税は、所得の少ない人に重くのしかかるものであり、社会保障財源として最もふさわしくないものです。では、社会保障の財源をどうするか。・日本共産党は、以下の3つの内容で、財源を段階的に確保しながら、段階的・連続的に社会保障の拡充に踏みだすことを提案しています。・ひとつは、大企業・大資産家への減税を中止し、軍事費、大型開発、原発関連予算、政党助成金など「聖域」を設けず歳出のムダにメスを入れることです。・第2に、欧米で検討されている富裕層への課税強化、大企業へ応分の負担を求める税制改革です。・第3に、社会保障の抜本的拡充の財源を支えるため、所得に応じた負担を求める税制改革です。・こうして、社会保障財源は、ムダの削減と、「応能負担の原則」でまかなうべきであり、このことを求める請願者の趣旨をくみとり、紹介議員として各位の賛同をお願いいたします。2)教育関係・第2に、教育に関わる3つの請願です。・第13号・特別支援教育の教育条件整備について、の請願には、4,282名の署名が添付され、追加署名は1,057人、合計5 ,239人となりました。第14号・ゆきとどいた教育を求める請願は、2,747名の署名が添付され、追加署名374人で、合計3,121人となりました。・私も紹介議員の一員となった、第23号・私学助成の充実を求める請願は、14,483人もの署名が添付されました。・教育の機会均等は、憲法の要請でもあり、同じ趣旨の請願21号とあわせ、採択されるよう強く望みます。・最後に、請願第16号ないし20号(「介護職員待遇改善交付金事業」を継続する請願、原発事故による放射能汚染から子どもの健康を守る請願、国保広域化の慎重な対応を求める請願、後期高齢者医療制度の速やかな廃止、75歳以上高齢者医療費無料制度)、そして22号(地域主権改革に関わる条例委任)についても、請願趣旨にあるとおりに、いずれも県民の切実な願いにもとづくものであり、各位の賛同をお願いして、討論を終わります。