目覚めの海へ。(その3)
(・・その2から続く)それからしばらくの間、私は窓辺で強風の吹きすさぶディズニーシーのパーク内の様子を眺めていました。私達の部屋の真下の水辺の際の石垣には、おそらくディズニーシーの営業再開と同時に始まった新しい夜の水上ショー「ファンタズミック!」の観賞場所を確保していらっしゃると思われる何組ものゲストの方が座り続けていらっしゃいましたが、どの天気予報を見ても風が止む気配はまったく無く、この調子ではこれからあとの屋外のショーはどれも開催されたとしても内容変更になる可能性が高そうに思われました。でも、窓を開けると風の音と共にアメリカンウォーターフロントの方からはドックサイドステージで15:30から行われているショー「テーブル・イズ・ウェイティング」の音声がずっと聞こえてきていて、この強風にもかかわらず途中中断することなく順調に最後まで上演されたようだったので、夫と私はこのショーの夕方の回を観にいってみようということで意見が一致しました。私達は16:30過ぎに部屋を出て、まずはサローネ・デッラミーコに立ち寄って部屋で記入してきた「ラゲッジオーナメント」の注文書を預けました。(18:00までに申し込めば当日中に「ミッキランジェロ・ギフト」で受け取れるとのことでした。それ以降の申し込みだと翌日の受け取りになるとのことです。)その後サローネ前のエレベーターで1階まで降り、「ホテル&パーク・ゲートウェイ」を通ってディズニーシーに再入園しました。強い南風に逆らうように歩いて、リボンのかかった大きな「招待状」が飾られたドックサイドステージ前にたどり着いたのは16:40過ぎだったと思います。17:00からの回は既に満席だったので私達は18:30からの最終回の待ち列に並びましたが、列を整理していらした年配のキャストさんによれば私達の順番は「百数十番目」とかで、「じゅうぶん良い席でご覧になれますよ~」とのことでした。(ドックサイドステージの客席には、立ち見も含め約650人以上が入れるそうです。)やがて17:00の回のショーが始まり、ステージ脇で待機していた私達も真横からですがショーの様子を少しだけ見ることができました。この「テーブル・イズ・ウェイティング」というショーは、TDR開業25周年イベントが盛大に行われた際に2008年の9月から10月にかけて「ディズニー・ア・ラ・カルト」のイベントの一環としてディズニーシーで上演されていた同名のショーをベースに、一部内容を変えてレギュラーショー化するものだ と私は認識していました。いったいどこの場面を変えるのだろう どの曲を変えるのだろう とずっと思っていたのですが、ステージ横で音声を聞きながら覗き見した限りでは2008年の時と「殆ど同じ」と言ってよい内容だったので、2008年版のショーがとても好きだった私は嬉しくて涙が出そうになりましたよー。17:25には前の回のショーが終わり 最終回への入場は17:40くらいから始まって、私達はさきほどキャストさんがおっしゃっていた通り 難なく観やすい席につくことができました。席に着いてステージをよくよく見るとステージの形やセットの風合いも2008年版とほぼ同じでした。(もちろん長期の上演に備えて以前よりも耐久性があり且つ合理的な造りにはなっているとは思いますけれど。)(これ↑は強風バージョンの舞台装置で、通常版用とは少し違ったようでした)やがて定刻になってショーが始まると、一部の衣装や振り付けなどの演出が変更になったこと、新しい小道具の登場、ゲスト参加シーンが変更になったこと、出演者の人数が減ったこと など以外は本当に以前のショーと変わりなくて 楽しさもそのままの「再演」だということがよくわかったので、私はますます嬉しくなってしまいました。この綺麗で素敵な楽しいショーがこれから何年も、ディズニーシーのレギュラーショーとして毎日何回もここで上演されるなんて最高です。諸事情でディズニーシーの開園10周年イベントの開始時期は先送りになりましたが、このショーがほぼ予定通り4月からスタートしてくれたのは本当にありがたいことだと思いました。ショー終了後は、私達はポップコーンを購入してホテルへと戻りました。そして部屋へ帰る前にサローネ・・へ立ち寄り、一日遅れの結婚記念日を祝ってスパークリングワインで乾杯をしました。時刻は19:20頃。間もなく20:00からメディテレーニアンハーバーの水上で始まる予定の「ファンタズミック!」に備えて皆さんお泊りのお部屋にいらっしゃるからなのか、この時間のサローネ・デッラミーコはとてもすいていて静かでした。時刻が19:30を過ぎたので 私達もそろそろ自室に戻りましょうか と思ったその時、サローネの窓からパーク内を眺めていらした他のゲストの方が あらっ? と不思議そうな声を上げられました。 ハーバーの周囲でショーを待っていた多くの皆さんが一斉に立ち上がって移動し始めたというのです。ああ やっぱりこの強風ではショーは中止かなー・・?私達がそう言って顔を見合わせたのと殆ど同じタイミングで、キャストさんがテーブルまでいらして今夜の「ファンタズミック!」の中止が決定したことを知らせてくださいました。キャストさんによれば、新しいショー「ファンタズミック!」はウォータースクリーンを使うために風の影響を受けやすいのだそうです。とても残念だけれど、こんなに風が強くてはしょうがありませんね~。ショーも中止になってしまったことだし・・・ と、私達はそのままサローネにとどまって何杯かアルコールをいただきました。20:00を過ぎると他のテーブルにもご家族連れや大人数のグループがいらして少しずつ混雑してきたので、私達はサローネを出て部屋に戻りました。その後は食事をしに再びシーのパーク内へ行くことも考えましたが、何しろ外は凄まじい強風だったのでそんな気持ちもあまり盛り上がらず、どうでもいいようなとりとめのないおしゃべりをしたりして過ごすうち、気付いた時にはパークは閉園時刻をむかえていました。22:00が過ぎた頃、ロビー階の「ミッキランジェロ・ギフト」まで仕上がった「ラゲッジオーナメント」を引き取りに行き、その後部屋に戻って私達にしては珍しく早々と入浴を済ませて窓の外を見ていると、今夜は強風のせいもあってか連休中日のわりにはゲストの皆さんの帰宅は比較的早かったようで、パーク内には人影はほとんどありませんでした。首都圏ではこのところ声高に「節電」が叫ばれているので、もしやパークもいつもよりも早く一斉に消灯したりするのかしら?と私は思っていたのですが(確かに余分な照明は予め消されてはいましたが)、閉園後のパーク内の様子はいつもとあまり変わりないように見えました。23:00前にはどこからともなくたくさんの作業車両が姿を見せ、深夜の保守点検、清掃作業が始まりました。そして23:30にはパーク内の音楽がぱたっと停止し、同時にS.S.コロンビア号の照明が静かに消えました。眠る前に 開けていた窓を閉めようと窓辺に寄ると、風に乗ってドックサイドステージの方から「テーブル・イズ・ウェイティング」のショー音声が聞こえてきました。耳を澄ますと ショーのリハーサルをしているのか、ステージ上での動きについて細かく指示をしている男性の声も聞こえてきました。間もなく日付が変わろうとしているというのに、パーク内では今日の一日を終えて新しい明日を迎えるための準備がまだまだ続いています。いつもと同じの ディズニーシーの夜です。長い長い休園期間を経ても変ることのないパークの日常をほんの少しだけ垣間見て 私は安心してベッドに入り すんなりと眠りに落ちていきました。(翌日につづく)◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ 文中に登場する、ディズニーリゾート内の固有名詞(ホテル・レストラン・ショップ・場所などの呼び名)については「東京ディズニーリゾート」の公式サイトをあわせてご覧いただくと、いくらかイメージしやすいか、と思います。また、「東京ディズニーシー」内の固有名詞については、公式サイト内の こちら から検索することもできます。利用なさってみてください。◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇