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若い頃に大病を患って、それはそれは悲惨な経験をしてきたが、40代になるまで健康というものにほとんど気を使ってこなかった。
煙草は吸う。酒は飲む。毎日。 若い時は1日1箱、吞むように吸っていた。 酒は1日ビール350ml×4缶。4缶目が一番美味しかった。休肝日は無かった。 若い時から睡眠時間は少なかった。 大学時代はガチガチの体育会系部活だったが、合間にバイトをしていた。4年間で10種類。 3年生以降は、夜間にコンビニバイトをしていた。当然睡眠時間は短い。 社会人になってからは、夜勤のある前工程の半導体エンジニアという、分かる人にはわかる過酷な労働環境。超ストレスフル。就職氷河期後期なので、あらゆるハラスメントが存在した。 連日事務所にこだます罵声、2時間以上余裕で続く説教、吊し上げの会議。連日夜中まで続く業務に、休日出勤、電話対応。サービス残業。 能力がないが、根性だけでやってきた。大学生時代に叩き込まれてきた体育会系精神で、理不尽に耐えてきた。上司の仕事は説教すること。怒られているうちが花だ、怒られなくなったら終わりだ、お前今の状況が分かっているの?という時代。昼休みも働いた。昼飯をとれなくなることもあった。 長時間の夜勤に仮眠の時間はなかった。上司は仮眠をとっていた。次々起こる装置トラブル対応や仕掛不適合対応。メンテナンスに条件出し、手順書や会議議事録の作成。オペレーターへの教育。とにかく忙しかった。 ふらふらになりながら朝日を浴びつつ運転して帰る。遮光カーテンをしても、それまで浴びた日の光の影響か、眠りは浅かった。眠れないでそのまま次の夜勤、という日も少なくなかった。眠っても昼寝。長時間眠れない夜勤の週は、睡眠時間が昼勤の週よりかなり短い。普通の週でも決して睡眠時間が長いということはない。昼勤といっても、連日、家に帰ると22時近くだった。そこから株価チェックと、株式投資の個別銘柄分析。 株式投資は楽しかった。生きがいだった。 自分が将来投資で大成することが分かっていた。 34歳だったか、結婚した。同棲してからは家で煙草を吸うのを止めた。 結婚してすぐに妻が子供を妊娠していることが分かった。嫁さんはつわりが酷かった。精神も不安定になった。出産後も精神は不安定だった。それまで考えられなかったことだが、それ以降は、仕事を定時で切り上げた。他の人が遅くまで残業している中、毎日定時で帰り続けた。同じ職場の人間から、かなり印象が悪かっただろうことは認識していた。 家では家事育児にまい進した。仕事、家事、育児、夜勤。相変わらず仕事のストレスは尋常でないほど大きかった。スーパーマンにならなければいけなかったので、スーパーマンになった。 結婚してからは、煙草は1日2本、酒は1日ビール350ml×3缶。株式投資に割ける時間は少なくなっていた。 それでも株式投資は自分の人生の生きがいそのものだった。 相変わらず自分が将来投資で大成することを確信していた。 40歳を超えたあたりから、心身に異常をきたすようになった。 入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒。不眠症になってから、自分が今まで短い睡眠時間で生きてきたことに気が付いた。何事にも一生懸命、猪突猛進。子供が生まれてからずっと、育児にも大きな負担がかかっていた。定時までに重要なところは終わらせられるよう、仕事も全力でやっていた。短い睡眠時間と絶え間ない連日のアルコールで、体はとっくに悲鳴を上げていた。 心身に異常をきたして、やっと、根性でやれる範囲を超えていることに気が付いた。気づいてから、どんどん悪くなった。一度健康を大きく害すると、次々大きいのがドカドカときた。ほとんどが、治っても元に戻るということは無かった。 株式投資が詰まらなくなっていた。 資産が増え続けても、何も感じなくなった。 眠るためには、酒を飲むのを辞める必要があったが、それができなかった。 風邪を引いて高熱を出して苦しんでいる時でも、二日酔いが夜まで続いて酒を飲むのが嫌な時でも、酒を飲んだ。肝臓が弱くなり、酒はとっくにおいしいと感じなくなっていた。どんな種類でも酒が不味い。毎日ビールばかり飲んでいるのは、それが最もアルコール摂取量を少なくできるからであり、ビールが美味しいということではなかった。 ビールは1杯目が一番不味かった。2杯目は1杯目よりはマシだが、やはり不味かった。3杯目になると、不味くはなくなっていた。ただ、決して美味くはなかった。連日これを繰り返していた。嫁さんが臨月の時だけ、いつでも動けるように酒を飲まなかった。臨月は2回あった。 去年になって、休肝日を週1日作ることに成功した。とてつもない変化だ。ただ、休肝日を週2日にすることはまだできていない。たまに週2日飲まない日が作れる時もあるが、毎回飲まないということにはどうしてもできない。今も苦しんでいる。 煙草は今年あっさり止めた。今まで一度も禁煙というものをしたことが無かったが、禁煙しようと思ったらいつでも辞められる自信があった。煙草もうまいと思ったことが無い。少なくてもここ20年は、一度も煙草がうまいと思ったことが無い。酒も煙草も惰性と習慣で続けているだけで、そこに何の快楽もない。 煙草は止めてから半年経つ。別に禁煙したわけではないが、一度も吸ってない。煙草を止めても、料理が美味くなったとか、肺活量が上昇したとか、健康的になったとか、活き活きとするとか、眠りが深くなったとか、そういうプラスの効果は全くない。 ただ吸ってない。別に禁煙しているというわけではない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2026.10.11 17:53:23
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