|
カテゴリ:カテゴリ未分類
「むぎゅ」では過去何度も、巷に溢れかえっているバリュー投資家(プログとかやっている個人投資家さんがメイン)の書いた本は中身がスカスカで、どれも良書とよぶにはあまりに稚拙な作りになっている、と言ってきました。しかし、中身がスカスカな本が必ずしも良書ではないという事はなく、中には良書とよぶに相応しい本もあります。それでは、バリュー投資家の書いた稚拙な本と、それらの良書は何が違うのでしょうか?バリュー投資家の書いた本が良書でない理由は、中身がスカスカである以外に何が問題なのでしょうか?今回は、そんな疑問にお答えするべく、中身がスカスカな良書を紹介したいと思います。また、逆に重要な事がギュッと凝縮されている悪書も紹介します。2冊とも、バリュー投資家の書いたどの本よりも役に立つ事請け合いです。
まず中身がスカスカの良書ですが、「株で幸運をつかむ」ステファン・ベッチェル著、ワニブックス社出版です。この本は、長期投資の心構えを、庭師の心構えと重ねる事によって、読者に伝えようとしています。この本の内容はただ一点、ゆっくりのんびり大きな流れに逆らわず投資する事、それだけです。それはつまり、落ち着いて何もしない事を学ぶ事です。長期投資では安く買って高く売る必要はないと教えてくれます。この考え方は確かに一つの正しい本質です。まるで庭師のように経済という森を育てる、この意識が株式投資の一つの本質であるという点だけをもっても、本質を全く理解していないでマーケット・タイミング型の投資をしている自称長期投資のバリュー投資家のどの本より優れている事は明らかではないでしょうか。彼らの一体どれだけの割合が、中期投資と長期投資を明確に区別できるというのでしょうか。彼らが中長期投資と銘打っている投資方法は、長期投資の概念がすっぽりと抜け落ちています。短期投資と中期投資が大きく違うのと同じように、中期投資と長期投資も大きく違うという事をしっかりと明確に説明しているバリュー投資家は僕の知る限りまだ居ません。やれやれ。 次に、重要な事がギュッと凝縮されている悪書ですが、「株式投資これだけはやってはいけない」東保裕之著、日経ビジネス文庫(ハードカバーもあります)です。この本は、バリュー投資家の出版している多くの本よりもより重要な事が、非常に多項目にわたってギッシリと書かれており、証券マンであった著者の実体験を元に、分かり易く深い部分までかかれています。この手の本では、情報量でいったらトップクラスではないでしょうか。もちろん、先に紹介した「株で幸運をつかむ」とは比較にならない情報量です。書かれている内容の大部分については、正しいと思います。確かに書かれている殆どが、初心者が間違いやすい、重要な事ばかりです。にもかかわらず、何故悪書なのでしょうか。それは、これらの書かれている事は、人に教えてもらうのではなく、自分で気が付く事に意義があるからです。役に立つのは知識ではなく、知恵なのです。本質的な事ならばともかく、表面的な事に付いて、自分で行動して知識を得るのではなく、他人から正解を教えてもらうと、結局自分の身にはならないのです。 例えば、(バリュー投資家さんを含めて)一般的によく言われている事に「損切りは早く、利食いは遅く」というのがありますが、これは本質を理解していないと全く役に立ちません。低PBR銘柄の方が高PBR銘柄よりもパフォーマンスが高いというのも、本質を理解していなければ全く役に立ちません。自分で気が付く事が重要です。 また、市場参加者の誰もがある程度間違っており、そして誰もがある程度正しい。どの投資法も等しく間違いで、等しく正しい。最終的に、資本主義社会では株価だけが完全に正しい。いつどの株を買っても、大して変わりはないという考えも、ある意味では間違いなく正しい。 結局、お勉強ばかりしていい気になっていてもダメなのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.05.04 21:54:10
コメント(0) | コメントを書く |