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Jun 5, 2006
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カテゴリ:映画の時間
誰にも嫌われてなんかいないんだよ、松子は。
ただ一生懸命で、頑張りやさんで、真っ直ぐであったというだけ。
意地っ張りで、強がりで、寂しがりやであったというだけ。


 中島哲也監督/2006/Japan


物語)

20代で教師をクビになり、エリートから転落して家を飛び出しソープ嬢に。やがてヒモを殺害して刑務所へ・・・主人公・川尻松子の波乱万丈な人生を真正面から描いた「嫌われ松子の一生」。
徹底的に不幸な松子の人生をディズニー・アニメのようなファンタジー世界につくりあげた。壮絶な不幸にもみくちゃにされながらも、誰かを愛し、その人だけを信じて突き進む・・・
傷ついても、傷ついても愛する人への思いを胸に夢を見つづける松子。誰がどう考えたって不幸な人生なのに、彼女にとってはすっごくハッピー!最後の最後まで夢見ることをやめなかった松子。
そんな松子をすべての人々が愛してしまう、おかしくて切ない・・・・全く新しいシンデレラストーリーが誕生した!!



感想)

映画のストーリーを一般的には上記のように紹介している。
しかし、この映画を実際に観た人はそう思っただろうか?

私は少し違った。
ファンタジーに見せていても、笑えなかった。

何度も自分の人生の終わりを見ながらも、必死で幸せをつかもうとする松子。方向は間違っている。それに、思い込みもかなり激しく、それで失敗することも多い。しかし彼女はどんな状況であっても前向きである。そして苦難を乗り切ろうとするパワーは誰にも負けないし、また誰にも真似できるものではない。しかし身体を張ってまでもダメ男に尽くし、暴力を受けても「ひとりでいるよりはマシ」と我慢しつづける松子。ただ誰かに愛されたいという思いが強いがために。

その思いの根源は彼女の家庭、父と病弱な妹との関係にあった。子供の頃から父は身体の弱い妹ばかりをかわいがり愛情を注いでいるのに対し、松子にはいつも厳しく、笑顔すらあまり見せなかった。松子は厳格な父の姿しか知らず、ただ父に自分のほうも見て欲しい、愛して欲しい、そういう思いばかりが募る子供時代を送っていた。

そして父に褒められるためにエリートコースに進んだ松子。
地元の中学校の教師になり、生徒からも慕われ、順風満帆と思われた矢先、ある事件が起こった。
彼女はその事件がキッカケで教師をクビになり、実家も飛び出してしまうのだが、それからの彼女は見事ともいえる転落人生まっしぐら、究極の堕落的展開を見せていく。

なんでそこまで堕ちたのか。
なんでそこまで強気なのか。
なんでそこまで哀しいのか。
なんでそこまで信じるのか。
なんでそこまで孤独なのか。
なんでそこまで耐えるのか。
なんでそこまで・・・・・

「誰がどう考えたって不幸な人生なのに、彼女にとってはすっごくハッピー!」という広告文があるが、彼女はハッピーだと思っていたことが本当にあったのだろうか?と、私は思う。

劇中、何度もミュージカルのように彼女が楽しそうに歌い踊ってコミカルに登場する場面があるが、全然ハッピー!と思えない。どちらかといえば、ハッピーでありたいと願う、ハッピーを装うような哀しげで強がりな彼女の内面を見せられているような気がしてならず、胸につまるものさえ私は感じた。

そして、多かれ少なかれ今の世の中で松子のような人生を歩んでいる人も存在するだろうし、この映画を笑えない状況の人もいるだろう。
(松子の場合、極端ではあるが)
そういう意味では、フィクションでありながらも誰かのドキメンタリーを見ているような気もする映画であり、女として少し考えてしまう映画でもあった。

カラフルでコミカルなだけに、哀しいよ。松子。
でも松子を憐れむだけはいけない映画だということもわかっている。
彼女の不器用な人生が、時に誰かを勇気づけることもある。
それが一番のテーマのような気がした。
それに彼女はとことん落ちぶれても自分というものを失ってはいなかった。教師だったゆえに、見かねて子供を叱ることもある。


中島哲也監督の新作を「下妻物語」のフアンとして期待していた私だが、今回この映画はそんな私をいい意味で裏切ってくれた。それは楽しいが、とても哀しい映画だったという事。

また前作に続き、女の友情が映画を魅せる。
松子の親友でありAVソフト制作会社社長・沢村めぐみ役を黒沢あすかがクールに好演していた。
私はこういうのに弱い。

また、物語を最初から最後まで引っぱる役目の松子の甥・川尻笙役の瑛太が目立たない程度にアッサリしていたのが良かった。
他のキャストもイレギュラーで面白かったが、中でも松子の弁護士役のもたいまさこや、ソープ「白夜」店長役のスカパラ谷中敦や、太宰治に憧れる作家役の宮藤官九郎などは短い出演であったが、結構なはまり役であったと思う。

また「松子の一生」を描くという中で、その時代時代の背景も並べて見せることで、時代の波・風潮とともに彼女が生きてきたことをよく表していた。松子が生きた時代、甥が生きる現代、それを上手くつなげた監督の手腕、哀しみをコミカルに描く監督の手腕、無理なく時に強引に物語を持っていってしまう監督の手腕・・・・恐れ入りました。☆☆☆☆。


最後に何と言っても、松子役の中谷美紀。
体当たりの演技だったと人は言うでしょう・・・・まさにその通り。

最後の最後にひとこと。
この映画の喜怒哀楽が全て詰まっているようなサントラにも注目!










 





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Last updated  Dec 20, 2007 09:31:43 AM
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