「奇跡の10倍整理術・時間活用術」(ジェフリー・J・メイヤー 著、黒川康正 訳)
仕事の質を高めるためのノウハウを示してくれる本。 冒頭で、「木こりのジレンマ」という話が紹介されます。 新しい斧を手に入れた働き者の木こりであったが、次第に切り倒す木の数が減っていく。さらに懸命に働く木こりに対して、仲間が「斧の刃がボロボロになっているのに、なぜ斧の刃を研がないのか」と問う。すると、彼はこう答えたという。 「そんなことをしている暇がないほど忙しい」 この本では、似たような状況にあるであろうビジネスマンたちに対して、「生きた時間を生み出すことはできる」、「時間の質をもっと高めることができる」と語りかけます。その内容は、具体的であり、また自信に満ちています。 当たり前のことですが、本で紹介されるノウハウの中には、広く採用されるような一般性を持つものと、一つの流儀とみるべきものとが混在しています。本書も例外ではありませんが、私が読んだ中では、もっともオーソドックスで、もっとも省みることが多いものであったことは、付言しておきたいと思います。 なお、この本のタイトル「奇跡の10倍」には違和感を覚えます。訳者のあとがきによれば、原著の題名は「If you haven't got the time to do it right, when will you find the time to do it over?(キチンとやる時間がないなどと言っていたら、いつまで経ってもできないよ)」。 少々長いですが、これなら分かります。