【粗筋】
吉本の木木(きぎ)正之助社長は、芸人は道具に過ぎない、人として扱わず、舞台が暇ならアルバイトをして会社に金を入れろと言う。劇場で売っているアイスクインは元手が掛かっている。もったいない。そこで暇な芸人は一日楽屋に閉じ込められて、玩具の機械でアイスクリンを作って休む間も無い。トイレも監視付き、逃げ出すことなど不可能だと思っていたが、気が付くと蟻がいるではないか……つまり外とつながっとるのや、掘って行けば出られる、海まで掘って海外に亡命しよう……というので穴を掘って脱出に成功。ところが海には10メートル足りない。
どうしようと困っていると、目の真に真っ黒なセダンが止まり、社長が下りて来た。今度空港が出来て、この土地に新しい劇場を建てるという。
「お前ら、穴掘ってくれたんか。よし、その穴使うて、掛け持ちしてんか」
【成立】
桂文珍がラジオで演った。吉本の初代社長・林(はやし)正之助の米寿の記念落語だというから1987年の作品か。所属する噺家、漫才の物真似入り。サービス満点のお噺。