名作落語大全集

​【粗筋】
　中仙道、松井田の宿に泊まった熊と八、翌日碓氷峠にさしかかると、駕籠屋が声を掛け、ただでいいから上田まで乗ってくれと言う。乗ると山の中へ連れて行かれ、岩穴の奥に美女とご馳走が用意されて、大変なもてなし。着物ももらい、金も持たされて身動きが出来なくなり、よろけて崖から落ちて目を覚ます。
「ああ、金があるより無い方が楽だ」​

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【成立】
　三遊亭円左（１）の速記では「奇夢」と題している。落ちは「水屋の富」に通じるが、金への思いや、心情、落ちに至るまでの筋にも見るべきものがない。​

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【蘊蓄】
　碓氷峠は群馬と長野の県境、箱根、足柄と並ぶ自然境界で、中仙道最大の難所。宝暦６（１７５６）年新井白石の『牛馬問』にこんな話がある。弁慶が歌碑を立てて、読めない者は通さなかったというのだ。​

　　八万三千八　三六九三三四七　一八二　四五十二四六九　百四億四百

　という数字だけの歌で、正解は、