名作落語大全集

​【粗筋】
　サンサーラ！　太古、体はそれぞれバラバラに生きていた。顔がこっちを見ているのでガンを付けたと目玉が因縁をつけるが、ガンを付けるにも目などない。喧嘩になって頭の中に飛び込んで暴れるとその痛さに目が飛び出したので、それで見るようになった。胴が現れるが、自分では胴かどうか分からない、へそかと問われても「へーそー」と言ってよく分からない。これをお供にしていくと、手足など加わって人間になって行ったのだ。​

サンサーラ！　こうして次々生まれ変わり、金魚、コンドル、ゴカイ、ライオンなどを体験して今に至る。今は人間だが、本人は知らない。東京大空襲で母や友人を亡くし、今は妻からは二酸化炭素を排出する生ごみと呼ばれ、子供からはおじさんと呼ばれる。

散歩に出ると空き地に家が建つようで、柱が出来ている。この柱、この感触は空襲でいなくなった八っちゃんじゃないか。写真館のヒデちゃんもいる。母ちゃんも……三人、家が壊れるまで一緒なんだね。もう一本足りない……

サンサーラ！　気が付くと私は柱になっていた。サンサーラ！　今日は客と演者だが、次に会う時は虫とツバメか、ライオンとヌ～か、キスとゴカイか、どっちが食べられても恨みっこなしだ。サンサーラ！