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名作落語大全集

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2021.02.28
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カテゴリ:落語

【粗筋】 夢で大阪の名所を見たという話を始めたが、浮瀬の雪に高津の梅、萩、桜、蛍など場所もあちこちで、季節もでたらめ。
「いったいどこへ寝て、そんなあほらしい夢を見たんや」
「奥と台所のとりあい(境界)の敷居(四季)を枕に寝てました」

【成立】
 明治28(1895)年に林家菊丸(2)が作ったという。「四方四季」とも。これは四季が一緒になること。陳腐な落ちのほうだが、上方では「敷居」を「しき」と発音するそうだ。
  「嘘つき弥次郎」にも四季の混乱が見えるが、この噺では大阪の実在の場所をあっちへ行ったりこっちへ行ったりする。わざわざ遠回りをして近所の場所に戻ったりする点も、知っている人には笑えて楽しいのである。
  四季の植物が一度に開くという話は、安永2(1773)年『聞上手』の「いなか帰」にある。これは、季節が目茶苦茶だと指摘され、「そこが田舎はやりぱなし(いい加減)さ」という落ち。

【蘊蓄】
 四季全てが一緒に見える話、「四方四季」という。
 『今昔物語』巻19「東三条ノ内ノ神、僧ニ恩ヲ報ゼル語​
  第33」が最も古いものか。四季が一同にそろうということが、この上ない贅沢と考えられていたことが分かる。
 『源氏物語』の光源氏が作った屋敷は、四つの区域に分け、それぞれの庭が四季をイメージするように作られた。
 『御伽草子』に入っている『浦島太郎』でも、竜宮城では四季が全て見える。
 小噺では、寛政8年『廓寿賀書』の「いさみ」に、田舎へ行くとぞろっぺい(いい加減)で面白いと言う男が、山が花盛りで牡丹、水仙、紅葉が一時に見られると言う。聞いていた男が季節がおかしいと言うと、「そこが田舎はぞろっぺいだ」






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Last updated  2021.02.28 06:05:50
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越智 健

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