【粗筋】
宿題は親がやるものと心得ている小学生、先生から、
「あちらのお父さんはよく勉強しているが、君のお父さんはもっと勉強するように」
と言われたと親に異見をする。宿題を預けて遊びに行ってしまうので、母親は、
「あれじゃあ宿題の運搬係じゃない。そばで教えてあげればいいのよ」
と言うが、父親は、
「学校で教わっている子供が分からないのに、親が分かる訳がないだろう」
と絶望的。昔は教科書に答えが出ていた。今は発展的研究で、教科書に載っていないようなことを問題にするのだ。
そこへ来た、同級生の父親、本屋に参考書を買いに来たと言う。
「なるほど、理科や社会の本ですね」
「いや、今うちにあるのが落語全集、民謡全集で」
「何ですそれ」
「民謡は社会の勉強になりますなあ。名所、名物が歌われておりますから。
理科ではこの間『早苗の時期は何月か』という問題の答えが、浪曲全集の『壺坂霊験記』に出ておりましたな。
♪頃は六月中の頃、夏とは言えど片田舎、木立の森もいと涼し。小田の早苗も……
ほら、6月が正解だと分かります」
【成立】
「宿題」「勉強」「親父の宿題」とも。柳亭痴楽(4)が演っていた。歌や浪曲で聞かせ、すごい顔を見せるもの。他の人が演っていないだろうな。聞いたことがないから。早苗の答えはすごいね。5月を「早苗月」といい、「早乙女」「皐月」というのがそこから出た言葉だと思われるから5月だと思った。皐月の「皐」は田圃の神様らしい。茨城で田植えの前後に「サオリ」「サノボリ」というお祭りをやると聞いて、ふとこの説が浮かんで来た。田植えの時だけ神様が下りて来るのではなかろうか。