【粗筋】
心臓が悪くて北病棟31号室に入院した原さん、大部屋にいる南部さんという患者の話を聞いた。この部屋に入院した女性が飛び降り自殺して幽霊が出る。彼女はアイスクリームが好きで、ベッドの脇に高級アイスを供えると幽霊は出ない……という。
その夜言われた通りにアイスを供えるが、幽霊が現れて大騒ぎ、しかしアイスが消えているので、幽霊も消えた……南部さんがじゃあ大丈夫ですと請け負う。大部屋に戻ると、仲間がアイスを食べ始めたところ。みんなで音を出したり幽霊になったりして驚かしたのだ。
「じゃあ私も」と手を伸ばすと、廊下で音がする。そっとのぞくと……
「出た~」
化け物と思ったのだが、看護師さん。モニターにおかしな物が映っているので見回りに来たのだ。医者も駆け付けている。
「原さんから話を聞きがが、詰まらない悪戯をせんように。あの人は心臓が悪いのに、万一のことがあったらどないするねん。なめたらあかんで」
「いや、まだなめる前でした」
【成立】
桂文枝の創作落語、第110作目。