【粗筋】
映画の「風と共に去りぬ」が大ヒット。何も知らない男に、話をする。
「スカーレット・オハラは男運が無くて、二人の夫に死に別れる」
「ほう、生命保険はどれくらいだ」
「それでクラーク・ゲーブル演ずるレッド・バトラーとまた結婚、子供が生まれるが、この子が事故で死に、オハラの初恋の相手の奥さんも死ぬ」
「また死ぬのか。葬式代だけでも大変だ」
「オハラが初恋の男の所へ行くだろうと思って、バトラーは別れを決意するが、オハラの方は別れて初めてバトラーを愛していると確信する」
「ようよう」
「故郷のタラへ向かう決意をし、全ては風と共に去って行く」
「飴を買ってやろう……いくらだ」
「紙芝居じゃないよ」
「何の話だったんだ」
「映画だよ」
「映画は忍術猿飛佐助しか見たことはないな」
「風と共には原作の本も人気になったぜ」
「マンガかい」
「君は趣味はないのか」
「パチンコだ。いいぞ、映画を見に行くと何がもらえるんだ」
「もらえないよ」
「じゃあ、やっぱりパチンコがいい」
と家に帰ると、女房が映画に行くと言う。
「あなたも付き合いがあるから『風と共に去りぬ』くらい知っておかないとだめよ」
「ああ、それなら大丈夫。ちゃんと知っているよ」
カツオ、ワカメじゃない、タラで生まれた小原庄助さんがクラーク・ケーブルカーと結婚して、風と共に去って行く……何だか分からない。色々言い訳をして逃げようとするが、とうとう連れて行かれてしまう。暗くなると眠くなるので、しっかり睡眠をとって帰宅。何と留守の間に泥棒に入られている。
「ちくしょう、断りも無しに……自分の足跡だけ残して、風と共に去りやがった」
【成立】
昔々亭桃太郎(1)の創作落語。映画は1939年の作品で、1952(昭和27)年のリバイバルヒットの時に作ったと言っている。