テーマ:落語について(2305)
カテゴリ:落語
【粗筋】 雨宿りが目的なので遊女は一人でいいと住吉の加納屋というお茶屋に上がったのが運の尽き。阿部玄益という25歳の医者が、合い方に出た遊女お花に夢中になり、とうとう親から勘当されてしまう。医者の腕は持っていたので、長屋を借りて一生懸命に働くと、半年ほどで貯えも出来た。久し振りに加納屋に行くと、お花は玄益の夫婦約束を信じ、気鬱の病で寝込んでいるという。医者であるから自分が何としても治してやりたいと申し出る。この娘は近江屋の抱えで、お座敷がある時だけ来てもらっていたものだが、加納屋の座敷から病気になったのでそちらで看病しろと押し付けられていた。厄介払いになるというので身請けを勧め、玄益からは10両を受け取り、近江屋には3両だけ渡して身請けさせる。 半年間心尽くしの看病で、お花は全快。近江屋がこれを知ると、あれだけのいい女だからもう一度店に出したいと言い出す。加納屋が間に入り、身請けの証文を渡していないのだからお花はまだ近江屋のものと言い張り、連れ戻そうと長屋にやって来る。ここの大家が、 「いきなり来てそんな話をするのは不人情。明日までに話をしておくから、明日わしの家に来なさい」 と中に入る。 翌日加納屋が大家を訪ねると、 「本人が嫌だと申しますので、この話はお断りします」 ときっぱり。怒った加納屋、土足で上がり込んでそこにあった皿まで割るが、大家は平気な顔。加納屋は近江屋をたきつけて訴えを起こし、奉行の裁判となる。 奉行は、 「医者でありながら、証文を受け取り忘れるとは手落ち。お花は近江屋のものじゃが……近江屋のものだとなれば、この半年間の療治代は近江屋が支払え」 「それはもちろん即金でお支払いいたします」 「阿部玄益、近江屋はこのように申しておる。お花は大病だったと聞いておる。療治代は幾らかかった。よいか、医者は匙加減が大事じゃ。よく考えて返事をいたせ。お花は大病と聞いておる。よほど高くついたであろう」 真面目な玄益は金などいらないと申し出るが、奉行の再度のお尋ねに、後ろから大家が教えるままに、1服2両の薬を日に3度飲ませたと申し出ると、薬代の他に治療代を加え、半年の代金として1280両を支払うよう命じたのである。近江屋と加納屋ではとても支払いが出来ない。 「もし支払えなければ双方で相談の上示談といたせ」 の一言があったので、翌日加納屋が大家のところへ交渉に来る。大家は証文だけを持ってくれば金は要らないと言う。加納屋、まさか一文も払わずに示談に出来るとは思わなかったので大喜び。ところが大家の方は、 「お花の方はこれですんだが、わしの方はどうしてくれる」 と、先日割った皿の賠償を求めて来た。これが何と20両の名品だという。それが嫌なら1280両ということで、あわてて証文と金を取りに戻る。その姿を見送って、 「婆さん、これで目出度しめでたしやな」 「夜店で2文で買った皿が20両になるとは思いませんでした」 「この金でみんなに施してやろう。お奉行様の匙加減で、みんながすくわれました」 【成立】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.10.23 05:47:42
コメント(0) | コメントを書く
[落語] カテゴリの最新記事
|
|