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名作落語大全集

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2023.04.24
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カテゴリ:落語

【粗筋】
 越後乙宝寺の行門和尚が法華経を唱えていると、裏山から夫婦の猿が来て聞き、写経をしているとじっと見ている。そのうち木の皮を持って来るので、和尚が写経をしてやると、嬉しそうに山へ持ち帰った。二ヶ月の間に法華経4の巻まで与え、5の巻に掛かる頃に、ぷっつりと猿が姿を見せなくなった。心配した和尚が檀家の茂十じいさんを伴って山へ登ると、木皮の経を握りしっかりと抱き合って死んでいる夫婦猿を見つける。二匹の死骸を抱えて山を下り、供養の後、和尚はこの猿の木像を彫るが、「離れざる」と評判になった。
 それから40年後、旅の夫婦連れがやって来て写経を始める。ある日小僧の珍念が茶を入れて行くと、写経をしているのは猿ではないか。驚いて和尚に報告すると、和尚は何か思うところがあるらしく、小僧に口止めをする。
 さて、法華経4の巻が終わり、5の巻に掛かるところで、突然夫婦は手を止めて抱き合って泣き出した。和尚が尋ねると、自分は藤原子高朝臣といい、越後国司に任命されて来たが、実は40年前の夫婦猿の生まれ変わりであるという。40年前に妻が足を滑らせて大怪我をし、穴まで連れ帰ったがそのまま2匹とも死んでしまったので、生まれ代わって写経をしに来たのだだという。
 和尚は、寺で夫婦の世話をしている珍念が茂十じいさんの孫で、縁のある自分と珍念にだけは夫婦の姿が猿に見えたのだと話す。このことで自分も改めて三宝のありがたさを改めて知ったと告げ、法華経5の巻の写経を続けるように言うが、明日は都へ帰らねばならないと言う。
「それなら都でお続けなさい」
 と送り出した。和尚と珍念が名残を惜しんでいると、コノハズクが、「ブッポウソウ(仏法僧)」と鳴いた。
「珍念や、聞いたか。コノハズクが三宝を唱えて鳴いておる」
「和尚様、向こうの梅の小枝で、鶯が……」
「ホー、ホケキョー(法華経)」

【成立】
 『古今著聞集』にある仏教説話。三遊亭円窓が落語化した。
 原作は猿が写経を頼み、お礼に果物などを持ってくるが、姿が見えなくなったので探すと、お礼の山芋を掘ろうとして穴に落ちて死んでいるのを見つける。40年度、この地の守(かみ)となった人がその猿の生まれ変わりだとして三千部の経文を書き上げる。

​​【蘊蓄】​
 乙宝寺は文学者の間では『奥の細道』の旅で松尾芭蕉が立ち寄ったとして知られる。地元では「乙(きのと)」と呼んでいた。その頃海へ出ると、佐渡島から天の川が生えているように見える。
  荒海や佐渡に横たふ天の川
 はこれから発想したものではないか。私の友人の説。
 尚、円窓師匠から、乙宝寺の写経猿ストラップをいただいた。







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Last updated  2023.04.24 05:34:52
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