「う~ん、タイムリーな話しだなぁ~」
「プロフェッショナルの仕事の流儀」を見ていて思った。
鎌倉に有る私立の男子校の数学教師の話しだった。
井本陽久さん‥50歳、東大卒の男性教師を取り扱っていた。
先生らしからぬ先生で、
その授業内容は、今の日本では考えられないやり方だった。
生徒に考えさせる事を授業の柱としていた。
だから先生は「教える」ということをしていない‥、
考えさせる事をしていたのだ。
授業では教科書を全く使わない。
先生が独自で考えた問題のプリントを配る。
それをまず生徒の一人一人に考えさせ、
暫くすると2人とか3人とかで考えさせる。
誰と組むとかも先生が考えるわけでない。
生徒たちは、いつの間にか誰かと組んで考えているという感じだ。
井本先生は「学力を上げようとは思いません」と言う。
それは今の日本の教育体制の中で、
言っちゃっても良いことなのだろうか?
どうやら先生は、一人一人に考える力をつけさせて、
様々な状況に打ち勝つ力を、持たせようとしているのだ。
決して生徒の考えたことを否定しない。
「そんな考えもあるよね。」と、答えの良し悪しより、
考えたこと自体を評価していく先生。
学校へ来たくなる、授業を受けたくなる、考えることが面白い。
毎日が楽しい~という生徒を増やしたい‥というところだろうか?
井本先生は50歳過ぎて、
長年務めた私立の男子校の授業を減らした。
つまりは、常勤勤務から非常勤勤務へと切り替えたのだ。
50歳過ぎて、安定した仕事先から不安定な生活に自ら飛び込むなど、
中々出来るものではない。
私が勤めた会社でも、50歳過ぎて入ってきた人が居たが、
その理由は、前会社との色々な角質からである。
ところがこの先生の、非常勤講師に替わる理由は、
進学校以外の生徒のためにも、働きたかったからである。
もっと色々な子どもたちに、授業の楽しさ、
考える楽しさを教えたかったからだった。
この先生の原動力は、若かりし頃の失敗談からだった。
教師になって10年目に、
トラブルを起こす子供の担任になったことがきっかけである。
後に先生は言う。
「教師としての責任感が入るとダメになる。
大事なものが、見えなくなってしまう。」
なんとか立ち直らせて、無事に卒業させたいという気持ちが、
勉強しろ!素行を正せ!と、
トラブルを起こす生徒に、言い続けてしまったのである。
その結果1年後にその生徒は、学校を去ってしまったのである。
自分があれほど憎んでいた評価とか価値観を、
その生徒に押し付けてしまったという後悔の念で、
先生はその後不登校になっていった。‥教師の不登校かぁ。
そんな時に出会ったのが、児童養護施設の子供たち。
施設の子供たちが、頑張って生きている、楽しく生きていることに、
井本先生は救われていった。
「そのままでいい、そのままがいい、そのままでダメなはずがない」
先生が養護施設の子供から学んだことのようだ。
今日、私はこの後セミナーを行なう。
この先生の話しがタイムリーだと言った理由がここにある。
私の講義は楽しいだろうか?
生きていくのに必要な講義をしているが、
講義自体は楽しいだろうかと、改めて考えさせられた。
よし!楽しいセミナーにしていくぞ!!
なにせ私にとって初めての10代の生徒さんだから、
学びが楽しいものだと、しっかり植え付けていこうと思うのだった。