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カテゴリ:海外ニュース
Milkywayです。お元気ですか?
20220703 プーチンを戦争犯罪人として国際法で裁くのは無理ではないか、という悲観的な空気が重く漂っている。だが、私は希望は捨てない。どんなことも希望を捨てた段階で終わってしまうからだ。人類は、国際秩序を踏みにじり、暴虐の限りを尽すプーチンの行為を許してはいけない。許さないために最後の最後まで人知を尽くすべきだと私は思っている。 この侵略戦争は、プーチン個人の謬錯対人類全体の頭脳との闘いだと思う。一人の頭で考えることは知れているのだ。プーチンの誤謬が、ことごとく明らかになってきている。まず第一に、2・3日でキーフは陥落するだろうという彼の幻想は水泡に帰した。第二に、彼が妄想したロシア軍によるウクライナ首都の制圧も、傀儡政権樹立も成功しなかった。第三は、彼は原子力施設も手中に収め、核の脅威をチラつかせて世界を脅した。だが、世界はその脅威に屈しなかった。結果、彼はその施設を使うことは躊躇。自国をも汚染することになるからである。ここでも彼の目算は外れた。第四は、彼の想定を遥かに超えたウクライナ国民の強固な抵抗に遭った。第五は、自国ロシア軍の士気の低さ。それと主戦艦や戦車、爆撃機などの想定を遥かに超えた損失。第六は、NATOの拡大阻止を目論んだのに、中立国だった強い軍事力を持つ北欧二カ国がNATOに加わる、というオウンゴールとも言う結果を招いた。しかもNATO会議はロシアを「最も重大で直接的な脅威」として敵国としての位置付けをする採択をして30日に閉幕した。そうなのだ。プーチンの妄想は次々と崩れているのである。もう一つ、彼は国際法では逮捕されないと踏んでいたに違いない。だからあのような大胆な侵略戦争に踏み込んだのであろう。彼の目算は、人類が知恵を尽くして粉砕しないといけない。 プーチンが国際法で裁かれる希望を、私は繋ぎ続けていることをここで再び言いたい。 その希望の理由となる記事を紹介する。 ロイター に載ったBBC News 法務特派員Dominic Cascianiの5月23日の記事「戦争犯罪とは何か、ウクライナ問題でプーチンは訴追される可能性があるのか?」という記事である。 https://www.bbc.com/news/world-60690688 この記事の初めから途中までは下記のようなものだ。ポイントだけここにあげると 「ウクライナの裁判所は、紛争が始まって以来初めてとなる戦争犯罪裁判で、民間人を殺害したロシア軍戦車司令官を終身刑に処した」 「国際刑事裁判所(ICC)も調査団と科学捜査の専門家をすでに派遣している」 「たとえ戦争でもルールがあり、それはジュネーブ条約と呼ばれる条約をはじめ、さまざまな国際法・協定に盛り込まれている。民間人は意図的に攻撃されることはない。また、民間人の生存に不可欠なインフラも攻撃されることはない。無差別に、あるいはひどい苦しみを与えるという理由で、対人地雷や化学・生物兵器などは禁止されている。病人や負傷者は、戦争捕虜としての権利を持つ負傷兵を含めて、世話をしなければならない。殺人、レイプ、集団迫害などの重大な犯罪は”人道に対する罪“状況によっては”ジェノサイド“と呼ばれる」 ウクライナでは、最初の終身刑に処した裁判に続いて 「41人のロシア兵を、民間人の殺害、レイプ、民間インフラへの爆撃、略奪などの罪で起訴する準備を進めている」 ウクライナ国外からは 「米国のジョー・バイデン大統領と英国のボリス・ジョンソン首相は、ロシアがウクライナで戦争犯罪を犯していると非難している」 「(国際機関の)調査官やジャーナリストは、キエフ郊外の町ブチャやその近郊で、民間人を意図的に殺害した証拠を発見している」 「3月、マリウポルの劇場や病院へのロシアの攻撃は、大量殺戮」 「多くの専門家は、侵略行為そのものが「侵略戦争」の概念に基づく犯罪であると主張している。」 と記事は書いている。 【戦犯容疑者はどのように訴追されるのか】 続いてこの記事は、プーチンや政権高官が訴追されるとしたらどのような手続きを経るのか、その際の障害は何かを書いている。現在二つの国際司法機関が捜査にあたっている。国際刑事裁判所(ICC)と国際司法裁判所(ICJ)である。 ICJに関して言えば、ロシアに不利な判決を下しても、国連安全保障理事会(UNSC)常任理事国の1つであるロシアは、制裁の提案に対して拒否権を行使することができるので、判決の執行は困難。 だが、もう一つのICCは、国を裁くのではなく個人の戦争犯罪を調査し、訴追する。過去には、ニュルンベルク裁判で、ヘルマン・ゴーリング、ルドルフ・ヘス、ヨアヒム・フォン・リッベントロップなど個人を裁いた。 ニュルンベルクではさらに、「国際法を守るために国家が特別法廷を設置することができる」という原則を確固たるものにしたのである。この原則は、これからいきてくる。 もう一つ心強いのは、多くの実績を上げてきたICC主任検察官である英国人のカリム・カーンQC 勅選弁護士(https://www.jpedia.wiki/blog/en/Karim_Ahmad_Khan)が、ウクライナで戦争犯罪が行われた根拠があるとみていることだ。加えて、調査員たちは、ロシアがウクライナからクリミアを併合する前の2013年にまでさかのぼって、過去と現在を調べていることである。 証拠があれば、検察官はICCの裁判官に逮捕状を発行してもらい、ハーグで個人を裁判にかけることになる。しかし、問題はある。同裁判所は独自の警察組織を持たないため、容疑者の逮捕は各国に依存しており、ロシアは同裁判所のメンバーではないため、容疑者の身柄を引き渡すことはないだろうという点である。 このようなことから、悲観論が出ている訳だ。 さて、今日の主題に入る。ここからは記事を全訳する。(強調文字は筆者による) 【プーチン大統領や将軍、その他の指導者が訴追される可能性は?】 ヒューマン・ライツ・ウォッチ(紛争における戦争犯罪の証拠収集を専門とする組織)のヒュー・ウィリアムソン氏は、ロシア軍には処刑やその他の重大な 虐待の証拠がある、と認めている。 指導者が残虐行為を許可したか、見て見ぬふりをしたかを含め、「指揮系統」 を確立することは、今後の裁判において非常に重要である、とウィリアムソン 氏は言う。 ICCは「侵略的戦争の遂行」という犯罪も訴追できる。これは、自衛のための 正当な軍事行動を超えて、不当な侵略や紛争を行う犯罪のことである。 しかし、これに関しては、ロンドン大学の国際法の専門家であるフィリップ・ サンズQC教授は、ロシアはICCに加盟していないため、ICCはこの件で ロシアの指導者を起訴することができないと言う。 理論的には、国連安全保障理事会はICCにこの犯罪を調査するよう求める ことができる。しかし、ここでもロシアが拒否権を発動する可能性がある。 こうした障害に対抗するためには、サンズ教授は、世界の指導者たちが、 ウクライナにおける侵略の罪を告発するための一回限りの法廷を設置するこ とを望んでいる。 もう一つは米国の動きである。 【米司法長官がウクライナ訪問、ロシア戦争犯罪捜査で協力】 AP通信の記事「ガーランド米司法長官がウクライナを訪問し、同国のベネディクトワ検事総長と会談した=AP」を載せた日経の記事。https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN21EKG0R20C22A6000000/ AP通信はこう伝えている。 【ワシントン=坂口幸裕】米司法省は21日、ガーランド司法長官がウクライ ナを訪問したと発表した。ロイター通信によると、訪問したのは西部リビウ 近く。 ウクライナへの侵攻を続けるロシアの戦争犯罪や残虐行為にかかわった人物 を特定する捜査の一環になる。現地でウクライナのベネディクトワ検事総長と 会談し、協力していく方針を確認した。 ベネディクトワ氏は5月末に、ロシア軍の戦争犯罪の容疑者として軍幹部や 政治家らを含む600人以上を特定し、そのうち80人ほどの訴追手続きを始め たと明かしている。ウクライナ検察は戦争犯罪の疑いのある事案を1万4千件 超を把握したと主張する。 米メディアによると、ガーランド氏は戦争犯罪に関与した人物を特定するた めの特別チームを米政府に発足させたと説明した。人権侵害や戦争犯罪に関 する捜査の専門家で構成する。 ガーランド氏は現地で「戦争犯罪者に隠れる場所はない。国内外のパート ナーとともに戦争犯罪などに関与した人物の責任を追及する努力を惜しまな い」と話した。司法省がウクライナなどに検察官を派遣し、ロシアによる 制裁逃れを阻止するために欧州や中東などの国を支援する意向も表明した。 バイデン政権はウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領らを 「戦争犯罪」に関与したと認定するよう国際社会への働きかけを強めている。 ロシアによる民間人への攻撃を「ジェノサイド(大量虐殺)」と批判する声が 国際社会で広がる。 国際刑事裁判所(ICC)は捜査に乗り出しており、近くウクライナに事務所を 開設する。米欧とも連携し、捜査活動を強化する。 もうひとつ、ドイツも独自の動きをしている。 【ドイツがロシアの戦争犯罪を捜査 ウクライナ侵攻で】 2022年6月18日の日経はドイツ紙ウェルト(電子版)が18日報じたニュース。【ベルリン=共同】ドイツ連邦刑事庁のミュンヒ長官は、ドイツの捜査当局が ロシアのウクライナ侵攻を巡る戦争犯罪の疑いを捜査している」を掲載。https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB183Z80Y2A610C2000000/ ミュンヒ氏は「捜査は始まったばかりだが、既に3桁の手掛かりを得た」と した「加害者や指揮官を特定し、ドイツで裁判にかける」と述べた。ドイツ に避難したウクライナ人の情報を基に、目撃者や被害者から聞き取り調査し 証拠を集める。政治家も対象になるという。 ドイツの法律では国外での戦争犯罪や人道に対する罪などを訴追できる。 今年1月には、シリアのアサド政権下での市民への拷問を巡り、人道に対す る罪に問われたシリア情報機関の元大佐に、西部コブレンツの裁判所が 終身刑を言い渡した。 上記のように、アメリカとウクライナの司法省が結束した。アメリカはかつてユダヤ人に対して行われたジェノサイド裁判で実績がある。ウクライナにとっては巨きな味方を得たということだろう。しかも、ICCはウクライナに現地事務所を開設し、ウクライナやアメリカと密接に協力することになるのである。大きな進展を期待できる。 もう一つのドイツが、自国ではなく国外の戦争犯罪もさばけるという法をもとに裁判を始めた。ドイツはアサド政権での戦犯を裁いている実績がある。ここでの成果も期待できるのである。 こうした動きとともに、サンズ教授が提案しているように、世界の指導者たちが、ウクライナにおける侵略の罪を告発するための一回限りの法廷を設置してくれる希望がある。 これらの動きをもとに、私はプーチンが裁かれることへの希望を捨てない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.07.03 16:49:28
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