ウィークエンド・クッキング・ロール

なかなか風情のある造りの燻製専門の居酒屋「けむり」である。
ここはどうやら神田にあるお店の支店らしい。

場所は人形町の交差点を小舟町方向に少し行って、パチンコ屋の先を左に入ったところにある。
建物は昔小料理屋だったのを改造したと店の方が言っていたので、確かにその当時の雰囲気がふんだんに残っている。外観もご覧の通りかなり手の掛かった造りである。

料理は店名の「けむり」の通り燻製中心のメニューだ。所謂スモークしたものだ。
日本では元々燻すという調理法があったので、そう驚くほどのものではないが、それを専門にした居酒屋は珍しいかもしれない。
魚、肉、野菜となんでもスモークしてしまう。これをつまみにワイン、焼酎、酒を飲むわけだが酒がすすむこと間違いなしだ。
しかしながら、燻製というのは食べ始めて30分ほどは燻製のいい香りを感じることができるのだが、時間が経過するとともにどれも同じ香りに感じてしまう。仕舞いには何も感じなくなるものだ。
私の個人的な考え方だが、燻製物と酒を楽しむときは、いろいろな種類の料理を試すよりも単品をじっくり噛んで味わいながら、ちびちびやるほうがいいのかもしれないと思う。

まったく違う話になるが、水天宮交差点近くに「くんかれ」がある。ここは燻製カレー専門の珍しい店なのだが、とにかくここの燻製の匂いが凄い。風に乗って200ｍはこの匂いが漂う。
敢えて香りと書かず匂いと書いたのも香りという程度を越えてしまっているからだ。
時として燻製の香りは匂いになってしまう典型なのかもしれない。
焼肉店に入って誰もが自分が燻製にされているわけだが、店を出て体中が焼肉臭くなっていることに気が付く。お好み焼きなんかでも同じだろう。
ここで焼肉のいい香りが体からしてるね！なんて言うわけがない。
大概、焼肉臭くてか、焼肉の匂いが服に纏わりついてとなる。

ここ「けむり」ではそんな印象はなかったので、かなり上手な喚起を行っているのだろう。
「くんかれ」は巨大ＵＲマンションの一階にあるが、住民の苦情が出ているのじゃないだろうかと心配になるほどだ。
ま、余計なお世話ではあるが。


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