初めての外泊 その1
第511号 宮ぷー こころの架橋ぷろじぇくと 2010年12月30日現在 参加者人数4436人 「12/30 昨日の宮ぷー」 このメルマガを初めて読まれる方へ メルマガの生い立ちをこちらのページに書いていますので、ご参照ください。http://ohanashi-daisuki.com/info/story.html 今日はいよいよ、初めて家に帰ってお泊りする日です。私もドキドキしてあまり眠れませんでした。宮ぷーもそうかなあ。寝ないで熱なんて絶対に出さないでねといま、私、家に居ながら思っています。 宮ぷーはずっと家に帰って泊りたいと言っていました。それがいよいよ叶います。外出も、まだ数えるほどしかありません。最初に帰ったのが去年の元旦でした。それから、二月にもう一回帰って、それからは帰ってはいません。二月のときに四つ葉に会うことができました。それから、眼科の往診に一度、そして、入院しておられるお母さんに会いに一度行きました。これからは、何度も帰れるといいなあ。最初に家に帰ったときのことです。・・・・・・1・1元旦。今日は宮ぷーが倒れてから初めておうちへ帰る日。家にいる時間は1時間半くらいだけど、でも、宮ぷーはこの日をどんなにどんなに夢見ていたことだろう。着るものも全部用意して、帽子や靴下も用意して、あとは熱が出なければ外出だねと看護婦さんにも昨日言っていただいていたのです。 それなのに、それなのに、私が病院に行って、新年おめでとうございますと言って、うれしそうな宮ぷーの体に触ると、熱い!宮ぷーの体が熱いよ。え!?熱? 熱が出たの? 体温計で測ると37,8度。うわあ、熱が出ちゃった。どうしよう。宮ぷーは何度も首を振る。絶対に絶対に行くという。そうだよね。行きたいよね。でも、無理はできないよ。靖子ちゃんやアルバさんには来てくださって申し訳ないけど、無理できないよ。 でも、何度も外出という宮ぷー。たぶん、うれしくて寝られなくて出た熱だろうと思った。私もそうだもの。うれしい日は必ず熱を出していたよ。遠足や修学旅行、必ず熱が出たもの。お布団と毛布をめくって、寒い?と聞くと寒くないという。つらいところは?と聞くとないという。それだったら、熱がこもったのかもしれないからねと、病衣をあけてみたりもすると、熱が37,4度になった。でも、これでもだめだよと言うと、「せなかもあける」と言う宮ぷー。座ってもらって、背中にもくっしょんをいれて、それからしばらくして測ると、36,8度。ああ、よかった。でも、油断はできないね。検温のときに高かったらいけないもの。足をさわると、もう熱くなかった。どうぞどうぞ行けますように。そうでなかったら、本当に宮ぷーはショックを受けちゃう。おとといのこと、宮ぷーの着ていく服を恭子ちゃんと三人でみていたときのこと、宮ぷーが「サングラス」と言いました。「きんじょのひとにみられたくない」と宮ぷーが言ったよ。恭子ちゃんは「だいじょうぶや、これだけ着ていればだれかわからんわいね」と言ったね。でも、私は宮ぷーに「宮ぷー、お家で暮らすんだよね。退院したいんだよね。何度もそれまでに帰るんだよね。だったら、いっそう堂々としていたらいいよね。病気は誰だってなるよ。いつなるかわからない。それが宮ぷーだっただけだもの。ね、私たちの大好きな子供たちも、堂々と生きていってほしいよね。宮ぷーも子供たちにそう言ってきたでしょう? ねえ、宮ぷー、少しも恥じることじゃない。それどころか、こんなにがんばっていること堂々と見てもらって、回復していくことを近所の人にも喜んでもらおうね」そんな私のことばを、宮ぷーはそのことを覚えていてくれたんだと思う。「さんぐらすはいらない」と言ってくれました。うれしいよ。宮ぷー。みなさんが、「今日外出ね、よかったね」と声をかけてくださる。そして、靖子ちゃんとアルバさんを駅に迎えに行くときに、介護人さんが、オムツを交換するときに、病衣からパジャマにも着替えさせてくださるとのことで、お願いして、二人を迎えに行きました。雪がはじめての靖子ちゃんは、「さむーい」と言いながら、「石川の雪は寒いから、まん丸なんですね」なんて言うんだよ。宮ぷーは目をまんまるにしてびっくりしてたよ。「靖子ちゃんそれはあられだよ」 宮ぷー、靖子ちゃんおもしろいね。宮ぷーはそのあと靖子ちゃんに「がいしゅつたのしみ」と話した。 お昼の食事を早めにしていただいたときに、検温があったよ。ドキドキしちゃった。アー・・・お願い、下がってて。よかった。看護婦さんが「熱もないし、だいじょうぶね」と言ってくださったよ。 恭子ちゃんも来て、恭子ちゃんが用意した靴下をなんと4枚も重ねて履き、帽子をして、パジャマの上に、私のカーゴパンツ。それから、上着を着てその上にジャンパーそして、マフラー。介護人さんが車椅子に載せてくださって、いよいよ出発。 恭子ちゃんの乗っているファンカーゴは宮ぷーがお母様のために、車椅子仕様にしたものだから、宮ぷーの外出も、ファンカーゴに乗り込むことになりました。車椅子のまま、スロープで乗り込みました。車椅子をずいぶん起こさないと、後ろのドアが閉まりません。そうすると、宮ぷーの首が倒れてしまうのです。ああ、首の練習をしていてよかったね。でも、30分もそんな状態で大丈夫? 二週間集中リハビリの前はぐらぐらしていた首がしっかりしてきていなかったら、そんなことできっこなかったんじゃないかと思うと、神様が一番いい時期に、私たちにその二週間と、外出を用意してくださったんじゃないかと思えてならないのです。 私はアルバさんと靖子ちゃんの三人で銀ちゃんで後をついていきました。何度もファンカーゴが停まって、恭子ちゃんが宮ぷーの体勢を整えたり、首を起こしてるのが見えました。心配したけれど、無事に到着。 宮ぷーのお家はバリアフリーになっているので、どんどん車椅子で入って行って、そして、宮ぷーが頭を動かして、行きたい方向を教えてくれる。仏壇と神棚におまいりをして、宮ぷーは居間や書斎を見て「なつかしい」と言った後、台所へ行って、冷蔵庫の中を見たがった。そしてね、あかさたなで、「おりょうりしたい」と言った。宮ぷーはお料理得意なんだよね。 お家にいる涼ちゃんは、ハイハイをしたり、つかまり立ちをしたり、とても活動的。宮ぷーの乗っている車椅子の宮ぷーの足につかまったりもして、宮ぷーは、涼ちゃんが可愛くてならなくて、とてもうれしそう。宮ぷーは泣いちゃうのかなあと思ったけど、なんだか静かに感動しているみたいだった。テレビのハードディスクの中を、恭子ちゃんと一緒に整理をしたり、靖子ちゃんのインタビューにも答えたりした。「二週間の集中リハビリで宮ぷーはすごくできることが増えたと思うのだけど、何が一番うれしかった?」 首がしっかりしてきたことって言うかな? それとも、気切のことを言うかな? 私はちょっとどきどきしていたら、宮ぷーは、あかさたなで「いきができる」と言った。思い出した。そうだ。宮ぷーは前に靖子ちゃんに、集中リハビリの目的は「いきができるようになること」って言ったんだ。そっか、できるようになったんだ。いっぱい座って、首もしっかりして、それから、口で息する練習をするうちに、息もできるようになったんだね。うれしいね。「ね、宮ぷー、その次はどれ? たくさんできることが増えたでしょう?どれがうれしい?」私は聞きたくなって、たずねたら、宮ぷーはびっくりすることを言ったよ。「かっこちゃんといられること」え!? どうして、だって、宮ぷー、首がすわることってすごくうれしいでしょう? 口で息できたのもすごいでしょう? それより、私といることがうれしいの? だって、私、きかんぼうだよ。宮ぷーが苦しそうでも、痛そうでも、鬼軍曹になって、「つぎは何をする?」って聞く私だよ。それでも、うれしいの? 私はそれよりうれしいなんて信じられない気がしたよ。宮ぷーは何度も、いっしょがうれしいとうなづいてくれたので、驚愕の事実を告げました。「宮ぷー、大変だよ。驚愕の事実があるよ。新学期の準備を夜にしてるけど、もうすぐ終わるから、6日もお休みをいただこうかなあと思って、そうしたら、7,8日には学校に行くから、夜しか来れないけど、9,10,11日は連休でお休みだから、集中リハビリ、実は二週間で終了しないんだよ。」私が目を大きくあけて、大変だよっていう顔をしたら、宮ぷーもおんなじ顔をして、目を大きくしてたいへんだあという顔をしたよ。でもね、その次の週の土日も、一週間後の土日も続けて、講演会があって、いられないの。鬼コーチもいないのでゆっくりしてね。私が言うと、宮ぷーはどうしたことでしょう。顔をくずして泣いちゃったんだよ。ああ、宮ぷー、そんなふうに思ってくれて、宮ぷー、本当にありがとう。私、うれしい。